口蹄疫(こうていえき)問題で、県内各地の道路約290か所に消毒ポイントが設置され、県や自治体、JAの各職員や警察官らが張りつき、必死の封じ込め作戦を続けている。それに伴い、活動を支援しようと弁当を差し入れたり、ボランティアを買って出たりする市民の輪も広がっている。反面、消毒を嫌がる人も目につき、関係者は県民一丸となった消毒の徹底を呼びかけている。(本部洋介)
複数の消毒ポイントがある国富町。JA宮崎中央国富支店の女性部は5月26日から毎日、消毒作業に従事する町内の男性ら約50人のためにボランティアで弁当を作っている。
町内の農家などから提供された食材を使い、毎朝8時頃に集まっては、おにぎりや空揚げ、卵焼き入りの弁当を作る。「みんなの力を結集し一刻も早い終息を目指して一緒にがんばりましょう」と印字した紙を表に張っている。弁当は保冷剤を入れた箱に詰めて、各ポイントに運んでいる。
日高久美子部長(68)は「炎天下や雨の中でも消毒に取り組む人たちの苦労には頭が下がる」と話すが、作業する建設会社員の男性(30)は「おいしくて元気が出る」と感謝の言葉を口にする。
同様の動きは県内各地に出ている。同町で野菜などを栽培している農家の男性たちは毎日、ボランティアで消毒ポイントに通っている。県公園協会なども連日、職員が手弁当で宮崎市などの消毒を手伝っている。
ジュースや食べ物を差し入れる人も目立つ。小林市などの消毒ポイントを担当している県西諸県農林振興局では14日、「みんなで食べて下さい」と、あるパン店から100個ほど提供を受けたという。
その一方、消毒を受けることを嫌がる人は少なくない。道路に置いた消毒液を浸したマットの上を減速せずに車で通過し、マットがはがれるケースさえあるという。車体全部に消毒液を振りかける消毒ポイントでは、「車がさびるから」と嫌がる人に対して、担当者が頼み込んでタイヤだけを消毒することがある。
JA関係者の男性は、新富町から宮崎市へ通勤する際、15分ほど遠回りして車全部を消毒する地点を通っている。「みんなが頑張っても一点でも穴が開けば、感染が広がる可能性がある」。こう話し、車の利用者全員が消毒を受けることを願う。
最終更新:2010年07月17日 02:13