朝日新聞社の記事へ飛ぶ (魚拓)


2010年5月22日0時49分

 宮崎県関係者によると、22日未明、家畜の伝染病・口蹄疫(こうていえき)の感染を防ぐために移動制限区域内の牛舎から特例で避難させていたエース級の種牛6頭のうち、1頭が感染した疑いのあることがわかった。14日の避難終了後、連日、遺伝子検査を続けた結果、陽性反応が出たという。

 家畜伝染病予防法では、同じ農場の牛や豚はすべて殺処分すると決めている。「宮崎牛」ブランドを支える種牛がすべて殺処分されることは、宮崎県産の子牛の供給を受ける他産地への影響も大きい。複数の関係者によると、残る5頭の扱いについては、特別措置として経過観察することにできないかどうか、国と県などで協議している。

 6頭は、種牛を一括管理する県家畜改良事業団(同県高鍋町)が飼育している種牛55頭の中から選抜された。農家に供給する冷凍精液の9割を占め、東国原英夫・同県知事も「県の宝」としていた。

 県は、口蹄疫の感染拡大に伴い、家畜の移動が禁止される移動制限区域(発生農家から半径10キロ)に事業団が入り、近くの農場でも感染疑い例が確認され始めると、国の特例を受け、6頭を県事業団から西へ約20キロ離れた同県西都市の山中に隔離した。

 その約2日後、事業団の牛に感染疑いが確認された。約20万頭の子牛を送り出した伝説の種牛・安平(やすひら)など、事業団に残されていた種牛などはすべて殺処分対象となった。

 県によると、6頭の避難前の検査では陰性が確認されていた。6頭は半径5キロ内に家畜がいない農場内の仮牛舎に1頭ずつ隔離して飼育されていた。限られた関係者以外の出入りが禁止され、連日、検体を国へ送って遺伝子検査で健康状態を確認していた。
5月 対応 被害状況 防疫関係

最終更新:2010年07月19日 03:23