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[2010年05月18日 09:50]

 宮崎県で相次ぐ口蹄疫を受け、大分県は豊後牛ブランドを守ろうと、“エース級”の種雄牛の凍結精液の一部を、一元管理している県畜産研究部(竹田市久住町)から、大分家畜保健衛生所(大分市小野鶴)に移した。種雄牛も感染の疑いが出た時点で処分しなければならないリスクを回避するため、飼育場所を移すなどの対策を検討中だ。
 宮崎県では宮崎牛ブランドを支える種雄牛の管理施設に感染の疑いが広がり、49頭を処分する深刻な事態に陥っている。大分県によると、県畜産研究部では種雄牛の凍結精液約13万本(1本0・5CC)を保管。種雄牛は36頭を飼育している。同部の牛に感染の疑いが出た場合、家畜伝染病予防法に基づき凍結精液も廃棄処分の対象になる可能性がある。国の判断がはっきりしていない部分もあり、県畜産振興課は「時期が相当に前でも対象になるのかなど、事例ごとに協議が必要」と説明する。
 いずれにしても、1カ所ですべてを失う事態を防ぐため、県はこれまでに寿恵福(すえふく)、勝福平(かつふくひら)など豊後牛ブランドを担う種雄牛17頭の凍結精液約1万2千本を、大分家畜保健衛生所に移した。今後も必要に応じて移管を検討する。
 宮崎県では凍結精液供給の9割を占める優秀な種雄牛6頭は、感染疑いの出た管理場所から事前に移し、最悪の事態は逃れた。これを受け、大分県も種雄牛を県畜産研究部から離して育てることを含め、対策を検討している。同課は「種雄牛の育成に10年はかかる。豊後牛の宝を失わないためにも、万全な防疫策を考えたい」としている。
5月 対応 防疫関係

最終更新:2010年07月17日 03:26