クロム・マグナⅠ 魔道学園
クロム・マグナ魔道学園は、黒ウィズの代表的なイベント。
難易度は他のイベントと比べると少し低め。復刻ver.も開催されています。サイオーンがクリアできるのなら学園長級もクリアできると思います。
ダンケルを操ったフードの魔道士なんですが、ロレンツィオの後半から出てくるフードの魔道士と関連がありそうです。
初回クリアするまで消費魔力0
クエスト
ストーリー
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プロローグ |
鋼鉄の剣と魔法によって支配されし、さる異界——
数多くの優秀な魔道士たちを輩出し、古からの由緒ある歴史を持つ名門「クロム・マグナ魔道学園」。
永世中立都市に設立され、国籍・人種・性別・年齢問わず幅広く門戸を開くその場所では、世界中から才ある若者たちが集い、剣や魔法の腕を磨き続けている。
卒業し、故郷へ戻れば敵国同士であろうとも、学園でのひとときだけは同じ志を持つ友人、仲間。
争いの絶えぬその世界で、学生たちは複雑な思いを胸に秘めながらも、日々勉学・鍛錬に励んでいる。
そんな「クロム・マグナ魔道学園」は創立100周年を迎え、盛大な式典が学園祭と共に催されていた。
節目の時を一目見ようと各国から卒業生や来賓が集い、学園祭実行委員会——生徒会執行部のメンバーたちは忙しくも充実の時を過ごしていた。
炎の魔法を専門に学ぶ「イグニーマ」主席、学園の誰もが認める生徒会長——リンカ・ワイアット。
地方農村の出身ながら独学で魔法を習得、最優秀クラス「グリングラード」に所属する副会長——イツキ・マスグレイヴ。
落ちこぼれ寸前だったもののイツキに憧れ一念発起、「グリングラード」入りを果たした会計——ニコラ・モーガン。
10歳にして才覚を発揮、雷魔法を専門に学ぶ「エクレアル」に所属し、鋼鉄と魔法を使った発明をこよなく愛する書記——シャーリー・コルト。
「イグニーマ」所属、人付き合いを極端に嫌いながらも、ある目的のため生徒会入りした異色の書記——ヴォルフ・ロイ。
長い、長い準備期間を経てようやく迎えた記念すべき日。
誰もが祭りの雰囲気に酔いしれ、華やかな雰囲気に包まれていたそのときに、事件は起きた。
学園上空に突如開いた“異界の扉”、あらゆるものを飲み込む巨大な空間の亀裂。
魔道士たちの張った防御陣はあっさり破られ、逃げようにも学園の周囲には結界がはられ脱出もかなわず、ただ扉に飲み込まれるのを黙って待つのみ。
永遠とも一瞬ともつかない時空の旅路の果て、やがて嵐が収まったとき、クロム・マグナ魔道学園には、生徒会のメンバーだけが取り残されていた。
弾き飛ばされた世界の名は、クエス=アリアス。
途方に暮れる少年/少女は、そこで黒猫を連れた一人の魔法使いと巡り会う——
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副会長 イツキ |
体が暗闇の中に浮き、空間の感覚が完全に失われている。
どちらが上でどちらが下か、移動している感覚はあるのに向かっている方角がわからない。
——次の瞬間、不意に全身に重力を感じ、皮膚にまとわりつく冷たく重い感覚が現れる。
呼吸しようと息を吸い込み、そして気づく。
ここは……水の中!?
薄れて行く意識の中で、イツキの脳裏に記憶が浮かぶ。
華やかな学園祭、巨大な空間の亀裂、飛び散る瓦礫、叫ぶ群衆。
そして、彼女の……リンカの悲哀の表情。
白くほっそりとした指先を懸命に広げ、こちらに手を差し伸べている。
「わりぃ。リンカ、みんな、どうか無事で……」
意識が戻ったとき、イツキは水辺に打ち上げられている。
岸へ上がり振り返る。
滝壷? ……見覚えのない場所だ。
イツキがずぶ濡れになった制服を乾かしていると、川下から黒い猫を連れた一人の魔法使いが歩いてくる。
手には見覚えのある腕章……リンカが付けていたものだ。
「あんたは、一体?」
そして物語は動き出す。
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会計係 ニコラ |
一瞬の出来事だった。
学園の上空を覆った大きな亀裂、吸い込まれていく人々や校舎……
イツキ君が闇へ飲まれてしまったとき、私は自分の身を守ることで精一杯だった。
私だけじゃない。誰もが状況を理解できなくて、混乱して、ただただ嵐が過ぎ去るのを待っているだけだった。
でもあの子は。リンカは、違った。
イツキ君を繋ぎとめようと、必死に空に手を伸ばした。
私は、そんな二人の様子を、ただ見ていることしかできなかった。
気づいたとき、私は学園祭の式典会場にいた。
瓦礫が散乱するステージで、いつも気丈で冷静なリンカがうなだれている。
他には……誰もいない。学園の友達も、生徒会のメンバーも、憧れの人も。
悔しさ、情けなさ、そしてあの人が居なくなってしまった悲しさ。
