341:保健室のセンセーと小悪魔な会長 ◆EKRHxQeMKc:2022/08/09(火) 13:54:01 ID:zVUBVEFc
保健室のセンセーと小悪魔な会長
ブランド:Citrus
販売日:2022年5月27日
脚本:なかひろ
キャラクターデザイン・原画:さんた茉莉
価格:通常版 2,800円 / 抱き枕付き限定版 14,100円(共に税抜)
<ストーリー(公式サイトより)>
「センセー、またね」
「また、あたしと素敵な出会いをしようね!」
風見蒼空は、当初の予定だった一学期を過ぎ、二学期を迎えても、彩香女子学園で保健室の先生を続けていた。
旅の相棒だったシロバナもまた、助手として勤めてはいるものの、ふたりはもう住まいである温泉宿--四季彩の里での同居は解消した。
姉を幸せに見送った蒼空は、今後は姉のためではなく、自分のための人生を歩むことになったのだ。
それを誰よりもわかっているシロバナは、自ら身を引き、蒼空を遠くから見守ることに決めた。
かつて、蒼空の姉である夢歌が、そうしたように。
秋は学園行事の季節であり、ラベンダー畑での校外学習や、姉妹校合同による学園祭が控えている。
せわしなく時間が過ぎる中で、ある日、学園七不思議に新たな噂が加わった。
それは、夜になると鬼が出るというもの。
その鬼の手で、学園の校庭が荒らされているらしい。
魂人の仕業と考えた蒼空は、送り人として鬼の噂を調べることになるのだった。
小悪魔な生徒会長であり、手を焼かされる教え子でもある、月森鈴と共に。
ヒガンバナの花言葉は、情熱と一途、そして追想。
想うはあなたひとり、また会う日を楽しみに--
<作品概要>
本作は2020年11月に発売され好評を博した「保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手」
から続く「保健室のセンセーシリーズ」第3弾となる作品である。
シリーズ各作品の概要及びストーリーは下記の通りとなる。
〇用語解説:
- 魂人:幽霊のような存在。
- 送り人:魂人を送り還す(成仏させる)ことを生業としている者。
1作目:「保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手」(略称:ホケジョ)
ヒロイン:シロバナ
魂人となった姉を探し出し送り還すため、旅をする送り人の主人公と魂人のシロバナ。
旅の途中、主人公は彩香女子学園で1学期だけ保健室の先生として働くことになる。
女学生たちと触れあいながら日々を過ごす主人公だが
彩香女子学園に姉が在籍していることが判明。
紆余曲折ありながらも姉を送り還すことに成功した主人公。
そしてシロバナも心残りを解消し還っていく。
2作目:「保健室のセンセーとゴスロリの校医」(略称:ホケロリ)
ヒロイン:オトヒメ
1作目のENDとは異なり、主人公は2学期になっても保健室の先生を継続中。
シロバナも還っておらず健在だが、主人公とは一定の距離を置き元カノのような立ち位置に。
(シロバナと性的関係であったことは改変されていない)
3作目:「保健室のセンセーと小悪魔な会長」(略称:ホケチョ)
ヒロイン:月森 鈴
基本設定は2作目と同様。主人公が保健室の先生を続けている2学期から物語が始まる。
<問題点>
シナリオ自体は決して悪くない、絵も可愛い、大きなバグもない。
では何が問題かと言うと下記の2点である。
1.無理やりな分割商法
2.コスト削減による安っぽさ
<問題点1:無理やりな分割商法>
まず一つ目の[無理やりな分割商法]から解説する。
本作は大きく前半(共通√)と後半(個別√)に分けられるのだが
共通√が前作(2作目)と全く同じ内容になっている。
※各作品プレイ開始直後のログ画像
推測だが、元々2作目はオトヒメ(2作目ヒロイン)と鈴(3作目ヒロイン)の
Wヒロイン作品として企画・制作されたものと思われる。
構成としては[共通√]⇒[分岐]⇒[オトヒメ√ or 鈴√]となる予定だったのだろう。
それを無理やり分割したことで下記のような共通√が重複するという事態が起こってしまった。
