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熊本県産業廃棄物処理施設等の設置に係る紛争の予防及び調整に関する要綱
平成5年5月10日
告示第389号
〔
廃棄物対策課〕
熊本県産業廃棄物処理施設等の設置に係る紛争の予防及び調整に関する要綱を次のように定める。
熊本県産業廃棄物処理施設等の設置に係る紛争の予防及び調整に関する要綱
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 紛争の予防に係る手続等(第6条―第19条)
第3章 紛争のあっせん(第20条―第22条)
第4章 手続の終了(第23条)
第5章 雑則(第24条―第29条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、産業廃棄物処理施設等の設置又は規模、構造の変更(以下これらを「設置」という。)に係る事業計画の事前公開、これに対する意見を求めるための手続その他紛争の予防及び調整に関し必要な事項を定めることにより、地域住民と設置者との紛争の予防及び解決を図り、もって生活環境の保全に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条
熊本県産業廃棄物指導要綱(以下「指導要綱」という。)第2条に定めるもののほか、この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 処理施設 指導要綱第21条第1号に規定する処理施設をいう。
(2) 紛争 処理施設の設置に伴って生じる周辺の生活環境への影響に関する関係者と設置者との間の争いをいう。
(3) 生活環境 人の生活及び人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境をいう。
(4) 設置者 処理施設を設置しようとする者をいう。
(5) 関係地域 処理施設の設置に伴い生活環境に著しい影響が生じるおそれがある地域として第7条第3項の規定により知事が定めた地域をいう。
(6) 関係者 関係地域内に住所を有する者、関係地域内で農業、林業、漁業等に従事する者及び関係地域内に事務所又は事業所を有する個人又は法人をいう。
(県の責務)
第3条 県は、この要綱に規定する処理施設の設置に係る事業計画の事前公開、紛争の予防その他の手続が円滑かつ適切に行われ、事業の実施に際し、生活環境の保全について適正に配慮がなされるよう努めなければならない。
(市町村の責務)
第4条 市町村は、紛争の予防及び調整に関して県が行う施策に協力するとともに、その地域における生活環境の保全を図るため、自らも紛争の予防及び調整に努めなければならない。
(設置者及び関係者の責務)
第5条 設置者は、処理施設の設置に当たっては、生活環境が適正に保全されるよう必要な措置を講ずるとともに、紛争の予防及び調整に関して県及び市町村が行う施策に協力しなければならない。
2 設置者及び関係者は、相互の立場を尊重するとともに、紛争が生じたときは、自主的に解決するように努めなければならない。
第2章 紛争の予防に係る手続等
第1節 事業計画の事前公開
(事業計画書の提出)
第6条 設置者は、処理施設を設置しようとするときは、指導要綱第20条の規定により、事業計画書を知事に提出しなければならない。
(関係地域の指定)
第7条 知事は、前条による事業計画書の提出があったときは、事業計画書に記載された処理施設の設置場所を管轄する市町村長及び事業計画書について周知を図る必要があると認める市町村長(以下これらを「関係市町村長」という。)に事業計画書の写しを送付するものとする。
2 設置者は、当該事業計画書の内容について関係市町村長に説明しなければならない。
3 知事は、前項の規定により事業計画書の写しを送付した関係市町村長の意見を聴いたうえで、事業計画書に記載された設置場所の境界からおおむね1キロメートル以内で関係地域を定めなければならない。
4 知事は、前項の規定により関係地域を定めたときは、速やかに、その旨を設置者及び関係市町村長に通知するものとする。
(公表及び閲覧)
第8条 知事は、前条第4項の規定による通知をしたときは、速やかに、事業計画書の提出があった旨、関係地域、閲覧の場所及び次に掲げる事項を関係者に公表し、事業計画書(指導要綱第20条第2項第12号から第15号までに掲げる書類を除く。)を公表した日から30日間、閲覧に供しなければならない。
(1) 設置者の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地、名称及び代表者の氏名)
(2) 施設の種類及び処理能力
(3) 設置場所
(4) 閲覧期間
2 前項の場合において、知事は、あらかじめ、公告する内容を設置者に通知するものとする。
(公表及び閲覧の方法等)
第9条 前条第1項の規定による公表は、処理施設の設置場所を管轄する保健所又は関係地域の市町村の掲示板に通知書を掲示することにより行う。
2 前条第1項に規定する閲覧の場所は、設置場所を管轄する保健所及び関係地域の市町村の庁舎内とする。
3 設置者は、前条第2項の通知を受けたときは、関係者に対し、必要な事項を記載した文書を配布する方法により、これにより難い場合は関係地域内での掲示板への掲示等の方法により、事業計画書の概要、閲覧場所及び第11条第1項に規定する説明会の開催について周知に努めなければならない。
(周知計画書)
