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「あーびっくりした。急に大雨降りだすもんな・・・」
「夕立って言うんです。シンさんの住んでた・・・ええっと」
「プラントだよ。まあプラントは気候とか全部コンピューター管理だったからな。こんな急に雨が降るってのはなかった」
「そうなんですか。すごい技術ですね。」
俺の目の前に座っている少女、高良みゆきは感心した様子で、上品にクスッと微笑んだ。
で、どうしてこんな状況になっているのかというと・・・まあ、ほんとに偶然だ。偶然勉強しようと思い立ったのだが、家にいるとこなたのゲームに付き合わされる。
てなわけで図書館に行ったわけだが、偶然みゆきとばったり会って、閉館まで一緒に勉強して、一緒に帰ってたら偶然夕立とかいう迷惑なやつが降ってきて、雨宿りとカロリー補給のため喫茶店に寄ったわけだ。
「まあ、この世界とは技術レベルが違うからな」
技術レベルの差。それを象徴するのはMSの存在だろう。ふと、手足をもぎ取られた愛機のことを思いだした。思えば、あの後CEは一体どうなったのだろう。ミネルバは?ルナは?レイは?世界は?

「ン・・・さ・・・シンさん?」
まるで俺の思考を邪魔するかのように突然視界にみゆきが入ってきたことで、俺は我にかえった。
「あ、ああごめん。なんだよ?」
「急に黙ってしまわれたので、どうしたのかなと・・・」
俺を上目遣いで心配そうに見つめてくるみゆき。たいていの男なら一撃で強制ダウンだろう。
それにしてもいつの間にこんなに接近していたのか。よくみたら、先程の雨で服から下着が透けていた。
みゆきの胸は、目測ルナのそれに勝るとも劣らない・・・ってなに考えてるんだ俺は。

「あーいや、なんでもない」
俺はてきとーに笑ってごまかすと、窓の外に視線をやった。
いつの間にか、あれほどひどかった雨はやんでいた。
「雨やんだな。そろそろ出るか」
「ですね。」
残りのコーラを飲み干し、びしょ濡れのバッグを引っつかみ席を立つ。勘定をすませ店を出ると、まるで先程の大雨が嘘のように空には夕日が顔を覗かせていた。
道にできている水溜まりが、場違いに思えてくる。
「それにしても災難だったよな。あんなひどい雨に遭って・・・」
俺はびしょ濡れになっているであろう参考書を想像しつつ、嘆いた。
「ですが、良いこともありましたよ?」
さりげなく意外な返事を口にしたみゆき。
「なんだよ、いいことって」
みゆきは一呼吸置いて言った。
「長い間、シンさんと二人きりでいられましたし・・・」
「み、みゆき?」
その言葉を聞いた時、俺は物凄い速さで彼女のほうを向いた。だが、みゆきは既にうつむいてしまっていた。だが、艶やかな髪の隙間からのぞく頬は、朱に染まっていた。
もちろん真っ赤になったのはみゆきだけじゃあない。俺だってみゆきに負けないくらい真っ赤になっていることだろう。顔が熱い。
さすがに二人とも暫く口を開けなかった。口を開けたのは・・・正確には分からない。5分後かもしれないし10分後かもしれない。とにかく緊張で、時間なんてわからなかった。
「今日はありがとな。勉強教えてもらって」
俺は心から感謝の言葉を口にした。みゆきの教え方は、下手すりゃ教師陣より上手かもしれない。
「いえいえ。私でよければ、いつでも言ってくださいね」
ニコッと笑うみゆき。素直に可愛いと思った。コーディネーターでもみゆきに勝る女の子は少ないだろう。

「ああ。そんときはまた世話になるよ」
ピンクの長い艶やかな髪をなびかせながら、みゆきは「はい」と答えた。
今までで、最高の笑顔だった。

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最終更新:2009年05月18日 04:59
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