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 宮崎県で発生している家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、感染拡大が懸念される中、松阪牛や近江牛などのブランド牛の素牛(もとうし)となっている但馬牛(うし)の産地の兵庫県但馬地方でも、畜産関係機関が施設内への見学を禁止したり、消毒を強化したりと警戒を強めている。

 但馬牛の子牛を出荷しているJAたじまの但馬家畜市場(養父市)では、年間約3000頭を扱い、全国から業者が買い付けに来る。

 同JAは、畜産農家への消毒液配布や年10回ある競り市に出入りする業者の車の消毒などの対策をとっている。同JA畜産課の南部雄二課長は「但馬地方で感染すれば、全国の和牛改良の素牛になっている牛がいなくなる恐れがある。消毒を徹底したい」と話す。

 また、種牛の候補になる子牛(1~3歳)を飼育している県北部農業技術センター(朝来市)では、県農林水産技術総合センター(加西市)が昨年4月に作成した口蹄疫発生時の4段階の対応マニュアルに基づいて対策をとっている。

 現在は国内発生時のレベル2として、飼育舎などがあるエリアをロープで囲って生産者を含めた見学を禁止し、餌や資材を運搬する車両を消毒している。同センター畜産部の渡辺理研究主幹は「宮崎県だけの問題ではない。県内に飛び火した場合に備え、万全を期したい」と話した。

 一方、羊やヤギなどとふれ合える県立但馬牧場公園(新温泉町)では、県の指示に基づき、畜舎への出入りの際に靴と手の消毒を徹底させている。立ち入り制限は行っておらず、イベントも通常通り行っている。

 同公園業務課の植村進課長は「口蹄疫は人への感染はないので、立ち入り制限は風評被害につながり、畜産農家のイメージダウンにもなる」としている。

(2010年5月18日12時56分 読売新聞)
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最終更新:2010年07月17日 02:42