アットウィキロゴ

避11-623

翌日。
「でさ、実際お前らどうなのよ??」
「何がだよ」
3-Cの教室の片隅、シンは白石に絡まれていた。
「お前、こっちに転向してきてずっと泉の家にいるんだろ?
 そりゃお前…男と女が一つ屋根の下なら少なからずムフフな展開が…」
「・・・ハァ」
シンは白石の問いに呆れながら、返答の代わりにため息をひとつついた。
そうじろうさんといい白石といい、一体なぜここまでこなたのことを話題にあげるのか。
辟易しながらも一応返答しておく。
「だーかーらー、何もねえよ!しないし、され…てはいる…いやいないか。」
「何だ!?ま、まさかお前…ヒィィ!!」
シンの答えに一人驚いて後ずさる白石。彼の頭には一体どんな光景がうかんでいるのか…
「何って、別に何も!」
「ほんとか!?本当だな!!?」
「・・・ああ」
さすがに、たまに寝ぼけたこなたが布団に入って来ることを言う事は出来なかった。
何もしていないとはいえ、目が覚めたら目の前に女の子が寝ている。ただ事ではない。。。
しかし、それ以外は特に思い当たるふしもない。
毎日こなたの作る夕食を食べて、勉強を見てやって、遊び相手をして。
白石の言うような男女の関係よりも家族と言ったほうが近いのかもしれない。
「…そうか。ああ~、まぁそうだよなぁ~…」
「ていうか、何でそんな事聞いてくるんだ?」
「それはな…あ、別に俺が泉を好きってわけじゃないぞ?
 俺が好きなのはアスカちゃん…って、それはおいといて。
 なんとなく何だが、泉って最近なーんか変わった気がしてな。」
「変わった、か」
「まぁ、俺の気のせいだろうな、なんたってあの泉だもんなハハハ」
父親であるそうじろうならともかく、単なる知人の白石にまで分かるほどの変化らしい。
なぜ自分には分からないのか…シンは少し自分の人を見る目に自信がなくなった。
「話してる途中悪いけど、ちょっといいかしら?」
不意に、会話を断ち切る声がした。
かがみ
声のする方にはかがみが居た。
おそらく、例の件で話に来たのだろう。
「ちょっと話があるんだけど。…二人で」
チラッっと白石のほうに視線をやる。その視線には言いようのないプレッシャーが込められていた。
「お、お~、どうぞどうぞ!言われなくてもスタコラサッサだぜ!じゃあまたな!シン!!」
そういい終えたときには白石は既に教室の扉から出て行っていた。
なんだ、なんなんだあの逃げ足は。あいつがパイロットなら戦場でも生き残りそうだな…。
「昨日の事か?」
「それも…あるわね」
「ここじゃ何だし、他人に聞かれない場所で話そうぜ」
「…うん」
いかがみにいつもの歯切れのよさはなかった。
春は近いといいながら、まだまだ屋外は寒かった。
シンは自販機でコーヒーを二つ買い、一つを向かいに座るかがみに渡す。
「ほら」
「あ…ありがと」
「で、あれから何か分かったのか?」
「うん…」
どうもいつもと違う。重々しいというか、悩んでいるというか。
「いるわ…」
「え?」
「あいつ、好きな奴いるわよ、きっと…」
なんと言うことだろう。もっとも恐れていた、あってはならない事態だ。
例えるならば、グーンで陸に上がったらそこは敵の基地でした!くらいの恐ろしい事態だ。
「な、なんだって!?…マジかよ!!」
「確証はないけど、八割がたね…」
まずい。非常にまずい。
このままではぶつけようのない怒りに身を委ね、やけ酒するそうじろうさんに付き合わされることになる。
それだけはなんとしても避けなければならない!
「やっぱり…ショック?」
「そりゃそうだ!こんな嫌なことはない!!」
「そっか…」
視線を落とし俯くかがみ。声は小さく今にも消え入りそうだ。
確認するまでもない、この男はこなたの事を好きなのだ。
もう自分の入り込む余地はない…。
かがみがそう思うのも無理はない。
だが、今のシンがそれに気づくのは…不可能だった。
「でも…大丈夫よ、アンタなら」
泣きそうになる自分を抑えつつ、精一杯のエールを送った。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年04月14日 12:59
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。