西日本新聞社の記事に飛ぶ (魚拓)

2010年6月16日 13:49 カテゴリー:社会 九州 > 宮崎

 宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、搬出制限区域内(発生地から半径10-20キロ圏内)の家畜を早期に食肉処理して緩衝地帯を設けるとしていた防疫方針について、政府現地対策本部の篠原孝農林水産副大臣は16日、「早期出荷はそう簡単でない」と述べ、断念する考えを明らかにした。移動制限区域内(同10キロ圏内)のワクチン接種と組み合わせて感染を押さえ込む手法は「変更されたと言っていい」と述べた。

 緩衝地帯の設置断念の理由について篠原副大臣は、(1)早期殺処分と埋却で抑える「えびの方式」とワクチン接種が効果を挙げつつあり、感染疑いのある家畜発生数が減っている(2)食肉工場の稼働能力が低い(3)家畜を食肉工場に移動させることに感染拡大のリスクがある‐ことなどを挙げた。

 農水省は15日、早期出荷で価格が下落した場合の具体的な助成金額を公表したばかり。これに関連し、篠原副大臣は「早期出荷はしてもらいたいので整えた条件で支援するが、強制はしない」と生産者の自主的な判断に委ねる方針という。産地ブランドを支える種牛や母豚などについても「なるべく残していかないといけない」と述べた。

 宮崎県によると、早期出荷対象は牛約1万4千頭、豚約1万5千頭。5月31日から、移動制限区域内の食肉加工会社「ミヤチク」都農工場(同県都農町)を特例で稼働させたが、風評被害による価格下落などもあり、出荷はすぐに止まっていた。

=2010/06/16付 西日本新聞夕刊=


最終更新:2010年07月16日 03:55