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 宮崎県で家畜の感染症である口蹄(こうてい)疫が発生した問題を受け、福島県や畜産関係団体、畜産農家は県内上陸を防ごうと本格的な対策に乗り出した。全農県本部や県は牛の競りの会場に出入りする車両の消毒を始めた。畜産農家らも畜舎などの消毒を行っている。長年宮崎県から繁殖牛などを仕入れてきた石川郡畜産農協は万全な対策を講じるよう緊急の要望書を宮崎県に提出した。県は19日に、防疫対策会議を開き、今後の対策などを協議する。
■本格的に対策 あす会議
 県は先月下旬に宮崎県で最初の感染の疑いが発表された際に、素早く対応した。4月末には各JAや市町村などの協力で異常のある家畜がいないかどうか各農家から電話で緊急の聞き取り調査を実施している。これまで異常は見つかっていないが、19日には初の口蹄疫防疫対策会議を宮崎県での感染拡大を受けて開く。宮崎県の被害状況や本県の防疫対策、農場の衛生対策の方法などを説明し、周知徹底を図る予定だ。
 全農県本部は13、14の両日に本宮市の県家畜市場で5月の和牛競りを実施した際に、県県北家畜保健衛生所の協力を得て会場を出入りする車両のタイヤ付近を中心に消毒を行った。
 会場に消毒薬を染み込ませたマットなどを置いて足からの感染にも注意を払った。19日にも乳牛の競りが行われるが、同じ態勢で臨む方針だ。
■宮崎牛の購入休止 石川郡畜産農協安全求め要望書
 畜産関係団体にも影響は及んでいる。石川郡畜産農協は約15年前から宮崎牛の子牛を繁殖牛として飼育するために購入してきた。宮崎牛は質や量などの面で高水準と評価し、これまで約600頭を繁殖に利用している。今年度も宮崎県から購入する予定だったが今月の競りから休止に入っているという。担当者は「良質な宮崎牛が入ってこなくなれば今後の影響が心配」と語る。
 同畜産農協が10日付で宮崎県知事にあてた要望書では、あらゆる手段を講じて安全な宮崎牛の供給を図ることと、防疫体制の徹底、異常のある家畜の早期発見と情報提供などを求めている。
■県内の豚、牛合わせ30万頭
 県によると、県内の畜産農家は肉用牛が約4500戸、酪農が約600戸、豚が約140戸の合わせて約5200戸に上るという。頭数は豚と牛で合わせて約30万頭とみられる。
※口蹄疫 牛や豚、羊などに感染するウイルス性の家畜伝染病。空気感染し、発症すると口や蹄(ひづめ)などに水疱(すいほう)ができて発熱やよだれなどの症状を示し、死ぬこともある。急性で感染力が強いため、各国が厳しい防疫体制を取っている。人が牛肉や豚肉を食べても口蹄疫にはかからないとされるが、感染した動物に接触するとウイルスが靴などに付着し、感染を拡大させる恐れがある。

(2010/05/18 10:09)
5月 対応 防疫関係

最終更新:2010年07月17日 03:17