2作目:[共通√]⇒[オトヒメ√]
3作目:[共通√]⇒[鈴√]
そして分割による弊害が共通√重複以外にも発生している。
共通√の内容だが、学園の畑を荒らす(後に人を襲う)犯人を探すという内容になっている。
事件を追う中で主人公と鈴は人を襲う衝動に駆られる悪夢を頻繁に見るようになり、
また夢の中である女性の姿をぼんやりと見るようになる。
そして共通√終盤で畑荒らしの犯人を見つけ捕まえることで共通√は終了となる。
しかしながら「なぜ悪夢を見ていたのか?」「夢の中の女性は誰なのか?」といった疑問には
一切説明がなされず共通√終了と共に悪夢を見ることはなくなる。
また犯人の動機についても不明のまま明かされることはない。
この辺の悪夢の理由・女性の正体・犯人の動機といった謎は2作目にて明かされるため
3作目単品で見た場合、一切解決ぜずに投げっぱなし状態となる。
つまり2作目プレイ済のプレイヤーからすると本作の約半分はプレイ済の内容となっている。
そのためプレイヤーは1度読んだシナリオをもう一度読むか
強制スキップで新規シナリオ部分まで飛ばす作業が求められる。
しかも[個別√までスキップ]的な機能はないため新規シナリオだけ読みたい場合は
強制スキップ⇒テキストを目視で確認し既読or未読を判断、という作業を強いられることになる。
逆に2作目未プレイの場合は、上記の悪夢や犯人の動機が不明のまま
作品終了となり消化不良のまま作品を終えることとなる。
尚、この[共通√重複]についてだが2・3作目共に体験版が未公開(準備中/近日公開予定)
のため体験版プレイによる確認が不可となっている。
※メーカー側をフォローしておくと一応
スペック欄とツイッターにて[共通√同一]については触れている
<問題点2:コスト削減による安っぽさ>
次に二つ目の[コスト削減による安っぽさ]を解説する。
まず本作のCG枚数だが、新規CG15枚となっている(SD絵無し)。
やや寂しい枚数だがロープライス作品ということを考えれば
ギリギリ許容範囲と言えなくはない。
だが使いどころに少々問題がある。
前半(共通√)で使用されるCGは僅かに2枚。
しかも使用箇所は中盤と最終版の2箇所となる。
立ち絵や背景等の素材は前々作(1作目)から全て流用している(新規の立ち絵と背景は無し)
ので中盤までの約2hは見慣れた立ち絵と背景のみでシナリオが展開され真新しさや新鮮味が全く感じられない。
よくヒロイン初登場時にCGを用いヒロインを印象付けるといった手法がよく使われるが
そういったことは一切おこなわれていない。
また2・3作目で初登場した新キャラについても立ち絵が与えられていない。
(そもそも1作目の時点でミドルプライス故の低予算からかヒロインっぽいキャラ以外は立ち絵がなかった)
まず共通√だが、犯人や犯人を捕まえるために派遣された新キャラといった
物語のキーパーソンとなる人物に立ち絵が与えられていない。
個別√についても同様でキーパーソンとなる人物に立ち絵がない。
個別√のシナリオについてだが、魂人の六花という女の子が主人公を好きになり
鈴を逆恨みをするという内容になっている。
個別√に限っていえば鈴の次に出番があり、シナリオの核となる人物である。
にも拘わらず顔も姿も分からないため、クライマックスシーンで
六花を説得するシーンもどこか滑稽に思えてしまう。
またコスト削減の波はゲーム内だけではなくパッケージにも及んでいる。
1・2作目はよくあるエロゲ箱サイズだったのに対し、本作はトールケースサイズにサイズダウン。
同シリーズを並べて悦に浸りたいコレクター魂を逆撫でするような、地味に嫌なコスト削減である。
<まとめ>
2・3作目をまとめて5,800円くらいで出していれば誰も文句は言わなかったであろう。
あるいは1~3作をまとめてフルプライスで出していれば良作と言われる作品になったであろう。
ただ無理な分割商法によりチグハグ感や低予算感、その他いろいろな弊害が
発生してしまいプレイヤーにモヤモヤ感が残る作品となってしまった。