●こち 【此方】:近称の指示代名詞。方向を指し示す。こちら。こっち。
俺はCEの世界から西暦のこっちの世界にやって来た。身寄りのなかった俺を居候させてくれている
そうじろうさんと
戦争で荒んだ俺になにかと世話を焼いてくれる
こなたには本当に頭が上がらない。
●こちごち 【此方此方】:不定称の指示代名詞。不特定の二つ以上の方向あるいは領域をさす。あちこち。あちらこちら。
こなたは俺をあちこちに連れまわす。荷物持ちや自転車の漕ぎ手というのが俺の役目だが、それがただの口実だというのは
俺も知っている。こなたは兵士の性として如何なる時も警戒を緩めない俺をゆる~くしようと連れまわしているのだ。
●こちとら 【此方人等】:〔「ら」は元来は複数を表す接尾語〕一人称。おれ。われわれ。
こなたは俺が頭が固い、表情が硬いという。まあ、こんな(=ω =.)顔をしたこなたからすれば、俺はゆる~くはないのだろう。
そうは言われても、こちとら生と死の交差するを駆け抜けてきた身だ。そうは簡単に緩くはなれない。だが、そうなれたらいいのかもしれない。
●こっち 【此方】:(1)近称の指示代名詞。「こちら」のくだけた言い方。(2)「こちら」のくだけた言い方。特に、一人称。自分。わたし。また、自分の側。
こっちは本当に平和だ。人類同士が殲滅戦争を起こそうともしていない。そして、こっちの人たちは本当にあたたかでやさしい。
異邦人の俺に何かと気を使ってくれたり、遊びに誘ってくれたり、こっちとしては恐縮するばかりだ。こっちではそれが当たり前なのだろうか?
●こなた-
かなた 【此方彼方】:指示代名詞。(1)こちらとあちら。(2)あちこち。ほうぼう。
こっちでの生活にはだいぶ慣れてきた。むこうでの戦いに明け暮れた硝煙の匂いの記憶は、いつの間にか遠い彼方へと薄れている。
こなたに連れまわされあちこちを見て回った。おかげで土地鑑もついてきた。いつしか俺はここでの生活に違和感を覚えなくもなってきた。
俺の隣にいるこなた。見上げるはかなたさんの遺影。こなたは俺の側に生きていて、かなたさんはその面影だけを残し、天国へ行かれている。
俺はこなたの隣のこっちにいて、むこうに戻る方法を模索することを半ば諦め――むしろ、こっちに居たいとさえ思い始めている。
生と死、西暦の世界とCEの世界。世界を分かつ物は異なるが、本来なら断絶された世界ということには違いはない。そして、俺はこっちに居る。
●こんた 【此方】:〔「こなた」の転。近世江戸語〕二人称。お前。あなた。
こなた、面と向かって言うはないと思う。お前は俺が真顔で凄いことを言うというが、今までそういうのを気にする余裕がなかっただけだ。
兵士に羞恥心なんてものは無用だ。軍に入って最初に捨てるのは人間の尊厳なんだから。そんな俺が言いにくいことを今から言う。
お前には本当に世話になった。そして、これからも世話になる。だから気まずくなるのが嫌だから、もう失うのは嫌だから言わない。言えない。
――俺はお前が きだ。
●こんた-しゅう 【此方衆】:〔「こんたしゅ」とも〕二人称。単数にも複数にも用いる。あなた。あなたたち。
こっちの世界にきて出会えたこなた、そうじろうさん、
ゆたか、
かがみ、
つかさ、高良――他に挙げ切れないほどのたくさんの人々、
そして、こんなあたたかい世界に導いてくれた――信じてもいないが――神に、俺を見守ってくれるたくさんの人たちに、ありがとう。
そして、これからもよろしく。
最終更新:2007年11月24日 21:43