宮崎牛をはじめ松阪牛、佐賀牛などブランド牛を生み出す種牛が育てられていた宮崎県家畜改良事業団(高鍋町)で口蹄疫(こうていえき)感染の疑いが判明、種牛49頭の殺処分が決まった。
殺処分される宮崎県家畜改良事業団の種牛49頭の中には、全国の畜産関係者の間で“伝説の種牛”として知られた「安平(やすひら)」も含まれている。4月12日に、牛としては超高齢の21歳に達したばかり。「宮崎の誇りであり、支えだった」「あれだけ貢献してくれた牛が…」。関係者は言葉を詰まらせた。
事業団などによると、安平の精液をもとにつくられた子牛の肉は、霜降り具合やロース面積の広さが高い評価を得ていた。一般的な種牛の生殖能力のピークが8歳前後とされる中で、安平は16歳を超えても衰えず、人工授精で生み出した子牛は約20万頭に上るという。
高鍋町にある事業団にはその功績をたたえ、等身大の銅像まで建てられている。種牛を引退した後も大切に扱われ、21歳の誕生日にはケーキで祝福を受けた。
事業団の職員は何とか安平たちを守ろうと、牛舎全体をシートで覆い、その上から消毒剤を散布していた。被害が集中する川南(かわみなみ)町在住の職員は自宅待機とし、施設への人の出入りも最小限にとどめたが、ウイルスの勢いにはかなわなかった。
最終更新:2010年07月16日 03:11