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2008/01/18「160億円損害」と訴え 「160億円損害」と訴え 産廃会社が条例制定の町に


 三重県の設置許可を受けたにもかかわらず、同県の旧紀伊長島町(現紀北町)が条例で、1995年に産業廃棄物処理施設の設置を禁止したため、施設建設ができなかったとして、紀北町の産廃処理会社「浜千鳥リサイクル」(中子敏男社長)が18日までに、同町に12年間の経済的損失として約160億円の損害賠償を求める訴訟を津地裁に起こした。

 処理施設をめぐっては、同社が設置禁止処分の取り消しを求めて提訴し、2006年2月、名古屋高裁の差し戻し審で町が逆転敗訴。07年6月に最高裁が町の上告を棄却し、処分を違法とする判決が確定している。

 訴状によると、同社は1993年ごろから廃タイヤの中間処理施設建設を計画。県に設置許可を申請していたところ、旧紀伊長島町が水道水源保護条例を制定し、95年に施設を規制対象とし建設を禁止した。その間に県は設置を許可した。

2008/01/18 12:27 【共同通信】

2007/11/30 【茨城】水戸の産廃処分場建設差し止め訴訟 業者側控訴を棄却 『汚染水対策も不十分』【東京】


 水戸市全隈町に建設予定の産業廃棄物最終処分場をめぐり、住民らが「操業で水道水が汚染される」などとし、建設業者「赤塚設備工業」(水戸市)を相手取り建設差し止めを求めた控訴審判決で、東京高裁は二十九日、一審の水戸地裁判決を支持し、業者側控訴を棄却した。

 住民側弁護士によると、高裁が安定型最終処分場によって上水道が汚染する危険性を指摘し、建設差し止めを認めたケースは初めて。

 判決で浜野惺(しずか)裁判長は「処分場に有害物質が搬入されない根拠はなく、汚染された水が処分場から水源地に流出して汚染することを防ぐ対策も不十分」と指摘した。

 処分場計画をめぐっては、業者側が一九九六年、処分場設置の許可申請を県に提出。県は「水道水への影響が懸念される」と不許可とした。

 業者側はこれを不服とし、審査請求を申し立て、国は不許可処分取り消しを裁決。このため住民側は九八年、水戸地裁に建設差し止めの仮処分を申請し、差し止め仮処分決定後は処分場は着工されていない。

『苦労が報われた』
 「全隈の自然と水戸市民の飲料水源が守られた」。二十九日、住民側が勝訴した水戸市全隈町の産業廃棄物最終処分場建設差し止め控訴審判決。住民側は水戸市内で会見し、一九九五年五月の処分場計画判明以降、十二年にわたる反対運動が実を結んだことを喜んだ。

 住民側の安江祐弁護士は「これまで安定型最終処分場の建設差し止めの対象は井戸水の水源地だった。今回、上水道の水源地の危険性が正面から認められた。廃棄物処理法や関係法令で水源地保全に特化した具体的特則を定めていない点を指摘するなど法的不備にも踏み込んでいる」と判決を評価。

 住民側代表の木戸田四郎さん(84)は「反対運動にかなりのエネルギーを注いできたが、一気に苦労が報われた。弁護士と県内外の市民の支えの両輪によって今日の勝利となった」と歓喜した。

 一方、敗訴した赤塚設備工業の大谷繁夫会長は「判決文を見ないと分からないが、内容を見て上告できるか検討したい」とのコメントを出した。

2007/10/01 宇城市の産廃処分場説明会 「環境、産業への影響必至」 1400人参加事業者説明に不満の声【西日本】


松山開発の松崎忠一社長(左)に処分場建設に反対する約2万9000人の署名を手渡す産廃阻止市民会議の塚田三知雄会長
 宇城市三角町手場で計画されている産業廃棄物最終処分場建設に関する説明会が30日、同市松橋町の総合体育文化センターであり、市民ら約1400人が参加した。事業者を交え、全市で処分場問題を考える場にしようと宇城市が企画した。

 説明会では、市環境衛生課職員が処分場問題の経緯を説明。この中で国道266号南側の不知火海沿岸に広がる建設予定地周辺の地形や産業、交通事情などに触れた上で、「現地は台風接近のたびに護岸決壊の被害が出る地点。ここに処分場ができれば漁業に限らず、農業、交通にも影響する」と指摘した。

