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 泉こなたが懐から取り出したものとは…!?
だが、その前に…昨日のシンが気絶している間の、こなたとかがみが電話している時のことを語ろう

こなた「ところでさー、明日…かがみの家に行こうと思ってるんだよね。実はシンの精神修練の最後を飾るに相応しい、とっておきの最終兵器を作ったんだー♪
    だから、ソレをシンに使ってやろっかなーって」
かがみ「とっておきの最終兵器…?またアンタは変なものを…」
こなた「…私も久しぶりにシンの顔が見たいんだよねー。ってわけで、明日行くから!じゃあねー」
かがみ「オイ!勝手に…!…って切れちゃった」

 電話が切れた後…ふと、明日が最終日であることに気づいたかがみは、どこか寂しさを感じていた。
なんとなく、横で気を失っているシンを見る。
かがみ「…っていうか、明日で修練も終わりか。なんか…シンには乱暴なことばっかしちゃったな…!」
    ちょっとは…優しくしといたほうがいいのかな?」
 そう言ってかがみはシンの顔をじぃーっと眺める。
かがみ「どうしてこんなに惨めでカッコわるいのかしら…。…顔だけは意外と男前なのにね…」
 こうして横で顔を眺めていると、かがみは知らぬ間にシンの隣で眠ってしまっていたのだった。

 そしてその日の昼。やっぱり素直になれないかがみがシンにおしおきをしてる最中に、こなたは現れた。
こなた「おーおー!熱いね、お二人さん!」
かがみ「何がよッ!!」
ついに柊家にやってきた、今回の騒動の元凶たる青髪の悪魔…泉こなた。その彼女が持ってきたものとは破滅への道標であった。


 ここで、現在に至るのである。 
こなた「コレ…少しシンにはツライだろうけど、我慢してね。トラウマ克服の道に甘えなどないのだよ」
 そういって、こなたが取り出したのは小さなメモ帳だった。
シン「メモ帳…!?なんだよ、オレ…もっとトンでもないものが出てくるかと…」
こなた「おっと、油断するのは早いよ…シン。これがただのメモ帳だと思う?」
シン「いや、メモ帳自体は普通なんだろうが…どうせロクなこと書いてないだろ?」

こなた「まぁね~。なにせ、このメモ帳には私が作った歌の歌詞が書いてあるんだよー」
シン「歌詞?…ってか、それを…どうしようって言うんだ?」
こなた「今から、私とかがみでその歌を歌うから…それを聴いてもらうんだよ。
    そ れ に 耐 え る こ と ができれば、この精神修練は終わり。
    まぁ、かがみの扱きに耐えたんなら…これくらい楽勝楽勝♪」」
かがみ「っていうか、ソレ…私も歌うのか…!リズム分からないんだけど…」
こなた「そこは大丈夫だよ、かがみん。私が前に作ったやつとリズム同じだから。アレの歌詞を変えただけだよ」
かがみ「ああ…あの電波ソングね…。ってか、あんなの聴かせてどうすんの?」
こなた「いーからいーから」
 そういって、こなたはあからさまに怪しい笑みを浮かべる。

 しかし、シンはそんなこなたの様子にも気づかず、せっせとフラグをたてるのだった。
シン「とにかく、耐えれば…いいんだな?…へッ、歌を聴くぐらいなら…誰にだって!!」
こなた「…悲しいくらい死亡フラグ立てるのうまいね…。ま、それがシンだけど…。
    あとさ、この歌を舐めてもらっちゃ困るよ。はっきり言って、軽い気持ちでは聴かないことだね。
    製作コンセプトは{楽しい曲調で、楽しく人の精神を弄る}ってヤツだからさ。
    それにネットのみんなに、効率的にトラウマを刺激して精神を弄るための歌詞を一緒に考えてもらったんだよ、すごいでしょ!」

 その明るいようで残忍極まりない製作コンセプトや製作体制を聞いたシンは、悪寒を感じた。
シン「た…楽しく人の精神を弄る…?や…やっぱヤメだ、こなた。ソレ、絶対にロクなもんじゃ…」
こなた「ノンノン♪もう戻ることはできないのだよ。ってわけで、歌うから聞いてもらうよ!
    私がだいたい作詞した…その名も、{持ってけ!主人公!}」

 こうして、二人は「持ってけ!主人公!」なる歌を歌いはじめる。
その歌詞はいろんな意味であまりに強烈であった。シンの数々のトラウマを異常なまでに刺激し、歌が進むごとにシンは精神を追い詰められていく。
シンは思わず耳を塞ぎたくなる衝動に駆られたが、未だ体が木にロープで縛られたままだったので…どうしようもない。
何も出来ぬまま、シンはただ…その歌を聴き続けたのだった。


 そして、二人は歌い終わった。
シンにとってはまさに地獄の約5分間であったのだろう…。呻き声をあげながら身悶えていた。
シン「う…お…お…あ…がぁッ!!」
 その様を見たかがみは、シンの側に駆け寄って様子を見る。
かがみ「やっぱりというか、かなり効いてるみたいね…っていうか、シン…大丈夫?
    ねぇ、こなた…少しやりすぎたんじゃ…?」
こなた「いや、今日のシンは一味違うはずだよ。ここで、シンはきっと脱トラウマができるって…私は信じてるよ…」

 すると、不意にシンの体の震えが止まった。そして、…上を向いて空を見つめ始め…笑い始めたのだ。
かがみ「シン?どうしたの?返事をして!シン!」
こなた「…大丈夫だよ、かがみん。どうやら耐え抜いたみたい。あの笑みはやっとトラウマを克服した喜びの笑みってところかねぇ…
    さっすがシン☆強い男になったね…。あとさ、返して!主人公!って歌も作ってきたんだけd…」

 しかし、こなたの見解は見事に外れていた。
連日からの疲れもあったのだろう。もはや、シンの精神は限界を超えてしまっていたのである。
シン「ああ…!大きな星が点いたり消えたりしている。アハハハ…大きい!…彗星かな?
   いや違う、違うな。彗星はもっと、バァーって…動くもんな」
 シンは虚ろな目で空を見上げている。二人は異変を感じざるを得なかった。

かがみ「あ…あぁ…!」
こなた「…アレ、シンのセリフ…なんかのアニメで聞いたことあるや。えーっと確か…!?
    まぁいいや。あぁ…かがみ…かがみ…シン・アスカが聞こえますか?」
かがみ「…な…何言ってるのよアンタ!あの状態は間違いなくヤバイわよ!
    は…早くシンを病院に…!」
シン「狭ッ苦しいなココ、ふぅ…抜け出せないかな?おーい、縄解いてくださいよ~!ねぇ?」

こなた「ムゥ…。コレは流石にやりすぎたみたい…いやー、酷いオチだね…」
かがみ「…ダメ!シン、行っちゃダメよ!!こっちに…こっちに帰ってきなさい!!
    ねぇったら!帰ってきたら…少しは優しくしてあげるから!!」

 空しくも、かがみの必死の叫びは届かない。
そして儚くも、この修練はトラウマを克服どころか…助長するだけのものになってしまったのだ。
…シンの心はどこかへと行ってしまった。そして、その心が戻ってくることは……なかったと言う。

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最終更新:2009年05月02日 11:32
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