宮崎日日新聞 激震口蹄疫へ飛ぶ(魚拓)


 感染拡大が続く口蹄疫問題で、政府と県は22日、川南町を中心とする発生農場から半径10キロ圏内の牛、豚への全頭ワクチン接種を開始した。初日は高鍋、木城町の養豚6農場で計2万2096頭に実施。ワクチン使用は国内初で、接種後は全頭を殺処分する。口蹄疫撲滅へ向け、国を挙げての本格的な防疫対策がスタートした。23日は午前8時ごろから宮崎市佐土原町、日向市、高鍋、新富、木城町で行う予定。

 県などは、発生農場から半径10キロ圏内の周辺部から中心部に向かうように接種を進める。また、牛より感染力の高い豚で了解の得られた農家から順次行うなど、スピード感を持って臨む。県外から新たに補充した獣医師27人と補助員27人、運転手27人で構成する27チームを編成。農場の規模に応じて、チーム数を分配する。

 農水省は当初、ワクチン接種対象は計約20万5千頭と見込んでいたが、県によると、対象農家で子牛や子豚が毎日生まれているため、現時点で接種対象の総頭数は不明という。

 ワクチン接種初日となった22日は、午前9時半ごろ、宮崎家畜保健衛生所(宮崎市)に保管されているワクチンを獣医師らが車に運び込み、現地に向かった。この日、作業を行ったのは高鍋4、木城2農場。作業は補助員と農場主が豚を一頭一頭囲い込み、動けなくしてから、獣医師が豚の首に1頭当たり2ミリリットルずつのワクチンを注射していった。獣医師の立ち会いで農場主自ら接種した農場もあった。

 東国原知事と政府の現地対策チーム本部長・山田正彦農林水産副大臣は木城町の農家を視察。知事は視察後に県庁で会見し、「苦しい思いを抑え込んで、ここでまん延を食い止めたいという決意を聞かせてもらった」と語った。

 一方、高鍋町では22日、畜産農家を集めて説明会が開かれた。農家46戸が出席し、町担当者が国が示した支援策の内容について説明。出席した農家からは、補償額などがはっきりしないことなどを理由に、先行きへの不安や不満を訴える声が相次いだ。

(2010年5月23日付)
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最終更新:2010年07月17日 03:52