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「ふあぁぁぁああ…!」
 冬休み明け。大勢の人が集まっているおかげか、外界とは違ってほんのり温かい朝の教室。
オレはこれ以上ないくらい、だらしない顔で欠伸していた。
正月明けだからだろう、自分でも気が引き締まっていないなということを体で感じつつ
まぁ欠伸ってのは誰がやってもだらしないもので、あのハムスターだって欠伸すると…
それそれは面白い顔になってるもんだと言い訳してみる。
「……うー! どうしよー…!」
 そしてオレの席の隣に座る少女、同居人でもある泉こなたは別に欠伸なんぞしてはいないのだが…
いつもの余裕綽綽な笑みはなく、ひたすら顔が青ざめていた。
顔と髪の色が一体化してるせいで、もはや人間とは思えぬ体裁となったこなたを見つつ俺は思う。
 そう、こなたは冬休みの宿題なんぞほとんどやってないからこうまで狼狽しているのだが…
「こなた…今のアンタの顔、オレからすりゃメチャクチャ面白いぞ」
 オレは動揺しまくってるこなたの顔を見て、はばかりもせず嘲け笑っていた。
なんたって今のオレの気持ちを一言で表わすとするならば…「こなた…ざまぁwww」に尽きるのだ。
女の子相手にこの仕打ちはヒドイと思われることもあるかもしれないが…
それは「断じて否ッ!」であるとオレは信じている。
 なぜならば、オレはこの冬休み…こなたにどれほど甚大な被害を負わされてきたか…計り知れない。
その悪事の一部を…ここで紹介すれば、皆もこの気持ちをわかってくれることだろう。

「ふんふーん♪」
 一つ。楽しげに鼻歌歌いながら…俺のMGデスティニーを破壊するこなた。
「ねぇねぇ、シンの今月のバイト代…全部私が使っちゃったー♪」 
 二つ。全く悪びれない様子で、オレに信じ難いことを告げるこなた。
「シンー♪ お年玉ちょーだい♪」
 三つ。思わずその頭をカチ割りたくなるようなことをほざきやがった泉家の害虫。

 と…話を挙げたらキリがないほどの被害(主に財政的・精神的に)を受けた。
そして先日、つまり冬休み最後の日にこなたはオレに宿題の手伝いを命じてきたのだが…
「だが断る」
 もはや我慢の限界にきていたオレは、ついに真正面からこなたに立ち向かったのだった。

 それから、夜通しオレとこなたの口論は続き…今に至る。
「シンってばー! 宿題手伝えー! ってか私の代わりに全部やれー!」
「うるさい! アンタは黙って黒井先生から鉄槌を受けてろ!」
 こなたはかなりしつこかった。やはり『青いゴキブリ』の異名は伊達ではないようで
ハンパない粘り強さである。
 ってか、オレと口論してる間に宿題やってりゃいいのに…学校まで来てしまった今とてこなたはそれをしようとしない。
よほど意地になってるのだろう。こうなったら、オレに宿題を全部やらせるまでこの口論は続くのかもしれない。
が…オレも男だ。ここはビシッと、こなたの生意気な口を止めておくことにした。
「…フゥ、こなた。そろそろこんな不毛な争いはやめよう。オレはアンタの奴隷じゃないんだ。だからさっさと」
「それはわかってるって。シンは私の『サイフ』だもん♪ あ…、あと家畜ね」
「……………………………!」
 思わず…どっかからロードローラを持ってきたくなる衝動に駆られたのは、無理もないと思いたい。 

 だが、そんな生意気なこなたにもついに裁かれる時がやってくる。響き渡る本鈴、これが意味するものは…!
「おーっす! 皆、冬休み中は元気にやっとったかー?」
 クラス担任、黒井ななこの登場である。その姿を見た瞬間、こなたの体が小刻みに震え始めたのは言うまでもない。
「じゃあ、早速…冬休みの宿題を集めよか? もし忘れとったら…承知せんからな」
 凄みを利かせた声で、生徒を脅す教師黒井。こりゃ、忘れてるやつは相当ヒドイ目にあいそうである。
「まぁ、オレは大丈夫だけど」と、オレが当てつけのように隣を見ると…
「ふぉ…ふぉおおお…!」
 どこぞの変○仮面みたいな呻き声をあげつつ、こなたが口を金魚みたいにパクパクさせている。
どうやら、ここで終わりのようだ。こなたよ、オレの心の声が聞こえているのなら…自身の愚かさを呪うがいい。
アンタはいい友人であったが…それもこれも、君の素行がいけなのだよ。
 オレは人知れずこなたに合掌をした後…ゆうゆうとカバンから宿題を取り出した。

「……………………あれ?」
 しかし…何かオカシイことに気づいたのはそれから一瞬の後のことだ。
カバンの中には…ちゃんと宿題のプリントやらが入っている。それは間違いない。
だが、どうしてだろう? その全てがホー○ドもびっくりなくらいに真っ白なのは…?
 オレがこの驚きの白さのワケを考えて、事態を理解するのにそう時間はかからなかった。
「ふッ…! 認めたくないもんだな…! 己の若さゆえの過ちってやつを…」
 溜息をつきつつ、オレは静かにカバンを閉じると…

 怒涛のごとく、教室から逃げ出した。


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最終更新:2008年05月02日 15:55
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