様々な感情が渦巻く中で、アタシはリンカにこう投げかけた。
「行こうよ。みんなを助けるの」
”みんな”。便利な言葉だなって私は思う。
でも、リンカは黙りこくったまま、私の方を振り返りもしない。
抜け殻のように天を仰ぐリンカを置いて、明かりの消えた学園の校舎内へと踏み入れる。
”異界の扉”が開かれた影響なのか、学園内には異様な雰囲気が漂い、重苦しい。
奇妙な魔物たちの強襲に弓を引き、戦って、傷ついて。
それでも、みんなを……イツキ君を救うため、走り続けた。
私たちの他に誰もいない空っぽの学園を走りまわって、どれだけの魔物を倒しただろう。
やがて魔力と体力が底をつき、私は膝から崩れ落ちる。
すぐそばに、魔物の気配を感じる。
ここまでなのかなぁ……どこかにいる、憧れの人を思い浮かべる。
力が入らず意識が徐々に遠のいていく。
「……ん……あったかい……」
ゆっくりと見上げると、そこにはリンカが居た。
リンカの刀に纏う気高き炎は、未来を照らす希望の光のように見えた。
思わず、私はリンカに抱きつく。
心強い仲間の登場に心から安堵する。
でも、その時はまだ気づいていなかった。
リンカの背後に、不穏な気配が忍び寄っていることに……
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生徒会長 リンカ |
学園祭の崩壊、”異界の扉”開放による惨劇、イツキという大切なメンバーの犠牲……
全身の力が抜けていく。涙で世界がぼやけて映る。
「行こうよ。みんなを助けるの」
誰かが私に語りかけている——ような気がする。
ちょっと待って。今の私は何かを考える余裕がないの。
イツキと共に生徒会を築き上げてきた日々がまぶたの裏に映っては消える。
一瞬で、何もかもが、失われてしまった……
どれほどそうしていただろう。
不意に熱情が胸を突き、傍らの紅刀が炎を吹き上げる。
私は……何をすべき?
私は……私は……私は……
私は、クロム・マグナ魔道学園 生徒会会長 リンカ・ワイアット。
「ごめん、みんな……今、行くから!」
今は、学園に残っている生徒会のメンバーを探し出し、この事件を解決すること。
リンカは愛刀を手に、闇に包まれた校舎へ突入する。
想像を超える魔物が蔓延る校舎。容赦なく浴びせられる攻撃。
全身に傷を負いながらも、紅く燃え上がる刀を振り前へ、ひたすら前へ。
やがて——仄暗い回廊の向こうに、魔物に囲まれている少女を見つけ出す。
あれは……ニコラ!?
急いで駆け寄り、異形の者と対峙する。
「……灰となれ、化け物ッ!」
炎刃一閃、リンカの斬撃が宙を舞う。
剣戟鳴り響く激しい戦闘の最中、リンカは狼の遠吠えを耳にする。
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書記 ヴォルフ |
——リンカ、イツキ、ニコラの3人とは別の場所、生徒会室に書記の二人『ヴォルフ』と『シャーリー』は居た。
学園で巻き起こっている混乱の中、ヴォルフはシャーリーの傍に居た。
窓ガラスは割れ、棚上にある物は落下し、机や椅子は散乱する。
自分の腕の中でうずくまるシャーリーの声色が震えている。
「ヴォルフ先輩、怖いよぅ……」
落下物が背中を打つ痛みに耐えながら、無理に笑顔を作って見せた。
こんな時にも関わらず、生徒会に入ってから笑ったのは、これが初めてだった……
混乱が収まり、妙な静寂が辺りを包んでいる。
窓から外の様子を伺おうと、シャーリーから目を離したその時。
叫び声が響き、振り返ったその刹那、何かの衝撃とともに体が宙に浮いた。
——意識が朦朧としている、何も感覚が無い……まだ宙に浮いてるのか?
息苦しさを感じて目を開けると、相棒の狼『フレキ』が心配そうに自分の顔を舐めている。
どうやら窓から落下したらしい。
意識が戻ると、左腕に激痛が走る……やっちまったか……
しかし今は、左腕がどうなっているかよりも、シャーリーのことが頭を過る。
決断は一瞬だった。
「仕方ねぇな……」
折れた左腕を庇いながら、先の見えない闇の広がる学園内へ駆け出す。
恐怖心、不安、アイツを助けてやれなかった後悔。
一体この学園に何が起きているかは分からないが……とにかく俺がシャーリーを守る。
学園内を進んでいるうちにフレキが何かを訴えるように、飛び回り、吠えている。
その方向には、異様な雰囲気の漂う巨大な扉。
俺の名を呼ぶ声が近づいてくる……リンカとニコラだった。
傷だらけの仲間たち、再会の喜び、溢れる想いを噛み殺して尋ねた。
「アイツ……シャーリーがどこにいるか、知らないか?」
リンカたちは首を横に振る。
ただ全員が、目の前にある巨大な扉の先に何かがあることを感じていた。
そして今、その扉が開かれる……
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最終更新:2014年08月04日 18:38