第10条 設置者は、前条第3項の規定により関係者に対し周知を図ろうとするときは、あらかじめ、次条第1項の説明会の開催に関する事項、その他事業計画書の周知のために必要な事項を記載した計画書(別記第1号様式。以下「周知計画書」という。)を知事に提出しなければならない。
2 設置者は、前項の周知計画書の内容に変更があった場合は、あらかじめ、周知計画変更届(別記第2号様式)を知事に提出しなければならない。
3 知事は、第1項及び第2項に規定する周知計画書及び周知計画変更届の提出があったときは、速やかに、その写しを関係地域の市町村長に送付するものとする。
(説明会の開催等)
第11条 設置者は、第8条第1項の閲覧期間内に、関係地域において事業計画の説明会を開催しなければならない。この場合において、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がないときは、関係地域以外の地域において開催することができる。
2 設置者は、前項の説明会においては、事業計画書の概要を記載した書類及び図面を配布するとともに、事業計画書の内容を具体的かつ平易に説明するように努めなければならない。
3 知事は、設置者が第1項に規定する説明会を正当な理由がなく開催しないときは、当該設置者に対し、期限を付して説明会を開催するよう求めるものとする。この場合において、知事は、第8条第1項の閲覧期間内に説明会を開催することが困難であると認めるときは、第1項の規定にかかわらず、当該閲覧期間を経過した後であっても説明会を開催するよう求めることができる。
4 設置者は、第1項及び前項の説明会を開催することができない正当な理由がある場合は、当該理由を知事に書面で報告しなければならない。この場合において、知事が正当な理由があると認めるときは、説明会の開催を要しない。
5 説明会の開催を要しなくなった設置者は、第10条第2項の規定により周知計画変更届を提出し、説明会の開催以外の方法により、関係者に対し事業計画書の周知に努めなければならない。
6 知事は、第1項の説明会及び第3項の規定により知事が開催するよう求めた説明会が開催されるときは、その職員をこれに立ち合わせることができる。
(実施状況の報告書の提出)
第12条 設置者は、説明会の開催等により事業計画書について周知を図ったときは、説明会等実施状況報告書(別記第3号様式。以下「報告書」という。)を知事に提出しなければならない。
2 知事は、前項の報告書の提出があったときは、当該報告書の写しを関係地域の市町村長に送付するものとする。
第2節 事業計画書に対する意見の調整
(意見書の提出等)
第13条 事業計画書について生活環境の保全上の見地からの意見を有する関係者は、第8条第1項の規定による公表の日から起算して45日を経過する日(同項の規定による閲覧期間が満了する日までに説明会が終了しない場合にあっては、当該説明会が終了した日から起算して15日を経過する日)までに、意見書を知事に提出することができる。
2 知事は、前項の意見書の提出があったときは、速やかに、その写し又は意見書の要旨を記載した書面(以下「意見書等」という。)を設置者及び関係地域の市町村長に送付するものとする。
(見解書の提出等)
第14条 設置者は、意見書等の送付を受けたときは、遅滞なく、意見書等に対する見解を記載した書面(別記第4号様式。以下「見解書」という。)を作成し、知事に提出しなければならない。
2 設置者は、前項の規定による見解書の提出後、関係者に対し、見解書について、原則として説明会の開催により、周知に努めなければならない。
3 知事は、前項の説明会が開催されるときは、その職員をこれに立ち会わせることができる。
(関係地域の市町村長への意見聴取)
第15条 知事は、前条第1項の見解書の提出があったときは、速やかに、その写しを関係地域の市町村長に送付するとともに、期限を付し、事業計画書及び見解書について生活環境の保全上の見地からの意見を求めるものとする。
2 知事は、前項の規定により期限を付するに当たっては、前条第2項の規定により設置者が見解書について周知に努める期間及び関係地域の市町村長の意見の作成に必要な期間を考慮するものとする。
(指導又は助言)
第16条 知事は、第13条第1項の意見及び前条の関係地域の市町村長の意見を十分配慮し、生活環境の保全上の見地から、設置者に対し、事業計画書について必要な指導又は助言を行うものとする。
(生活環境の保全に関する協定の締結)
第17条 設置者と関係者又は関係地域の市町村長は、事業計画の実施に関し、生活環境の保全のために必要な事項を内容とする協定を締結するよう努めるものとする。
2 知事は、前項の協定の締結において、その内容について必要な助言を行うものとする。
第3節 事業計画の変更及び廃止
(事業計画の変更の届出)
第18条 設置者は、事業計画書についてその記載事項の内容を変更しようとするときは、その旨を事業計画変更届(別記第5号様式)により知事に届け出なければならない。
2 前項の事業計画変更届の提出を行った設置者は、変更をしようとする部分について、第6条から前条までの規定の中で、知事が必要と認める手続を行うものとする。ただし、次に掲げる軽微な変更にあっては、この限りでない。
(1) 主要設備の変更を伴わず、かつ、処理能力の10パーセント以上の増大を伴わない変更
(2) 前号に定めるもののほか、公害防止設備の改善その他生活環境の保全上の見地から支障がないと認められる変更
(事業計画の廃止の届出)
