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18-247

ある日、ひかげが風邪をひいてしまいました。

ひかげ「…お姉ちゃん、今頃お仕事頑張ってるかなぁ。
     今日一日は休んでくれるって言ってたけど、心配しなくても留守番くらい私でも出来るよ…。
     お姉ちゃん、一人であんなに一生懸命頑張ってるんだもん。
     幾ら病気だからって、私が邪魔をしちゃったら何にもならないじゃない…
     ――けほ、けほっ……だけど…やっぱり、早く帰って来てくれないかなぁ、お姉ちゃん…」

ピンポーン

ひかげ「は、はーい。今行きまーす(ううぅ、こんな時に…誰だろ…?)」

ガチャ

シン「やあ、ひかげちゃん。体の具合は大丈夫かい?」
ひかげ「…!な、何をしに来たんですか…!?お姉ちゃんは今バイト中ですけど…!」
シン「そのひなたさんから連絡を貰ったんだ。ひかげちゃんが風邪をひいて寝込んでるから
   自分が帰って来るまで、俺にひかげちゃんの面倒を見てて欲しいって」
ひかげ「お、お姉ちゃんが…?」
シン「ごめんな、ひかげちゃん。こうしてわざわざ鍵を開けさせたりなんかして。
   それに一人で留守番してて心細かっただろう。
   だけど、もう心配しなくてもいいぞ。今日は俺がずっと側に付いているからさ」
ひかげ「…別に…別にいいです…!あなたなんかにそんなことして貰う必要なんてないです…!
     私は…あなたの助けなんか……別に…げほっ!げほっ…!」
シン「ほらほら、無理をしない。今より体調を崩しちまったら、ひなたさんだって益々心配するだろ。
   せめて今日ぐらいは、俺に頼ってみてくれないかな」
ひかげ「うぅぅ……後でおかしな真似をしたら、許さないんだから…」
シン「ははは。そんなことはしないさ、約束する。
   ――さ、立ち話も何だし、そろそろ布団の中に戻らないと。
   何だったら俺が抱っこして運んであげてもいいんだけど…」
ひかげ「結構ですっ!!」

シン「はい、お待たせ。お粥に、それと買って来たリンゴも剥いて来たから
   後で食べたくなった時につまんでくれよ」
ひかげ「あ、ありがとう…」
シン「それじゃあ、ふー、ふー……はいひかげちゃん、口を開けて」
ひかげ「…って、何をやってるんですか」
シン「お粥。食べさせてあげようと思ってさ」
ひかげ「そんなことして貰わなくたって一人で食べられます!
     もぉっ、いい加減にしてください!幾らなんでも、私そこまで子供じゃないです!」
シン「ん…そうか、わかった。ごめんな、俺が悪かったよひかげちゃん」
ひかげ「…いいえ。折角作ってくれたのに、私の方こそ言い過ぎちゃってごめんなさい。
     ――いただきます。(もぐもぐ)……ん、おいしい…」
シン「それは良かった」
ひかげ「……あの、聞いてもいいですか?」
シン「何だい?」
ひかげ「どうして、そこまで私やお姉ちゃんに対しておせっかいを焼いたりするんですか。
     うちは貧乏だし、今までのお礼だってちゃんと出来ていないのに…
     もし目当てが代わりにお姉ちゃんをどうにかすることだったら…私は…あなたを許せない…」
シン「そうだな、強いて言うなら…ひなたさんにはひかげちゃんと一緒に
   二人で幸せになって貰いたいから、かな」
ひかげ「……?どういう意味ですか?」
シン「俺にもさ、妹がいたんだよ。ひかげちゃんより少し年下だったかな…
   もう随分と前になるけど、そいつを両親と一緒に亡くしちまってな」
ひかげ「…!ご、ごめんなさい、変なこと聞いちゃって…」
シン「いいんだ。んで、その後色々あって、この近くの家に厄介になることになったんだけど…
   やっぱり今でも時々、いなくなっちまった家族のことを思い出す時があるんだ。
   あの時俺に力があれば皆を助けてやれたんじゃないかって、今だって悔やんでる。
   …でも、それは無理な話なんだ。失われた命は、もう二度と戻って来ないんだから…」
ひかげ「………」

シン「だからさ、ひかげちゃんやひなたさんには、そんな風に辛い想いをして欲しくないんだよ。
   誰にも頼らず、たった一人で一生懸命働いてひかげちゃんを育てて行こうとしてる
   ひなたさんを見ていると、何かこう、あの人の力になってやりたくなるんだ。
   いつまでも君達姉妹が仲良く暮らせますようにって、俺もついおせっかいを焼いちまうんだよな」
ひかげ「……」
シン「ひかげちゃん…?」
ひかげ「…ごめんなさい…私、そんなの全然知らなかった。
    でも、私ってば今までさんざん酷いこと言っちゃって…本当に、ごめんなさい…」
シン「いいんだよ、ひかげちゃんはただお姉さんが心配だっただけなんだろう?
   俺みたいな見ず知らずの男が近付いて来たら、そりゃあ警戒して当然だよ。
   俺の方こそ、ひかげちゃんに余計な心配を掛けさせちまって、申し訳ないと思ってる」
ひかげ「うん…やっぱり私、今でもお姉ちゃんのことは心配。
    だけど今の話を聞いてたら、ちょっとだけ安心出来たかも。
    …それにお姉ちゃんはあなたのこと…嫌いじゃないみたいだし」
シン「…ひかげちゃん」
ひかげ「本当はね、普段あなたの作ってくれるお夕飯、私もお姉ちゃんもすごく楽しみにしてるんだ。
     あまりお姉ちゃんにはデレデレしないで欲しいけど…
     たまにだったら、また今度からも遊びに来ていいから。
     今日は――お見舞いに来てくれてありがとう、アスカのお兄ちゃん」
シン「ああ、わかった。今度はもっともっと美味い飯を作れるようになって来るよ。
   …さあひかげちゃん、そのお粥も遠慮せずに食べてくれよ。冷めちまったら味が落ちちまうしな」
ひかげ「うん…!」



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最終更新:2009年12月21日 02:23
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