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12-445

シンはこっちに来て、居候の家の住人の影響か、年相応のオタクになっていた。
シンはどちらかというと読書も好きだったので、こなたがバイトしている時などは
1人で近江谷にいってその手の店を色々と訪ね歩いていた。
その中には、あの「アニ○イト」もあった。
初めはおそるおそる入ったシンも、店長の兄沢の雰囲気に見せられ常連と化していき
ついには週1のペースで通うようになった。

そして12月後半のある日。シンはいつものように店に行った。
そこには近江谷店の店長、兄沢命斗がいた。
シン「こんにちは、店長。」
兄沢「いよう、少年。今日も来てくれたのかい?今日は何か?噂の小説版08小隊の
   新装版が目当てか?それともケロケロエースか?」
シン「いや、今日は特に何も・・・」
兄沢「まあ、少年はよくうちで物を買ってくれるからな、上得意様もいいところだ。
   ゆっくり店内を見てって欲しい。何か見つけたい物でもあるなら俺が探してやるぞ。」
シン「まあ、今日はどちらかというと、俺のじゃなくて・・・」
兄沢「お?何か?もうすぐクリスマスも近いし、彼女にでもプレゼントするモノを探しにでも来たのか?」
シン「い、いえ!!、べ、別に彼女っていう存在じゃ・・・」
兄沢「おいおい、そう言うところはな、素直にならないと駄目だ。特にそばに気になったりならなかったりする
   微妙な関係の女がいる場合にはな」
シン「そういうものなんですか?」
兄沢「そうだ、俺も今店もヒマだし、少し昔話をしてやろう。俺の知り合いにな、それはもうとても強い
   格闘家がいたんだ。そいつは格闘を専門とする兵器に乗り込んで、4年に1回開かれる武闘会の優勝を
   目指してがんばっていた。」
シン「格闘する兵器ですか?」
兄沢「そうだ。その兵器は格闘家の動きと連動する特殊な兵器でな、格闘家の技量がそのまま兵器の技量になるが故に
   来る日も来る日も修行に明け暮れた。それはその当時最強といわれた格闘家の弟子として恥ずかしくない腕を積み、
   そしてその師匠を心から慕うことから来ていたんだ。ところが、ある日その幸せの歯車が崩れた。」
シン「幸せって・・」
兄沢「そいつのパートナーの幼なじみの女性がいて、その父親が、同じ研究者同士の格闘家の親父の研究成果を妬み
   環境改善などの平和利用を目的として作成していた兵器を改造して悪魔の兵器に変えてしまったんだ。」
シン「な、なんてことを・・・」
兄沢「そのおかげで彼の兄は悪魔の兵器に取り込まれ行方不明、母は死に、父親も責任を取らされて冷凍されてしまった。
   その格闘家は武闘会は表向きで、実際は悪魔の兵器に乗り込んだ兄を捜しに出かけたわけだ。」
シン「・・・・敵討ちって所ですか・・・」
兄沢「初めはそう思いつつ、兄を捜して他の格闘家と激戦を繰り広げていた。ところが事実はかなり残酷だった。
   武術を教えた師匠は実は悪魔の兵器を利用としていた悪の組織の首領と化し、やっと出会えた兄も
   悪魔の兵器の一部としてそれは人とは言えない行動をしていたのだ。」
シン「そ、そんな・・・信頼できる人と肉親に裏切られるなんて・・・」
兄沢「そんな彼にも闘いを繰り広げるうちに仲間が出来、また幼なじみのパートナーの献身的な助けもあって
   苦労の末、武闘会に優勝し、悪に染まった師匠を退け、そして悪魔の兵器を倒すことが出来た。
   しかし、その悪魔の兵器を、格闘家が所属する国の軍人が自身の野望のために復活させたんだ。」
シン「そ、そんな馬鹿な!!仲間もいるのだから倒して復活するなんて!!」
兄沢「その悪魔の兵器は、自己回復能力、自己増殖能力、そして自己進化能力を備えていてな、
   その力に魅入られた軍人が己の力のためにその復活を目論んだ。だがこの兵器は生体ユニットをコアとして
   動く兵器で、1回目に格闘家が破壊したときは、自分の実の兄がそのユニットだったのだ。格闘家は、涙ながらに
   それを粉砕した。」
シン「そ、そんなのひ、ひどすぎる・・・」
兄沢「普通ならコアを破壊すれば兵器は役に立たないだろう。だがな、その軍人は武闘会が終わった後に
   新たなる生体ユニットを手にいれ、それを組み込んだ。」
シン「え?生体ユニットになれる人がいたんですか?」
兄沢「そう、軍人は、有る科学者から生体ユニットの条件を聞き出し、そしてその適格者を捕らえて
   無理矢理悪魔の兵器の生体ユニットに組み込んだ。そう、その科学者の娘、格闘家の幼なじみをな。」
シン「なんて酷いことを!!自分の野望のためには協力した科学者の娘すら利用するのですか!!」
兄沢「その軍人はかつて武闘家ではあったが、力不足も合って優勝出来ず顔に酷い怪我を負ったのだ。
   それがコンプレックスとなってそのような行動を取らせたのだろう。」
シン「そんな、自分の欲望のために・・・」
兄沢「それを知った格闘家は仲間と共に、悪魔の兵器を利用して逆に格闘家たちを倒そうとした軍人を
   何とか打ち倒した。だが、悪魔の兵器の活動は止まることがなかった。」
シン「どうしてですか?操る軍人がいなければ・・・」