 後半、処分場計画事業者となる天草市五和町の「松山開発」の松崎忠一社長が登壇。松崎社長は建設予定地となるエビ養殖場跡地(約9.1ヘクタール)を取得した経緯に触れたが、反対住民らに渦巻く「なぜ処分場か」「環境や産業への影響はないのか」などの疑問に対する説明はなく、反対住民約2万9000人分の署名を受け取ると会場を去った。

 続いて反対住民らが開いた「産廃阻止市民決起大会」では、水俣病問題に取り組み、久留米大教授(環境訴訟)も務める馬奈木昭雄弁護士が「産廃処分場はいらない」と題して講演。馬奈木弁護士は、処分場の汚水発生を想定した危機管理に触れ「事業者が環境影響調査で『安全』とする根拠や、施設を維持するための経営状況にも注目すべきだ」と話した。

2007/09/30 牧園産廃計画 再浮上に住民驚き「立ち消えと思っていた」【南日本】

 霧島市牧園町持松で産業廃棄物管理型最終処分場建設を計画する東亜環境(都城市)が、鹿児島県に事前協議書を提出したとの報道を受けて29日、地元住民らに波紋が広がった。計画の再浮上に一様に驚きつつ、「すでに同意した話」と冷静に受け止める関係者も。県が公共関与型処分場候補地に選定している薩摩川内市では住民らが「推移を見守りたい」と静観の構えを見せた。
 牧園の計画は2002年に表面化、東亜環境による住民説明会などが開かれた。「この2年間全く音さたなしで、立ち消えになったのかと思っていた」と驚くのは、当時、建設に同意した同市松永漁協の津田和勝組合長。「理事が相当入れ替わっており、再度理事会に諮りたい」と慎重に語る。
 同市牧園町持松の自治公民館長(66)は5年前に都城の東亜環境の処分場を視察。「集落の7割は賛成。高齢化で跡継ぎもいない地域で、地権者は山林を手放すことに抵抗はないようだ。道路改良への期待もある」と容認の立場は変わらない。
 計画予定地の下流域住民らでつくる「天降川上流の産廃建設に反対する流域住民の会」の湊千廣代表世話人(63)=同市隼人町=は、「約360ヘクタールの農地を潤す天降川の上流域にあえて造る必然性がない」と水汚染への根強い懸念を示した。
 一方、県が5月に公共関与の産廃管理型処分場候補地として選び、現在立地可能性調査が進む薩摩川内市川永野町の住民は「詳細が分からず、推移を見守りたい」と、静かに受け止めた。
 同市大原野自治会の和田岩男会長は「民間計画が進んでも、県が川永野の計画をやめることはないと思う」と反対姿勢を堅持。中立の川永野自治会、堀之内一会長もこれまで通り、県の調査結果を待つ方針。「県内どこかに産廃最終処分場は必要。霧島市長の対応や住民の動きを注視したい」と話した。

2007/08/19 産廃建設 隈之城コミュニティ協が反対/薩摩川内 臨時総会で決定、委員会設け活動【南日本】


建設反対を決めた臨時総会=18日、薩摩川内市勝目町の市セントピア 鹿児島県が産業廃棄物管理型最終処分場候補地に選定した薩摩川内市川永野町の採石場がある隈之城地区コミュニティ協議会(野呂誠会長、48自治会)は18日、同市勝目町で臨時総会を開き、処分場建設に反対していくことを決めた。三役らによる反対推進委員会を設立し、今後の活動のあり方を検討していく。
 同地区コミは、採石場周辺の大原野や川永野、木場茶屋など隈之城小校区の48自治会計3614世帯で構成。臨時総会は、候補地周辺で建設に反対する6自治会長が7月末、地区コミとして反対表明するよう求める要望書を提出したのを受け開かれた。
 各自治会長ら代議員104人中約60人が出席。「候補地は標高が高く、周辺は水源地。原発や水俣病の例で分かるように、子々孫々まで安全性を保障できない」「県内に処分場は必要だが、リスクの低い別の場所を選ぶべきだ」「薩摩川内は水系・水の街なのに、処分場を造ればイメージダウンになる」など建設反対意見が続出した。
 一方、「県内のどこかに必要な施設。県の調査も終わっていない段階での賛否は時期尚早」「こんな重要な問題に地区コミが反対の旗を振っていいのか」「市の処分場を例に周辺の魚やホタルがいなくなったという声があるが、処分場の汚水より農薬の影響が大きい」など慎重な対応を求める意見も相次いだ。
 無記名投票の結果、建設は反対41、賛成5、白紙17で反対を決定。調査については反対31、賛成29、白紙3といずれも過半数に達せず、方向性は決まらなかった。
 処分場問題に中立の立場で臨んでいる川永野自治会の堀之内一会長は「地区コミの方針は決まったが、うちは従来通り中立で対応したい」。野呂会長は「地域住民の不安が表れた結果で、地区コミとして建設反対で対応していく」と話した。

