誕生日


by (≡ω≡.)神奈川



あれは高校3年になって1ヵ月ちょっとたった頃、いきなりかがみが言ったんだよね。

「こなた。悪いんだけど、もう話しかけないで。」

最初はかがみが遂にツンデレに目覚めた!って思って茶化したりしたけど、本気で私のこと嫌いになったんだね。
あの後から一言も口きいてくれないし、学校の行き帰りも私を避けるようになったもんね。私、本当に悲しかった。
しかし、かがみも凄いよね。つかさやみゆきさんだけじゃなく、ゆーちゃんやその友達にも私の事無視するように言ったんだ。
バイト先でパティに無視された時にはかがみに恐怖を感じたよ。あっ、こりゃ本気なんだ。って。
ねぇ、かがみ。私の何が駄目だったの?私さ、馬鹿だから分からないよ。

オタクだってこと?
空気読めないってこと?
合気道でかがみ一度投げちゃったけど、あれかな?
それとも、アミノ式のCMの真似できるの嘘だったこと?
もしかして、コミケに連れてった事かな?あれはかがみも喜んでたけど……

色々考えたけど分からないよ。お願い、かがみ。謝るからさ。また仲良くしようよ。ねぇ……

「どうした、こなた。具合でも悪いのか?」
「ううん。別に。」
「でも、全然夕飯に手をつけてないじゃないか。」
「ええと……そ、そうだ。今日学校帰りにクレープ食べたんだ。それで余りお腹空いてないんだよ。」
「でも、顔色もなんか悪いぞ?風邪でもひいているんじゃないか?体温計持ってくるか?」
「本当に大丈夫だから……ごちそう様。」
「ちょっ!待ちなさい!こなた……一昨日くらいから変だな。ゆーちゃん、何か知らないかい?」
「えっ!?あの、その……ごめんなさい。分からないです……」
「そうか。中学の時みたいにまたイジメられたりしてなきゃいいんだが……」
「(お父さん……ごめんなさい)」

かがみが無視し始めてもうすぐ1週間。メールしても電話してもかがみは一度も応えてくれない。
お父さんに心配かけたくないから高校には行ってたけど、もう限界だよ。
かがみは知らないと思うけど、昨日私トイレで吐いたんだ。お昼ごはん全部出ちゃったよ。ずっと胃がキリキリする。
食欲も無いし、アニメ見てもゲームしても全然楽しくない。バイトも今日は休んじゃった。
かがみの笑顔が見たいよ。いつもの笑顔見せてよ。そしたらすぐに元気になると思うんだ。
ねぇ、お願いだよ。許してよ……かがみん……

「おい、こなた。本当に大丈夫なのか?」
「……うん、平気だよ。今日1日休めば明日から元気ビンビンだよ……」
「そうは言っても、お前土日ずっと寝てただろ?食事もほとんど食べてないし、病院行って見てもらうか?」
「……大丈夫だって。寝てれば直るよ。心配しないで……」
「分かった。じゃあ、お父さん打ち合わせに出かけてくるから、ちゃんと寝てるんだぞ。ネトゲとかしてるんじゃないぞ。」
「……行ってらっしゃい。」

お父さんにはああ言ったけど、正直心も体もボロボロ。布団から這い出る力も無いよ。
でも、ずっと寝てて私気づいたんだ。私はかがみが居なきゃ生きていけないって事に。
小・中とこの性格と趣味のせいでずっと虐められてた。だから、高校生になって初めて出来た友達、『柊かがみ』に私もの凄く依存してたんだ。
そのかがみに嫌われたら、私にはもう生きている意味が無いんだ。かがみの居ない人生なんて考えられない……
このまま一生寂しく生きるくらいなら、私……死ぬよ。

お父さん。ごめんね、先にお母さんのところに行くよ……
ゆーちゃん。駄目なお姉ちゃんだったね……
みゆきさん。お医者さんになってたくさんの人助けてあげてね……
つかさ。あんまりお姉ちゃんを困らせるんじゃないぞ……
かがみん……もう一度、会いたかったよ……さようなら……

んごぐぇっ!!!……たす……け……か……が……しに……た……




「ねぇ、ここまでする必要あったの?さすがに無視するのはやりすぎだったんじゃ……」
「お姉ちゃん、なに言ってるの?そもそも『こなちゃんを驚かせるために1週間前から無視しよう』って言い出したのお姉ちゃんじゃない。」
「そりゃ……そうだけど。なんかションボリしてるこなた見てたら可哀想でね……」
「大丈夫。それも全部今日の為の事だと分かれば、泉さんもきっと許してくれますわ。」
「……そうよね!その為に色々準備してきたんだし……そうそう、ゆたかちゃん。ケーキは?」
「今、みなみちゃん達が駅前のケーキ屋に取りに行ってます。こなたお姉ちゃん、あそこのケーキ大好きだからきっと喜んでくれます!」
「でも、泉さん今日学校に来てませんでしたね。お身体大丈夫でしょうか?」
「どうせネトゲのやり過ぎで寝不足だったんじゃない?行ったらパジャマ姿でゲームしてるかもよ?『やぁ、かがみ。元気かい?』とか言ったりして。」
「確かにそれはありますね。」
「さてと、こなたの家に着いたし、いっちょ驚かせてあげますか!つかさ、クラッカーは?」
「ちゃんと準備してるよ。はい、お姉ちゃん。」
「よし、それじゃ静かに2階に上がってこなたの部屋に……準備は良い?」
「うん。」
「大丈夫です。」
「行くでガンス!」
「じゃ、行くよ?せぇ~~~のっ!!」

ガチャ!

「「「「こなた、お誕生日おめでとう~~~!!!」」」」
最終更新:2024年04月12日 23:58