宮崎県は1日、同県川南町の県経済農業協同組合連合会川南種豚センターが飼育する豚1頭が、家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に感染した疑いがあると発表した。センターが飼育する豚計3882頭が薬殺処分となる。県によると、口蹄疫による1施設での殺処分数としては過去最多。同県内で口蹄疫の感染が確定したり、疑いが出たりした施設は13となった。
センターの豚を診察した獣医師が4月30日、口蹄疫に似た症状の豚がいると宮崎家畜保健衛生所(宮崎市)に通報した。立ち入り検査した家畜防疫員が、乳房に水ほうなどがある2頭から検体を採取。遺伝子検査の結果、1日に1頭が陽性と判明した。センターは、県のブランド豚を飼育し、繁殖用の母豚を農家に年間700頭出荷している。ただ、1例目の牛の疑い例が出た同月20日には出荷を停止した。ウイルスの潜伏期間は1週間~10日のため、県は「出荷により感染を拡大させたことはない」との見解を示している。
豚は体内でウイルスが増殖する速さが牛の100~1000倍とされる。県は国と協議のうえ、陽性反応が出る前に、獣医師の所見だけで口蹄疫の疑いがあると判断。30日から薬殺処分を始めている。
(2010年5月2日 読売新聞)
最終更新:2010年07月16日 04:14