翌日。
シンは悩んでいた。
(とりあえず、どうするべきか…)
そうじろうの『一生のお願い』という言葉に押し切られ、渋々例の件を承諾してしまったのだ。
気が重い。仮に
こなたに好きなやつがいたとして、その事実を伝えると…
『滅・殺!』
とか叫んで飛び出して行きそうだし、いなかったとしても、あの親ばかぶりからするとおそらく疑念は晴れることはないだろう。
「おーっす」
うんうん唸っているその後ろから声がした。
「え・・・?あ、
かがみ」
「どうしたのよ、朝から思いつめた顔して。」
肩より長いツインテールに整った釣り目。柊かがみが立っていた。
「わかるか…わかるよな…」
ハァ、とため息をひとつ。我ながらなぜ承諾したのか。憂鬱だ。
「うわっ、何?本当になにか悩みでもあるの?」
「ああ、まぁ、そんな感じだ…ハァ…」
肩を落として隣を歩く男を不憫に思ったのか、かがみは言う。
「…その、あ、あたしで良かったら聞いてあげるわよ?」
「ほんとうか!?」
「え!?ええ、べ、別にいいわよ!」
かがみの意外な申し出に、シンは藁をも掴む思いですがった。
瓢箪から駒…というわけではないが、相談できる相手ができた分まだ心持は軽くなる。
「で、何を悩んでたわけ?」
「ああ、実はな」
周りを確認し、かがみにだけ聞こえる声量で話すシン。
「こなたって…好きなやついるのか?」
「・・・え?」
「いやだから、あいつに好きなやつがいるか知らないか?」
「それって・・・」
寝耳に水。藪から棒。青天の霹靂。
かがみにとって、シンの言葉はまさにそれらのことわざ通りだった。
(こなたの好きな男を探ってるって事は…まさかシンはこなたの事を!?)
かなりショックだった。
らしくないとは思いながらも密かに想っていた男が、よりにもよって親友の事を好きになるとは。
(というか、それって当人が気づいてないだけで両想いじゃないの!?)
役どおりツッコミをしつつも、かがみは目の前が真っ暗になるような気がした。
・・・もちろん、これは誤解であるが・・・かがみはまだその事を知らない。
「なぁ、知らないか?」
「え・・・えっと・・・そ、そうね、昼休みにでもそれとなく聞いてみるわ!」
「ほんとか!?サンキューな、かがみ!」
「別にいいわよ・・・」
少しばかり肩の荷が下り楽になったシン。
誤解といえど、ショックから立ち直れないかがみ。
先ほどとはまったく逆の心持の二人がそこにはいた。
最終更新:2008年04月14日 12:59