兄沢「そのコアである生体ユニットは、格闘家の幼なじみだ。彼女は彼に好意を持っていたにもかかわらず
   来る日も来る日も修行と兄捜しに明け暮れ、武闘会に興じる格闘家が一向に自分をパートナー以上と
   見てくれないことに失望し、心を閉ざしてしまったのだ。まるで石の銅像のように、生体コアとして
   悪魔の兵器に内蔵されていたんだ。」
シン「そ、それでその格闘家は、まさか悪魔の兵器を・・・」
兄沢「格闘家は、そこまで馬鹿じゃなかった。パートナーがいなくなった瞬間、自分が如何にパートナーに
   支えられてきたか、そしてそのパートナーが好きであることを格闘でごまかしていた自分が如何に愚かだったか
   素直に反省した。」
シン「・・・・」
兄沢「そして格闘家は悪魔の兵器と自分の兵器で対峙したとき、彼はコックピットからおり、暴れ続ける悪魔の兵器に語りかけた。」
シン「説得に出たのですか?」
兄沢「そう、彼は拳で語る術はよく知っていたモノの、言葉にすること、気持ちすることの意味をよく理解していなかった。
   だが、彼はそのパートナーが、何よりも気持ちを言葉にして欲しいということに、数々の闘いの中でようやく
   気が付いた。だから、彼は生身の体で悪魔の兵器に対峙し、そして自分の気持ちを語った。」
シン「悪魔の兵器の攻撃はなかったのですか?」
兄沢「その時は、悪魔の兵器も攻撃を辞め、格闘家が語るパートナーへの気持ちをまるで落ち着いて聞くかのように
   じっとしていた。そして・・・」
シン「そして・・・」
兄沢「彼はな、最後に自分の気持ちを短く、そして大声で伝えたんだ。
   『お前が好きだ!!お前が欲しい!!』ってな。」
シン「ちょwwwそれwww」
兄沢「さすがにこれはいきなりは引くかも知れない。だが、生体ユニットになっていた彼女に対しては、
   その言葉こそが心を開かせる唯一の呪文だったようだ。彼女はユニットから人間に戻り、そして・・・」
シン「そして?」
兄沢「2人で兵器を操縦して、生体ユニットが無くなった悪魔の兵器を、今度は完璧に破壊して本当の幸せを
   手にいれたんだよ。」
シン「そ、そうなんですか・・・」
兄沢「俺の知っている話しはそこで終わりで、その2人はその後どうなったかは俺もよくは知らない。だが、その2人は真実な意味で
   幸せをつかんだんだと思っているよ。」
シン「幸せをつかむ・・・」
兄沢「その兵器は、決め技として右手を発光させて敵につかみかけて破壊する必殺技がある。
   その必殺技が出れば勝ったも同然だった。人生も同じ事だ。
    幸せをつかむときはな、こう叫んで自分から掴みに行くことが大切だ。
   『俺の右手が光って唸る!!幸せつかむと轟き叫ぶ!!」って感じでな。」
シン(なんかディスティニーのパルマみたいだな・・・)
兄沢「おっと、しゃべりが過ぎたようだ、少年、合い言葉はさっきの通り。決めるときは「自分の右手が光って唸る!」ようにな。」
シン「は、はい。店長、凄く為になりました。俺も幸せを自分からつかめるようにがんばります!!」
兄沢「うむ、頑張れよ少年。彼女のハートをつかみ取らないとな」
と握りしめた右手を前に出して決める兄沢。
シン「あれ、店長?」
兄沢「なんだね、少年?」
シン「店長の右手に、何かハート型の傷が付いていませんか?」
兄沢「ああ、これか、これは昔怪我をしたときに付けた傷だ。なんかハート型でちょっと恥ずかしいけどな。」
シン「あ、そんなことが・・・済みません。余計なことを聞いてしまいましたね。」
兄沢「なーに、遠慮は要らんよ少年。さ、少年、彼女のハートをつかむ何かを買っていってくれ!!」
シン「店長、今日は俺やっぱり・・」
兄沢「何?そうか、俺の話を聞いて落ちついて1人で考えて見たくなったか。それじゃしょうがない。また来てくれよ。」
シン「はい、店長。また今度!!。あと、小説版08小隊の新装版は取り置きしておいて下さいよ!!」
兄沢「おう、常に在庫はキープ済みだからな!!」
シン「はい、では店長、俺はこれで・・・」
自動ドアから去ろうとするシン。しかし、兄沢が呼び止める。
兄沢「おい、少年、最後に。」
シン「は?店長、何か忘れ物でもありましたか?」
兄沢「幸せはな、「キング・オブ・ハート」の精神でつかみ取れよ!!」
シン「は、ハイ・・・・(なんだろう、キング・オブ・ハートって・・・)」
兄沢「頑張れよ、少年!!」
シン「店長、ありがとうございました!!」

そしてアルシエ前でシンは
(俺の右手が光って唸る・・・幸せつかめと轟き叫ぶ・・・。
 あの時、あの技の時にこう叫んでいれば・・・、俺は幸せをつかむためにディスティーに乗っていたん
 じゃなかったんだな・・・そうだよな、マユ・・・)
しばらく考え込んでいたが、やがて

シン「さて、俺の右手も、幸せを掴みに行くとするか!!」

シンは糖武野田線に乗り込み、その先にある幸せを掴みに戻っていった・・・

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最終更新:2008年03月03日 10:45
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