宮崎県で口蹄(こうてい)疫の感染が深刻さを増す中、大相撲夏場所(東京・両国国技館)では、優勝した力士への副賞「宮崎牛」が予定通り贈られることが20日、分かった。同県では20年以上も地元特産品として「宮崎牛」1頭と「旬の野菜」1トン分を贈ってきた。県では宮崎牛の安全、安心をアピールし、人への影響が無いことも強調したいとしている。23日の千秋楽は、東国原英夫知事(52)が対策本部から離れることができないため、宮崎県東京事務所の所長が代行で表彰するという。
宮崎県庁畜産課によると、19日に東国原知事が非常事態宣言を出したが、地域によっては出荷が、まだ可能だという。そのため今場所の優勝力士への副賞賞品「宮崎牛」1頭は予定通り提供されることとなった。
優勝力士への副賞は1986年から続けてきており、今場所までに提供した牛は140頭を超える。全国の格付けでも上位クラスに位置する宮崎牛は、重さ約400キロはあるという。優勝力士へ贈る場合は、サーロインやリブロースなど最高級とされる部位だけが同じ重さで贈られる。記念すべき第1回の提供は11月の九州場所で千代の富士(現九重親方)が獲得した。
同課では「人間には影響が無いため、今後も宮崎牛のブランドは守り、アピールは続けていきます。相撲協会へも提供は続けていく」とした。
過去に1度だけ提供できなかった年があった。00年3月で、この時も口蹄疫の影響だったが、発覚したのが千秋楽の2日前だったため、急きょキャンセルしたが、今回は対策本部も設置され問題はないとしている。
大相撲で副賞を提供する機会は年6回あり、3回を知事に依頼、それ以外を地元農業団体の代表に依頼しているという。ところが、今回はいずれも対策本部から離れることが出来ず、急きょ東京事務所の岡村巌所長が対応することとなった。
岡村所長は「今回の件で、生産者、関係者は大変な苦労をしている。宮崎県の信頼回復の意欲を持って、表彰をしたい」とし、「今後も末永く、宮崎牛を愛していって欲しい」とコメントした。【荒木俊晴】
最終更新:2010年07月19日 02:47