2007/03/29 九州産廃、操業4年短縮 菊池市と協定【熊日】


 菊池市は、同市原で産業廃棄物最終処分場を操業する九州産廃(同市、中田浩利社長)と、処分場の操業期間を四年間短縮し二〇一四(平成二十六)年までとすることで正式に合意、二十八日、県を立ち会いに、操業期間などを定めた環境保全協定を一部変更する協定を締結した。期間短縮などに伴い、市が同社に総額約十二億円を補償する契約も結んだ。行政による産廃業者への補償は極めてまれ。

 環境保全協定は、市と会社が九八年に締結。操業(処分場埋め立て)は「締結後二十年間」としていたが、変更で一四年までの「十六年間」とした。ただし、一五年三月末までを残務整理に必要な期間と定め、容量に余りがあれば、市との協議を経て、会社の中間処理で排出される廃棄物などを埋め立てることができるとした。

 営業廃止に対する補償は、環境保全協定などが根拠で、補償総額のうち、短縮分は約七億二千万円。

 実際の補償は、処分場の終了が確認された後の一五~一八年度。補償の裏付けとなる債務負担行為の補正予算は、二十八日の市議会本会議で可決された。補償は、市がいったん支払った後、県が市に半分を助成する。

 現処分場は近く満杯になる見込みで、同社は隣接地に新たな処分場を計画。用地の農業振興地域除外などの手続きを経て、三月初旬から建設に着手している。市と同社、県による環境保全協議会は、新たな処分場の操業についても、今回変更した期限内とすることでおおむね合意している。(石貫謹也)

2007/03/04 住民勝訴まで10年、鹿屋・産廃問題【朝日】

 鹿屋市下高隈町で進められてきた管理型産業廃棄物最終処分場の建設が、10年に及ぶ住民のねばり強い反対運動でストップした。同市の産廃業者インクスに建設差し止めを求めた訴訟で住民側が全面勝訴、イ社側が処分場を造らないことを約束し、この問題は住民らの勝利で終止符が打たれた。しかし、イ社に処分場の設置許可を出した県に対しては、住民らは今もなお強い不信感をぬぐえないでいる。(小川直樹、山根久美子)

 鹿児島地裁が処分場の建設差し止めを命じたのは、06年2月3日。判決の中で地裁は、イ社が過去に産廃を不法投棄したことを挙げて「高いモラルが要求される維持管理体制に疑問を抱く」と指摘。「有害物質が井戸水に混入する危険がある」とした。

 イ社側は控訴したが、同11月29日、福岡高裁が一審判決を支持して棄却。イ社側は上告を断念し、住民らの勝訴が確定した。

 今年2月9日、住民らが不法投棄された産廃撤去をイ社側に求めた訴訟で、イ社側が予定地に処理施設を造らないなどを約束、和解が成立。住民らは県に対してイ社への設置許可の取り消しを求めていた行政訴訟を取り下げた。これで一連の訴訟が、すべて終わった。
    ◇
 始まりは95年11月11日の夜だった。鹿屋市下高隈町吉ケ別府の町内会に、イ社側が酒などを持って現れ、同地区で埋め立て容積94万7千立方メートルの管理型処分場を造る計画を明らかにした。だが、その予定地には既に、同社が運営する安定型処分場があった。安定型処分場の産廃を運び出し、その跡を管理型処分場にする計画だった。

 集まっていた約30人から反対意見が出た。同町に住む榎畑健さん(67)は「そんな施設ができて、大丈夫なのかと思った」。

 反対運動は徐々に広がった。97年には予定地の下流にある鹿屋市上祓川町の町内会で「有害物質が井戸水に混入する危険がある」などと建設反対を全会一致で決議した。
    ◇
 98年1月16日。住民らは処分場予定地近くの旧輝北町鳥越の農地で、コンクリート塊や鉄筋などを発見した。イ社側が安定型処分場に埋められていた産廃を運び出し、不法投棄したものだった。

