宮崎県で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の被害が拡大している問題で、ブランド牛「近江牛」を抱える滋賀県内でも、感染を防ぐための対策が強化されている。
現時点で県内の牛や豚に症状は確認されていないが、県は17日、「ウイルス侵入を食い止めるためにも、防疫体制を徹底したい」として、牛や豚を飼育している県内の畜産農家と学校に消毒薬を無料配布することを決めた。
県畜産課によると、全国的に消毒薬が不足し、入手が困難になっていることから、約280万円で一括購入した。対象は畜産農家182戸と高校4校。配布するのは粉末炭酸ソーダ1袋(25キロ)で、水に溶かして靴底や車のタイヤに付け、外部からのウイルス侵入を防いでもらう。19~21日に計4か所で開く防疫対策研修で配る。研修では、牛や豚の健康観察の徹底や、症状を確認した際の早期通報などを呼びかける。
県内では、宮崎県からの購入分を含めて牛2万2000頭と豚1万頭が飼育されているが、県家畜保健衛生所(近江八幡市)の調査では、現時点で異常は見つかっていないという。
◆触れあい施設も予防◆
一方、動物との触れあいが楽しめる施設でも、予防に取り組む動きが広がっている。
日野町の滋賀農業公園「ブルーメの丘」では、今月上旬から来園者が体験できる牛の乳搾りを取りやめ、牛舎の見学も禁止とした。16日からは、入場ゲートに消毒用マットを敷き、来園者にマットを踏んでから園内に入ってもらうよう措置を取った。公園の責任者は「口蹄疫が県内で発生すれば致命的。私どものような観光施設でもダメージが大きい。今後は状況次第で、羊やヤギを来園者から隔離することも検討していきたい」と話す。
町内にある県畜産技術振興センターでは、4月下旬からミニブタやポニーなどの「ふれあい広場」入り口に、人工芝を敷いた消毒槽を設置。来場者には靴底を消毒してから入ってもらうようにしたほか、施設の入り口に生石灰を塗布した。
高島市の「マキノピックランド」でも、7日から人気スポット「羊の牧場」での餌やりを中止している。
最終更新:2010年07月17日 02:38