口蹄疫の感染拡大で県内のホテルは宿泊のキャンセルや延期など利用客減少が続き、連動して交通機関にも影響が及んでいる。地域経済悪化への深刻度が増す中、県庁では21日、地元観光業者や交通機関、行政担当者らが集まり、緊急の観光関係者会議を実施。防疫徹底や本県農産物の安全性を県外客にアピールするなどして、利用減少に歯止めをかけたい考えだ。
宮崎観光ホテル(宮崎市)は個人、団体客の宿泊キャンセルや延期が相次ぎ、県が非常事態宣言を出した18日ごろから急増。マーケティング課の長友修一課長は「各種団体の総会の時期が近づいているので心配。本県農産物への誤解もあるので、丁寧に説明して生産農家を応援したい」と強調する。
フェニックスリゾート(同)は地元の農業関係者らの宿泊キャンセルが増え、ゴルフコンペも次々に中止になっている。経営戦略本部の益留秀子広報部長は「県外からの問い合わせでは、非常事態宣言を拡大解釈している傾向がある。食の安全性も説明している」と一刻も早い事態の終息を切望する。
本県発の旅行客にも影響。宮崎交通(同)が取り扱う旅行では、団体旅行の中止や修学旅行延期が増加。貸し切りバスのキャンセルも相次ぐ。同社は「まずは防疫が大事」として、各店舗やバスの乗り口に消毒用マットを置いて防疫作業に努める。宮崎カーフェリー(同)は、口蹄疫問題が全国的に報道されるようになってから個人、団体のツアーなど200人以上がキャンセル。上田賢一旅客営業部長は「県民全員の協力で終息宣言に導くことが一番大切」と話す。
21日の緊急観光関係者会議には約40人が出席。観光業界の担当者らが「戦略的な誘客に協力を」「定期的に会議を開催して情報を共有したい」などと県に要望した。県観光交流推進局の長嶺泰弘局長は「不安が広がっている。農家の気持ちを共有しながら、負の連鎖にならないように力を合わせたい」と話している。
最終更新:2010年07月19日 02:59