 イ社側は「運搬を任せた会社が勝手に投棄した」と説明し、県は同年7月、イ社に管理型処分場の設置を許可した。

 その後、住民らは工事差し止めの仮処分申請や訴訟を起こした。
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 「裁判所が住民の生命・健康に問題が生じる恐れがあるとした処分場を県は何の問題もないとした」。住民勝利の結果が出た2月9日の会見で、馬奈木昭雄弁護士は語気を強めた。「県はその設置許可について何ら反省もしない。そのことを厳しく指摘しておきたい」

 県廃棄物・リサイクル対策課の前田哲志課長は「建設差し止めは、民間と民間の裁判。県はコメントする立場にない」。その上で、「県にはしっかりした維持管理計画が提出された。これで許可しなければ行政の不作為。県が不当な許可を出したとは今でも思っていない」と話す。

 廃棄物処分場問題全国ネットワーク(東京都)の藤原寿和氏は「審査基準の甘さは国の環境行政の不作為かもしれない。しかし、裁判所が危険だと指摘するような管理能力なら、県が独自に条例で更に厳しい基準を設けるべきで、県の怠慢と言われてもしかたがないと思う」と話す。

2007/02/01 産廃処分場建設差し止め地下水影響『慎重さ欠く』【東京新聞】

千葉県旭市など二市一町にまたがる民間の産業廃棄物の最終処分場は「健康被害が出る恐れがある」として周辺住民が事業主のエコテック(千葉市)に建設差し止めを求めた訴訟で、千葉地裁は三十一日、「有害物質が漏出した場合、生命や身体に重大な影響を及ぼすことは明白」として、住民側の訴えを全面的に認める判決を言い渡した。

判決理由で長谷川誠裁判長は「地下水の豊富な地域に建設されようとしており、立地の選定に慎重さを欠いている。被告の業者に管理を継続するだけの経済的な基盤がない」などと述べた。

さらに「旧海上町(現旭市)松ケ谷地区では半数以上の住民が、処分場方向から供給される井戸水を飲料水として使っている」として、住民に差し止めを求める権利を認めた。原告側弁護団によると、廃棄物に触れた雨水が漏れるのを防ぐなど、継続的な管理が必要な「管理型処分場」について建設差し止めを命じたのは、昨年二月の鹿児島地裁判決に続き全国で二例目という。

2007/02/01 銚子などの処分場訴訟建設差し止め命令地裁「安定的維持管理できぬ」=千葉【読売】


銚子、旭、東庄の3市町にまたがる山林に建設中の産業廃棄物最終処分場を巡り、周辺住民100人が「操業すれば地下水が汚染され、健康被害を被る」などとして、産廃処理業者「エコテック」(千葉市中央区)を相手取り、処分場の建設と操業の差し止めを求めた訴訟の判決が31日、千葉地裁であった。長谷川誠裁判長は「立地の選定が不的確なうえ、操業について適切な維持管理を続ける経済的な基盤がない」と認定し、同社に建設差し止めを命じた。
原告団によると、知事が建設を許可した管理型産廃処分場に対して建設差し止めを命じる判決は、鹿児島県鹿屋市の処分場を巡る昨年2月の鹿児島地裁判決に続き、全国で2例目。2003年10月の提訴から3年余りを費やして勝ち取った全面勝訴判決に、原告側は「裁判所が住民の気持ちをよく受け止めてくれた」と喜びをかみしめた。
訴訟では、同社に当初計画通りの維持管理を続ける資力があるかが主な争点になった。判決は処分場の建設、操業に少なくとも数億円の資金不足が生じるとした上で「安定的な維持管理はできない」と指摘。さらに「有害物質が流出した場合、地下水が汚染されて住民の生命に重大な影響を及ぼすのは明らか」とした。
判決を受け、原告団の高田豊代表(56)(旭市清滝)は「ゴミに殺されるという不安にさいなまれてきた。一刻でも早く地元の住民に判決を伝えたい」と満面の笑み。原告側弁護団も「立地選定の不的確さに踏み込んだ画期的な判決。住民の声に耳を傾けており、健康被害の発生が回避された」と評価した。一方、同社側は「判決の内容をよく見て適切な対応をしたい」とコメントしている。

2007/01/15 産廃処分場建設阻止後世へ 「水源の森記念碑」除幕 山川町山桜などの植樹も【西日本】


住民運動の成果を記念して建立された「水源の森記念碑」

 山川町の住民が町内に計画された産業廃棄物処分場の建設に反対し、計画を撤回させた活動の記念碑が同町河原内に完成した。14日、現地で除幕式が開かれ、松尾文雄町長ら関係者約160人が出席した。

