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前スレの
 996 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 21:39:20 ID:71f3o8q7
 1000ならPart17はみなみの情報制御下におかれる。
に感化されてみなみネタを投下します

まだ少し肌寒い風が吹いている3月中旬、シン・アスカは公園で1人黄昏ていた。
先日、陵桜学園を卒業したこなた達は2泊3日の卒業旅行に行っている。当初はシンも誘われていたのだが、一緒に卒業したわけでもない自分が、学生生活最後の思い出作りに水をさすわけにもいかないので丁重に断っていた。
「………ふぅ」
かがみは大学の法学部、つかさは調理の専門学校、みゆきは有名な医科大学、そしてこなたは何を思ったのかは知らないが教育学部に進学する。これから4人はそれぞれ違う道を進むことになるが、その友誼は途切れることは決してないだろう。
そんな深い絆で結ばれている彼女達を眩しく思いながら、シンはふと足下に視線を向けた。夕陽に照らされてできた影が寂しそうに揺れている。
「早いもんだな~」
もうすぐ自分は3年生になる。進路のことも本格的に考えなければいかなくなるだろう…。そんなことを考えている自分を顧みてシンは苦笑した。
この世界に来る前、C・Eにいたころは自分の将来など考えたこともなかった。戦争に巻き込まれ、ただ力が欲しかったからZAFTのアカデミーを卒業し、赤服になった。護りたいものさえ護れれば、自分のことはどうでも良かったのだ。
『だから、シンとはまた明日……明日ね、明日!』
「明日……か」
この世界に飛ばされる直前に聞いたステラの最後の言葉。まさか自分に訪れる明日(未来)がこんな形になるなんて、あの時の自分は考えもしなかった。
戦争のない世界、かつて自分が望んで止まなかった世界。誰も殺さなくていい世界、かつて自分が諦めかけていた世界。そんな世界に、今は違和感なく馴染めている自分がいる。
「みんなのおかげだろうな」
異端者であるはずの自分をみんなは区別することなく色々と面倒をみてくれた。みんなにはどれだけ感謝してもしきれないだろう。特に『彼女』の存在にはバウバウ――
「ばう?」
不審な音に顔を上げたシンが見たのは、白い巨大な何かが自分に向かって突進してくる光景だった。

「バウーーー!!!」
「うわぁあああ!!?」
ドサッ
もともと自分の世界に入りやすい性格であることに加え、1年以上ゆるーい生活をして来たシンは、突如目の前に現れた危険を回避することができなかった。地面に強打された背中が悲鳴を上げている。
「バウバウ!!」
そんな様子を知ってか知らずか、飛び掛ってきた犯人はシンの頬を舐めまわしてくる。
この感触に身に憶えがあった。
「お前、チェリーか?」
「バウッ♪」
名前を呼ばれた白い大型犬、チェリーは嬉しそうに尻尾を振った。
「チェリー、待って…」
その時、遠くから聞き覚えのある控えめな声が聞こえた。顔だけ何とか持ち上げ、声の主を探す。
「シン……先輩?」
「やぁ、みなみ」
そこにいたのはシンの思った通り…チェリーの飼い主であり、高校の後輩であり、シンの『特別な人』でもある岩崎みなみだった。
「どうして、ここに?」
「あぁ~それより先に、助けてくれないか?」
数分後、何とかチェリーの熱烈な抱擁から介抱されたシンはズボンについた砂を掃いのけていた。手が届かない背中の砂は、みなみが申し訳なさそうに掃っている。
「あの…ごめんなさい」
「いいって別に、気づかなかった俺が悪いんだからさ」
「でも、シン先輩の服が…」
「みなみ」
砂をすべて掃い終わったシンはみなみのほうを向き直って笑う。
「先輩はいらないって言っただろ?」
「あっ…はい。シン…さん」

~~数ヶ月前~~
学園祭での劇が終わったすぐ後。シンはみなみに、中庭にある桜の木の下に呼び出されていた。
「どうしたんだ?こんな場所に呼び出して」
「……聞いて欲しい……話があるんです」
みなみの顔は緊張したように強張っていて、声も幾分か上ずっている。
ふざけて聞いていい話ではない、彼女の様子からはそう感じたシンは気を引き締めた。
「ああ、いいよ」
「…………」
シンの言葉にみなみは俯いていた顔をすっと上げる。その潤んだ瞳にシンは引き込まれる。
一瞬の静寂。文化祭の最中で周りは人の声やアナウンスで溢れているはずなのに、
ややあって、みなみはゆっくりと口を開いた。
「………私、シン先輩のことが好きです」
「まだ、好きって気持ちが良く分からないけど…もしかしたら、違うのかもしれないけど…」
「私は……先輩の、傍に居たいんです」
震える声。
その言葉が感情を表現することが苦手な彼女にできる精一杯の告白だとわかった瞬間、シンはみなみの体を抱き寄せていた。
胸の奥から熱い感情が止めどなく溢れ出してくる。その想いの名は愛情だった。
「せ、先輩!?」
突然抱き締められ、パニックになっているみなみの耳元でシンはそっと囁いた。
「みなみ、俺と付き合ってくれないか?」
「あっ……///」
みなみからの返事は深い抱擁。
この瞬間、シン・アスカと岩崎みなみは『恋人』になった。

「うん。それでいい」
「/////」
自分で言った言葉にみなみは真っ赤になって俯いてしまった。
可愛いな、相変わらず……そんな言葉が頭をよぎったが、口に出してしまうとみなみが真っ赤になったまま目を合わせてくれなくなるので、心の中に止めて置く。
「それで、シンさんは何をしてたんですか?」
「何をって訳じゃないんだが、今、家に誰もいなくてな」
「あ…そういえば、ゆたか…」
「そういうことだ」
ゆたかは今、春休みを利用して実家のほう帰省している。こなたは上で言った通り旅行中で、そうじろうも取材で京都のほうに出かけていた。
「1人で家にいるのもつまらなかったからな。みなみは、チェリーの散歩か」
「はい。でも、公園の前に着いたら、いきなり走り出して…」
「俺に突進して来たってわけか」
苦笑いを浮かべながらチェリーの頭を撫でる。チェリーは気持ちよさそうに目を細めた。
「チェリーは、シンさんの事が大好きですから」
「好かれるのはいいけど、会うたびに押し倒されるのはカンベンしてほしいな」
「ふふふ、そうですね」
シンの言葉にみなみは笑いながら相槌を打つ。こうして何気ない会話で自然に笑えるようになったのはいい傾向だった。
「さてと…それじゃ、そろそろ帰るかな」
「あの…」
「ん?」
チェリーに向けていた視線をみなみに戻す。
「今日は、家に誰もいないんですよね?」
何故かみなみは顔を赤らめていた。
「ああ、だから自分で飯を作らないと…」
「その…良かったら、家に来ませんか?」
「えっ?」
それって……
「ダメ…ですか?///」
驚いて固まっているシンに向かってみなみは小首を傾げながら尋ねる。
「お願い…するよ///」
今度はシンが真っ赤になる番だった…


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最終更新:2009年09月06日 18:35
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