※裏メロメロン※

本スレメロメロンの隠れ屋verです。







                      *

「…ったく、この小悪魔」
すると赤い顔もそのままに、ククールがいきなり私の手首を掴んでベッドに押し倒した。
きょとんしたのも束の間。遮る間もなく口唇をふさがれて目を見開く。
すぐに離されると思っていたのに、いつまで経っても解放されなかった。
口唇だけじゃなく、口腔も、歯列も、舌も、すべてを優しくなぶられて目眩がした。
薄目を開けると、あの切れ長の瞳が私を愛おしげに見つめていて、うっとりする。
長時間の口付けに息を乱す私に、ククールがひそやかに笑いかけた。
「…どう?」
「……ずるい」
「コッチでしか、オレはお前に勝てないみたいだからな。存分に夢中にさせてやるよ」
「さすが、経験豊富な色男さんはキスもお上手なのね」
「…まーだそんなカワイクないこと言うかこのお嬢さんは…」
ひきつった笑みで私を見下ろすその顔に取り繕った余裕がなくなって、私は笑いが抑えきれない。
「そんな憎まれ口叩けねぇように、ずーーっとキスしててやる」
「やだも…っ、ん…っ」
優しいだけじゃない、ちょっと強引なキスに翻弄される。
きっと、さっきの“好き”の仕返しのつもり。
ずっとずっと、ベッドの上で2人抱き合って、お互いの口唇と言わず顔じゅうにキスを降らせていた。
私たち、いつまでこんなことしてるんだろう。どうして仲間たちは起こしにこないんだろう?
熱い息を吐き出しながら、ぼうっとして呟く。
「…キスだけ…?」
「…キスだけじゃイヤ?」
「わかんない…ククールは?」
「オレはもちろんキスだけじゃ困るけど」
ククールの意地悪な笑みに、頬が熱くなった。自分が何をしたいのかよくわからない。でも…
「……もう…後悔、したくないの」
「オレもだよ」
「だから…」
最後まで言わせず、いっそう深く口付けられその熱に思考を浚われた。



いやだ…朝なのに、朝から、私、何考えてるの…心臓が爆発しそう。
ククールの瞳が確かめるように私を見下ろしたけど、私はただ視線で訴えるしかなかった。
この、言葉にするにはあまりにもはしたない、恥ずかしい期待を。
「……クク……」
「…大丈夫か?お前疲れてるだろ?」
気遣う声にハッとした。
「そ、それを言うならククールでしょ?昨日まで、死にかけて…」
「もう十分回復したよ。……今は体力より人間的欲求の方が問題かな」
「にんげんてきよっきゅう?」
「3大欲求って言うだろ?一つは食欲、これは今んとこクリアー。二つ目は睡眠欲、
これもゼシカのおかげでしっかり熟睡。そして3つ目は…」
本気でなんだっけ、と頭に思い浮かべた。しばらくして答えがようやく思い当たる…
「ッ!!……」
「……それだけ満たされてない」
やっぱり、そうなんだ。
もう私たちが今したいことなんて、一つしかないの。
「満たしてくれるか?」
「……ぁ、ぅ…」
「もうゼシカじゃないと、満たされねぇんだよ…」
ククールの低い声が耳に吹き込まれ、耳たぶを噛まれ全身が硬直した。
抵抗できない。…する気もない。
これから一体何をされるのか、自分がどうなってしまうのか、恐怖より好奇心が勝っている。
このまま、ククールの好きにしてほしいとか。ククールだけのものにしてほしいとか。
キスだけじゃなくて、たくさん触って…。…いやらしいこと、教えてほしいとか…
「…ッア」
いつの間にか首筋を伝い降りたゆるゆるとした舌の動きに、思わず息をのんだ。
そして落ち着かないうちに、今度はククールが口付けている肩のあたりに小さな刺激が走り、
また体が小さく跳ねる。チューッて音がしたから…多分、キツく吸われた?
何してるのかって不安になって、必死で彼の顔を窺おうと首を傾けると、細くすがめた瞳が
私を責めるように見つめ返してきた。もう捕えられて逃げられない。
「…言ってくれ。お前から。オレだけが がっついてるなんて、思いたくねぇ」
私はカアッと全身を染めた。
もう、逃げられない。逃げられない。獣に捕食される小動物のように。
私はククールに、大切なものを差し出す。
…ちがう。
「…ククール」
声が震えた。それでも、この一言が、この行為に必要なものだと私は知っていた。

「―――――奪って」

私の、すべてを。











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最終更新:2010年05月10日 11:40
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