読売新聞社の記事へ飛ぶ (元記事控)


宮崎県で広がる家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」を懸念し、長崎県内でも、牛や豚の競りが延期されるなど影響が出ている。

 県JAグループが17日、県に対し、肥育農家への経済的援助を求めた一方、家畜の移動自粛も進めるなど、関係者は警戒を強めている。

 県は、宮崎で発生直後の4月20~26日の間、全頭検査を実施。農家など4038戸の牛や豚に異常がないことを確認した。同月下旬には、急きょ、県や畜産関係者で対策会議を開き、家畜の県内・外への持ち込み、持ち出しを自粛したり、フェリー発着港や空港での消毒を徹底したりすることなどを申し合わせた。

 競りの延期も相次ぎ、五島、壱岐、西海など県下6か所のJAは、延期された競りに出す予定だった子牛の生産農家に対し、仮渡し金を支給することを決めた。生活費や飼育料の負担軽減が目的で、希望者には10万~20万円を支給したり、餌代を提供したりする。

 この日、県JAグループは中村知事に、畜産農家への支援などを求める要請書を提出。飼料代の補助など経営安定のための対策を講じるとともに、防疫対策を徹底し、消毒薬を確実に確保するよう求めた。山中勝義・JA県中央会長は「飼料代がかさんでいるうえ、風評被害への不安の声も上がっている」と訴えたのに対し、中村知事は、「県にとって畜産は重要産業」として、国に経営対策を講じるよう求める考えを示した。

 また、全国的にも有名な「平茂晴(ひらしげはる)」など県下の大半の種牛を扱う県肉用牛改良センター(平戸市田平町)では、発生後、病原菌が入らないよう、県内外からの訪問は基本的に断り、敷地内に入ることを禁じている。職員も畜産業者の会議や牛の視察など県内外への出張を控えている。

 県畜産課の担当者は「非常に緊迫した状況。長崎の畜産農家を守るため、県内に感染例が出ないよう努めてほしい」と訴えている。

(2010年5月19日18時51分 読売新聞)
5月 対応 被害状況 防疫関係

最終更新:2010年07月18日 04:26