 産廃処分場の計画は1995年に浮上。住民たちは地下水の汚染などを懸念し「ふるさと山川を守る会」(昨年9月解散)を結成して粘り強く反対運動を展開した。その結果、2006年に町が1億1500万円で処分場用地を購入、自然林に戻すことになった。

 碑はJAみなみ筑後柑橘(かんきつ)部会(永野正氣部会長)の山川地区組合員らが「住民が水源を守り抜いたことを後世に伝えよう」と建立したもので「水源の森記念碑」と名付けられた。

 除幕式で松尾町長は「11年に及ぶ住民運動と3人の町長の尽力で解決することができた。これからも水と緑の豊かな山川を守っていきます」とあいさつ。参加者は周囲に山桜15本とクヌギ約150本を植樹した。


2006年11月17日 産廃施設 業者と経済連が計画断念 大津町


 菊池郡大津町真木のJA熊本経済連「大津牧場」跡地をめぐり、産業廃棄物中間処理施設を計画していた共和化工(本社・東京)と土地所有者の経済連が、地元住民の反対を受けて計画を断念していたことが分かった。

 同牧場は経済連が所有し、売却を検討している二十七ヘクタール。同社は下水汚泥や家畜排せつ物などの有機性廃棄物をたい肥化する中間処理施設建設を計画、今年七月に事業概要書を県に提出していた。

 これに対し、地元住民は「水資源への影響や農作物の風評被害が心配」として計画撤回を重ねて要望。町議会が九月議会で反対要望書を可決したほか、町も反対の姿勢を明らかにしていた。

 このため経済連は「協議の進展が望めず、同社への売却は困難」と判断。同社が県に事業概要書の取り下げを申し出、町は十月下旬、県から通知を受けた。

 経済連は「環境への影響はなく産廃施設という認識はしていないが、住民や町の意思を無視することはできない」と説明。新たな売却先については「白紙の状態だが、多額の管理費用がかかるため早急に売却したい。引き続き検討する」としている。(森紀子)


2006/08/03(?) 県『埋め立て停止を』 富津の最終処分場水漏れ【中日新聞千葉県版】

 県は二日、富津市高溝の民間の管理型最終処分場から水漏れが確認されたとして、処分場を管理する大平興産?(東京都千代田区、山上毅社長)に対し、廃棄物処理法に基づき改善を勧告した。

 水漏れの防止策を講じるとともに、改善が確認されるまで廃棄物の埋め立て停止を求めている。十月二日までに改善計画書の提出を求めた。

 県によると、先月の立ち入り検査の結果、処分場の下流にある観測井戸の塩化物イオン濃度が、上流の井戸よりも百倍近く高かった。このため、廃棄物内にたまった塩化物を含んだ雨水などが漏れだしていると断定した。二〇〇三年ごろから濃度の上昇がみられ、水漏れが疑われたが、同社が否定していたという。

 同処分場では、下水の汚泥などの産業廃棄物や焼却灰などの一般廃棄物を受け入れ、埋め立てている。底に遮水シートを敷かず、自然の岩盤をそのまま利用した県内唯一の処分場。岩盤からしみ出したり、壁面の遮水シートが破損したりといった原因が考えられるという。

 漏れた水から検出された有害物質は環境基準以下だった。 (林容史)

2006/7/16 水の安全なぜ守れぬ 筑紫野市産廃処分場汚染問題水源上流に汚水流出 県対策進まず【西日本新聞】

 筑紫野市などが水源としている県営山神ダムの上流にある同市平等寺の産業廃棄物処分場で、致死量の硫化水素ガスの発生が続いている上、汚水が場外に流出していることも分かった。同処分場では、1999年6月に硫化水素中毒で3人が死亡する事故も起きている。県は管理業者「産興」(福岡市博多区)に改善を命じているが、いまだに状況は変わらず、地元住民は不安と怒りを募らせている。
 (筑紫支局・永松幸治)

■住民の懸念現実に

 「水質汚濁が場外にまで及んでいる。命の水がめの安全を守らなければならない」。同処分場問題を協議するため13日開かれた筑紫野、太宰府、小郡の3市の関係者の会合で、筑紫野市の平原四郎市長は沈痛な面持ちで訴えた。

 山神ダムの水を3市に供給している山神水道企業団(企業長・平原市長)が、処分場から流れ出る浸出水を調査したところ、水の汚れの指標となる化学的酸素要求量(COD)で、国の基準の2倍近い数値が検出されたためだ。

