世は3月14日。
この世界でも御多分に漏れず、最愛の女性へ愛を捧げる男達の季節がやって来た。
ホワイトデーという事で、女性への贈り物コーナーが賑わう。
その中の女性防具及び下着コーナーの一角で、思案にくれる銀髪碧眼の男が一人。
あぶないビスチェ…まほうのビキニ…エッチな下着……うーむ…迷うな。
まあオレの
ハニー、ゼシカは何でも似合うからな。…しかしだからこそ迷うんだがな。
いかん、あまりウロウロしてると変質者に間違えられるかもな。
いや、この絶世の美男子である俺に限ってそんな事はありえないだろ。
しかし優柔不断な男と見られちゃ男のコカ…いやコケンに関わるものな。さて、どうしたものか。
…そうだ。こういうモノよりも、もっと肝心な事があるじゃねーか。
その夜。
海辺の教会の外の裏に、互いに背を向き気味に2人が佇む。
「…えっと…何よ?こんな夜中に呼び出して…」
「ゼシカ…あの時はああだったが…今度こそ、正式に受け取って欲しいんだ」
そう言ってゼシカの方に向き直り、いつになく真剣なまなざしで
ククールは聖堂騎士団の指輪を無言で差し出した。
ゼシカはそっと手を差し出し、しばし手を握り見つめ合った。
女性をちょっと口説くのは慣れているはずの彼は声を詰まらせ「…おっ、俺の伴侶になって欲しい…!」
「………うん……」ゼシカは目を潤ませ、震えながら小さく頷いた。
しばらく2人は再び見つめ合い、握り合った手はそのままに、
互いに片方の手を相手の背中に回し、…始めはそっと、それから熱い口付けを交わした。
(いっそ、このまま全てを奪ってやりたい…!)
(いっそ、ここで全てを奪われてもいいわ…。)
最終更新:2008年10月22日 19:22