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満月の夜になるとアイツを思い出す。


赤毛の少女

名前に似合わない性格

そして大切な存在


俺はアイツの妹を撃った。
軍の脱走者として、殺した。

アイツにだったら撃たれてもいい、そう思っていた。
それだけのことを、俺はアイツにしたのだから。
許されるより、恨まれる方がマシだと思っていた。


それでもアイツは俺を求めてくれた。
たとえそれが傷の舐め合いだったのだとしても、俺達にはお互いを求め合っていた、確か
な時間が在った。

だから、満月の夜になるとアイツを思い出す。

この世界に来る瞬間、あの世界で最後に見たのは、月へ落ちる俺を追いかけるアイツの
機体だった。
アイツは最後まで俺を求めてくれたのだ。

そんなアイツは今、どこで何をしているのだろう?



「アイツ・・・元気かな?」

だから、満月の夜になるとアイツを思い出す。


満月の夜になると彼はいつもの彼ではなくなる。

彼の目には私はおろか、この世界の全てが写っていない。
満月になると、彼の心は彼のもと居た世界に戻るのだ。

だから、満月の夜になると彼はいつもの彼ではなくなる。

きっと彼の視線の先には彼女がいるのだろう。
彼は何も言わないが、そう思える不思議な確信がある。

彼がこの世界に来た頃、寝言に出てきた1人の女性の名前。

それは彼の大切な人。

あの2人の関係は文字通り客観的に見てきた。

あの時はただ同情した。
けど今は、彼女に嫉妬してしまう。


あなたはいつまで彼の心に居るのか?

私にその座を与えてはくれないのか?

あなたは―――


考えれば考えるほど子供じみた、醜い独占欲。

それでも彼を求めずにはいられない。

そこまで私は彼を―――


「シン・・・好きだって、伝えたいよぉ・・・シン・・・」


だから満月の夜になると私はいつもの私ではなくなる。





『満月の夜になると』

~Fin~

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最終更新:2008年06月01日 19:37
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