 住民からはダムの水への影響を懸念する声が出ていた。それが現実となり、平原市長は「(県には)何度も業者への指導強化を求めてきたが一向に改善されない」と、県に対する不信感をあらわにした。

■県「及び腰」の姿勢

 同処分場をめぐっては、死亡事故の後の2003年1月、許可容量を超えたとして、県は産興に1期処分場の廃棄物撤去を求める改善命令を出した。期限は2回延長され、昨年8月末が最終履行期限となっていたが、改善作業はほとんど進まず、すでに10カ月が経過している。

 さらに、中間処理(選別)をせずに違法に廃棄物を埋め立てたとして、県は昨年6月、産興の事業許可を取り消した。死亡事故があった第2期処分場拡張部では、昨年8月、致死濃度(700ppm以上)を超える1100ppmの硫化水素が発生。今年5月にも600ppmの硫化水素が検出された。

 こうした状況の中で、住民は「大量に残っている違法産廃が撤去されないままになってしまうのではないか」と心配する。住民団体は再三、早急な解決を要求してきたが、県は「業者に原因を究明するように指導している」と繰り返すのみ。「(法的な強制力を伴う)措置命令にしたらどうだ」という声には「生活環境保全に支障があるという要件を満たしているかどうかは分からない」としており、住民の目には、県の姿勢は「及び腰」に映る。

■「臭い物にはふた」

 同処分場は土中で化学変化をしない金属くずやゴムくずなど「安定5品目」だけを埋めることができる安定型処分場で、場内から頻繁に有毒ガスが発生することは本来ならばあり得ない。

 ガスの発生原因は明らかになっていないが「雨水が産廃に付着した有機物と化合する可能性がある」として業者は2期処分場拡張部(約2万2000平方メートル)に約20センチの厚さで土をかぶせ、ビニールシートで覆う対策を計画している。

 6月の筑紫野市議会。この計画を知った市議からは「臭い物にふたをして問題を終結させようとしているだけではないか」という声が飛び交った。しかし、この覆土計画についても、県は「問題はない」としている。

 有毒ガスが繰り返し発生し、場外へも汚染を広げる処分場。県は住民が安心できる抜本的な解決策を、早急に打ち出すことが求められている。

2006/02/03 鹿屋産廃 建設差し止め/鹿地裁判決「井戸水汚染の恐れ」【南日本新聞】


鹿児島地裁に入る鹿屋産廃訴訟の原告住民ら=3日午後0時40分、鹿児島市山下町
 鹿屋市下高隈町の産業廃棄物管理型最終処分場に反対する住民が、建設業者インクス(同市、吉ケ別府一徳社長)を相手に、建設差し止めを求めた訴訟の判決が3日、鹿児島地裁で言い渡され、小田幸生裁判長は業者に対し、建設工事の禁止を命じた。業者側は控訴する方針。
 判決理由で、小田裁判長は「施設の維持管理体制には疑問があり、施設から有害物質が漏れないとは言い切れない」と指摘、「原告らが利用する井戸水に混入する恐れがある」と述べた。
 業者や計画を審査し、設置許可を出した鹿児島県の環境行政に影響を与えるのは必至だ。
 処分場は、インクスが同市下高隈町で運営していた安定型処分場を造り替える形で計画。1998年7月に許可を受け、99年1月に着工した。

 住民側は同年7月、「地下水が汚染される」として、同地裁に工事差し止めを求め仮処分申請。地裁は2000年3月、処分場の安全性に疑問があるとして、建設工事禁止を命じる決定を下した。
 本訴で住民側は地下水汚染の恐れをあらためて主張。「管理型に造り替える際、安定型の産廃を鹿屋市(旧輝北町)の農地に不法投棄した」と指摘し、「業者は信用できない」と訴えた。
 一方、業者側は「処分場周辺の地下水は住民の居住地方向には流れておらず、万一汚水が浸出しても健康被害はない」とし、不法投棄の指摘については、「分別した土砂だけ捨てた」と反論していた。

■管理型処分場
  燃え殻、汚泥、木くずなど有害物質を除く廃棄物を埋め立てる最終処分場。汚染防止のため、埋め立て地の側面や底面をビニールシートなどで覆う遮水工、浸出水を集める集水設備、集めた浸出水の処理施設を備える。鹿児島県内には1カ所もなく、県は公共関与による処分場建設を目指している。他に安定型(ガラスなど安定5品目)、遮断型(基準超の有害物質)がある。


最終更新:2008年03月11日 09:30