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 宮崎県で長引く口蹄(こうてい)疫の影響が、畜産だけでなく運輸や観光など地域経済全体に及んでいる。東国原英夫知事は「夏休み前の終息」を目指すが、依然として見通しは立たない状況で、深刻な打撃を受けた地域経済の回復には年単位で時間がかかりそうだ。

飛行機キャンセル7千席…東国原ブーム一転、冷える観光

 宮崎県トラック協会によると、「宮崎ナンバー」というだけで畜産と無関係の荷物も取引を断られたり、出入りを拒まれたりするケースが散見されるという。同協会の理事は7日にあった経済団体の意見交換会で「風評被害で仕事がゼロのところもある」と悲鳴を上げた。

 ホームページでは荷主向けに「宮崎ナンバーのトラックは消毒回数が多く『安全』『安心』です」と理解を求める。

 宮崎県では、平成19年1月に就任した東国原知事が、宮崎牛やマンゴーなどの県産品や観光地を全国にPR。知事の人形が置かれた県庁に団体観光客が押し寄せ、ブームに沸いた。

 だが、口蹄疫で状況は一変。宮崎県内のリゾートホテル運営会社は「大型の団体客のキャンセルがあり、大変」という。

 宮崎市のビジネスホテル支配人も「スポーツ大会などの中止で一気に30人もの予約が取り消された。対策の取りようがない」と嘆く。

 書き入れ時の8月には市内で全国高等学校総合文化祭が予定されるが「それもどうなるか…」と不安そうだ。

 県民の動きも自粛ムードで鈍っている。全日空によると、5月末時点で6、7月の宮崎発の便は修学旅行を中心に団体客だけで約6千席がキャンセルに。日航便も約1千席分が取り消された。

 大手タクシー会社の男性運転手は「宮崎市街も閑散としている。減っていないのは病院通いのお年寄りぐらい」と話す。

 日銀宮崎事務所は6月に発表した県金融経済概況で、口蹄疫の影響について「情勢が変化しており、現時点で判断は難しい」と具体的な数値公表は避けた。しかし、小売業や飲食、観光業への影響は認め、畜産についても「子牛を育てて、出荷するまでの2年程度の逸失所得は深刻な問題」とした。


最終更新:2010年07月16日 03:48