第19条 事業計画書を提出した設置者は、当該事業計画を実施しないこととしたときは、その旨を事業計画廃止届(別記第6号様式)により知事に届け出なければならない。
第3章 紛争のあっせん
(あっせん)
第20条 紛争が生じたときは、設置者及び関係者の双方又は一方は、知事に対し、あっせんを必要とする事項を明示してあっせん申請書(別記第7号様式)により、あっせんの申請をすることができる。ただし、当該申請書の提出は、第17条までに規定する手続等を経た後とする。
2 知事は、前項の申請があった場合において、あっせんの必要がないと認めたとき、又は事案がその性質上あっせんをするのに適当でないと認めたときを除き、あっせんを行うものとする。
3 知事は、あっせんを行うことを決定したときは、関係地域の市町村長に協力を求めるものとする。
4 知事は、当事者双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めるものとする。
(あっせんにおける代表者の選定)
第21条 前条第1項のあっせんの申請者が多数である場合においては、当該当事者は、そのうちから1人又は数人の代表者を選定しなければならない。
2 代表者は、あっせんの申請の取下げを除き、あっせんに係る一切の行為を当該当事者を代表して行うものとする。
3 当事者は、代表者を選定した後においても、当該代表者を変更することができる。
4 第1項の規定により代表者を選定し、又は前項の規定により代表者を変更したときは、代表者選任(変更)届(別記第8号様式)を、知事に提出しなければならない。
(あっせんの打切り)
第22条 知事は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
2 知事は、前項の規定によりあっせんを打ち切るに当たっては、関係地域の市町村長の意見を求めるものとする。
3 知事は、前項の規定によりあっせんを打ち切ったときは、その旨を当事者及び関係地域の市町村長に通知するものとする。
第4章 手続の終了
(手続の終了等)
第23条 この要綱に規定する手続は、次に掲げる場合において終了するものとする。
(1) 第13条第1項に規定する意見書の提出がなかった場合
(2) 第17条第1項に規定する協定が締結された場合
(3) 関係地域の生活の環境保全上の見地から、その対策が十分なされたと知事が判断した場合
(4) あっせんが打ち切られた場合(前号に規定する知事の判断がなされない場合を除く。)
2 知事は、前項の規定により手続が終了したときは、申請者に対して、事前協議終了通知書(別記第6号様式の2)を交付するとともに、その旨を関係市町村に通知するものとする。
3 この要綱に規定する手続が終了した者は、指導要綱第19条第1項第1号に規定する処理施設の設置に当たっては法第15条第1項又は法第15条の2第1項の規定に従い、指導要綱第19条第1項第2号に規定する処理施設の設置に当たっては指導要綱第23条の規定に従わなければならない。
第5章 雑則
(報告の徴収)
第24条 知事は、この要綱に規定するもののほか、必要な限度において、設置者に対し報告を求めることができる。
(勧告又は公表)
第25条 知事は、設置者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、当該設置者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(1) 第6条の規定による事業計画書の提出をせず、又は虚偽の事業計画書の提出をしたとき。
(2) 第11条第3項の規定により知事が開催するよう求めた説明会を正当な理由がなく開催しないとき。
(3) 第14条第1項の規定による見解書の提出をしないとき。
(4) 前3号に掲げるもののほか、この要綱に規定する手続の全部若しくは一部を正当な理由がなく行わず、又は不正若しくは不誠実な方法によりこれを行ったとき。
2 知事は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者が勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
(国等に関する特例)
第26条 国、地方公共団体及び次に掲げる法人(以下これらを「国等」という。)が処理施設を設置しようとするときは、当該処理施設の設置に係る第2章の紛争の予防に係る手続等については、この要綱の規定にかかわらず、知事と国等との協議により行うものとする。
(1) 広域臨海環境整備センター
(2) 日本下水道事業団
(3) 前2号に掲げるもののほか、知事が認める法人
(書類の経由等)
第27条 この要綱の規定により知事に提出する書類は、処理施設の所在地を管轄する保健所長を経由するものとする。
2 この要綱に規定する書類の提出部数は、3部とする。ただし、知事が必要と認める場合は、この限りでない。
(適用除外)
第28条 この要綱の規定は、熊本市の区域においては適用しない。
(その他)
第29条 この要綱の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この要綱は、平成5年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱の施行時において、指導要綱第19条第1項第2号及び第3号に規定する処理施設であって、現に工事に着手しているものについては、この要綱に規定する手続は終了したものとみなす。
附 則(平成7年4月12日告示第286号)
この要綱は、平成7年6月1日から施行する。