ついに、最終日を迎えた精神修練。その日の朝のこと。
シン「……………!」
朝、やっとシンは目が覚めた。だが、その目覚めの気分は果てしなく最悪である。
ズキズキと痛む顔。結局、大して食べることのできていない飯。それらからくる、肉体的・精神的疲労があるからだろう。
シン「もう…朝か…」
そして何を思ったわけでもなく、シンは辺りを見回した。すると…、すぐ横に
かがみの顔があった。
かがみ「…スゥ………スゥ……」
かがみはシンのすぐ隣で眠っていた。可愛らしい寝息をたてながら眠っているかがみを見て、シンはこれを好機と捉える。
シン「…悪いけど、俺はチャンスを逃さない…。今のうちに逃g…って言うのもなんか格好悪いから…撤退させてもらうとでも言っておくか」
するとシンはあの手この手を使って縄抜けした。今までも縄を抜けようとすれば抜けれたが…かがみの監視があまりに厳しく、実行できなかったのだ。
シン「二日間、よくもまぁ…あそこまで苦しめてくれたな。この埋め合わせは…後で必ずしてもらう。…じゃあな」
シンは怒りと皮肉を込めながらも、静かにその場を去ろうとする。すると、不意に誰かがシンを呼び止めた。
かがみ「…う…ん…シン……!」
シン「………!なんだよ、アンタ…しつこいな。…オレは出て行くったら出て行く」
いい加減、怒りの感情が最高潮まであがりかけていたシン。しかし、ここでシンはちょっとしたことに気づく。
まだ…かがみは眠っていたのだ。ということは…
シン「なんだ、寝言かよ…。びっくりさせるな」
そしてシンは今度こそ出て行こうとする。が、なおもかがみは誰に言うでもなく、寝言を続けた。
かがみ「…ホント、シン…ダメな…ヤツ…。甲斐性なしで…根性なし。私の気持ち…全然気づいてくれないんだから…」
シン「(…アンタの気持ち??…オレにはアンタの気持ちなんて、明らかな殺意しか感じられないけどな…)」
全く持ってシンは鈍い男である。しかし、内心シンは怒りながらも…もう少し寝言を聞いてみることにした。
かがみ「シンは…バカで…鈍感…シスコン、へタレで…短気…自己中。マジで…最低よ…」
シン「………!!寝言で…ここまでオレをバカにするか…アンタは」
ここでシンはかがみにイタズラでもしておこうと考えた。今までの仕打ちを考えれば、バチは当たらないだろう、と。
というわけで、かがみの手足をそばにあったロープで縛ろうとしたその時のことだった。
かがみ「けど…最低だけど、そんなだから……心配になって世話を焼きたくなっちゃう…。
だからって…こんな乱暴なことしたいわけじゃない…。その…、優しくしてあげたいのに…どうしても乱暴なことしちゃう…」
シン「…おい…かがみ…?」
かがみ「…でも、私の気持ちに…気づいてくれない…アイツが悪いの。それにシンなんて…私が側にいてあげないと、絶対に生きていけないわ…。
そうよ、だから……私が…ずっと一緒に…」
ここで寝言は途切れた。シンはふと、かがみが目に涙を浮かべていることに気づく。
最後の方があまり聞き取れなかったものの、シンは思わずロープを持った手を止めていた。
シン「……なんというか、よくわかんないけど…アンタはアンタなりに…オレのことを心配してくれてたってわけかよ…。
くそ、なんだか…撤退しにくくなっちまった…」
そして、シンはかがみの目に溜まった涙を指で拭ってやる。
シン「ってか…、普段どんなに凶暴でも寝顔だけは…案外可愛らしいもんだな…」
シンは静かに3つのことを決意した。脱トラウマ…と。必ず、かがみを見返すと。そして、もう心配はかけさせない、と。
こうして精神修練を最後までやりとおすことを決意したシン。しかし、程なくしてシンは自分の考えが甘かったことを知った。
世は…あまりに無情である。決して報われはしないのが、シンというキャラクターなのであろう。
あの後、デコピンでかがみを起こしたシンだったが…縄抜けしていたシンを見て脱走の疑いを持ったかがみが、
シンをロープで木に縛りつけ、抵抗などできるはずもないシンを竹刀で叩きまくってフルボッコにしたのだ。
竹刀の打撃の中、シンは必死に言葉を告げる。
シン「オイ…!もうやめr…ゴハッ!!コレ、絶対に…ただのリンチだろ!!」
かがみ「う…うるさいわね!逃げようとしたアンタが悪いんだから!これはアタシから逃げようとするとどうなるか、
身をもって教えてあげてるのッ!(バシッ×50)」
シン「いや、確かに逃げようとしたけど…アンタの寝言聞いて…思いとどまったんだ。オレのこと、心配してくれてるみたいだったしさ…」
かがみ「わ…私が…寝言!?な…なななな何言ったか知らないけど、私はアンタを心配してるんじゃなくて、
みゆきを心配してるの!
変な勘違い…しないでッ!!(ドゴッ!)」
ここでかがみがフィニッシュに放ったのは蹴りである。それは見事にシンの大事な部分にヒットしていた。
シン「…カハッ…!す…少しでも甘さを見せた俺がバカだったってことか…。でも、なんで…なんでこうなるんだよッ…!!」
しかし、もう遅い。この苦難の道を選んだのはシン自身。破滅へのジェットコースターに、シンは自ら進んで乗り込んだのだから。
そしてゆっくりと破滅への片鱗が動き出す。シンの顔が原型をとどめていないほどにボコボコになった後、かがみが急にこう言い出したのだ。
かがみ「あ、そうそう。今日ね、もうすぐ…
こなたがくるから」
シン「こ…こなたが?」
かがみ「そうよ。なんでも、精神修練の締めを飾るに相応しいものを作ってくるって言ってたわ」
シン「締めに相応しいもの…!?…なんだ、この言い知れぬ不安は…!」
シンは動揺を隠せない。襲いくるどうしようもない不安を拭うことはできなかったのだ。
こうして昼…青髪の悪魔が…やってきたのだった。
こなた「ヤフー!シン、元気だった?」
シン「…この顔が元気に見えるってんなら、アンタ…眼科に行ったほうがいい」
こなた「いやー、でもさ…大分男の顔になってきたじゃん!
だから、安心してコレを出すことができるよ…」
こなたは真っ黒な笑みを浮かべる。それがシンの不安を余計に掻き立てていく。
シン「コ…コレ!?何だってんだよ…。つーか、この理不尽な修練もあと…あともう少しなんだ。絶対に…絶対に…オレはッ!!!」
そうしてこなたが懐から取り出したものは…シンが乗り込んだ破滅へのジェットコースターを動かすのである。
最終更新:2009年05月02日 11:25