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 宮崎県内で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の感染が拡大していることを受け、地元ブランド牛「小倉牛」を抱える北九州地区の畜産関係者から、長引く家畜市場の閉鎖で小倉牛の飼育・出荷を危ぶむ声が上がっている。また、JA北九は17日から畜産や酪農、養豚農家に消毒用の消石灰の配布を始めるなど、感染拡大を警戒する動きも出始めた。

 小倉牛は、小倉南区や若松区の畜産農家が、九州各県の市場で生後9カ月の子牛を買い付け、20カ月間地元で育てた後に成牛として出荷する。厳しい検査を経てブランドが与えられるため、鮮やかな霜降りや柔らかい肉質は人気が高い。

 しかし、宮崎などの子牛市場の閉鎖続きで、各農家とも新たな子牛の買い付けが出来ない状態になっている。同市総合農事センターやJA北九によると、現在小倉牛として市内で計500頭が飼育されており、1カ月に15-18頭が出荷される。「子牛の値段が上がったり、来月も買い付けができなかったりすれば、次の牛を育てることができなくなり、経営に影響が出る可能性もある」(同センター)という。

 宮崎県での終息がみえない中、市内でも感染防止に向けた動きも出てきた。JA北九によると、牛舎に人が立ち入って口蹄疫ウイルスが運ばれないようロープを張ったり、立ち入り禁止の看板を掲げたりして、牛舎に人を近づけさせない措置をとる畜産農家が増えているという。

 JA北九は「宮崎県と距離は離れているが、被害拡大が長引き、各農家とも感染拡大を不安視している」と分析している。

=2010/05/18付 西日本新聞朝刊=
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最終更新:2010年07月17日 02:54