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国産和牛の輸出が口蹄疫問題で窮地に陥っている。


 宮崎県では新たな発生がなければ27日にも肉牛の移動や搬出制限が解除されるが、輸出の早期再開は難しい情勢だ。 

 日本からの牛肉輸出は、口蹄疫の感染が確認された4月20日に全面停止した。香港、マカオ向けは2国間協議を経て再開したが、国際獣疫事務局(OIE)が日本を「非清浄国」と認定したため、ベトナムや米国、シンガポールなどへの輸出は止まっている。

 政府は、農林水産物の輸出額を2009年の4454億円から17年までに1兆円に倍増させる計画で、和牛を「重点商品」と位置づけている。牛肉輸出量は06年の74トンが09年には565トンに急増したが、口蹄疫発生後の今年5月の輸出量は8・7トンと3月(83トン)から急減した。

 輸出の本格再開には、多くの国が条件とするOIEによる「清浄国」の認定が必要になるが、復帰は来年5月以降となる見通しだ。

 認定を受けるためには、感染・ワクチン接種家畜の殺処分を完了して3か月間に、口蹄疫が発生しないことが最初の関門になる。新たな発生がなければ、10月上旬に申請する資格を取得できるが、その後も来年2月の科学委員会の審査と、5月の総会での決定を経なければならない。

 農林水産省は手続きの前倒しを要請しているが、「OIEは特例で科学委を開くことに否定的」(農水省)だ。清浄国の認定を受けても取引を再開するかどうかは各国との交渉次第で、「国によっては輸出再開まで5年以上かかる」(食肉業者)という。商社などで組織する日本食肉輸出入協会(東京)は、「輸出が長く止まれば一から販路を作り直さねばならない」と懸念する。(寺村暁人、シンガポール 実森出)

(2010年7月26日01時51分 読売新聞)


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最終更新:2010年07月26日 03:06