宮崎日日新聞 激震口蹄疫記事へ飛ぶ(魚拓)


 菅内閣が発足した8日、口蹄疫に暮らしを破壊された県内の被害農家らからは、政府の現地対策チーム本部長を務めた山田正彦農水副大臣の農相昇格に対し「現場の声が政府に伝わる」と評価する声が上がった。一方、参院選をにらんだ新内閣に「選挙で口蹄疫問題が二の次になるのでは」という危機感も広がる。

 約3週間にわたり現地対策チーム本部長を務めた山田農相の誕生は被害農家にとって頼もしく映る。ワクチン接種後、牛68頭の殺処分を待つ和牛繁殖農家の中武留彰さん(73)=宮崎市佐土原町東上那珂=は「新閣僚で唯一、現地に来た人。農家の気持ちを十分に受け取ってくれるだろう」。川南町の内野宮正英町長は「十分にこれまでの流れが分かっていると思う。一刻も早い終息に向けて指導力を発揮してほしい」と期待する。

 閣僚人事では農相ポストだけが敬遠されるなどして難航。1日に県庁で鳩山由紀夫前首相と会談し、農家の窮状を訴えたハマユウ尾鈴ポークの河野宜悦社長(48)=川南町川南=は「1次産業で成り立つ地方、口蹄疫で苦しむ宮崎にとっては重みのあるポスト。情けない」と話す。

 目前に迫った参院選をにらんだ新内閣の誕生。農家には口蹄疫から政治と国民の視線が遠のくことに対する不安が募る。JA尾鈴養豚部会の遠藤威宣部会長(56)=川南町川南=は「現場の人間は選挙どころではない。口蹄疫は日本全体を揺るがす問題で選挙の二の次になってはならない」とくぎを刺す。

 農家や周辺産業の経営再建など課題は山積する。JA児湯の金田清夫組合長は「農家の大半は再建への意欲を持っている。補償や生活面の助成の一部は示されているが、再建の手だてが出ていない」。間接被害により「商工業者の悲鳴は日々大きくなっている」と訴えるのは川南町商工会の津江章男会長。「省庁間ががっちりと連携し、この先も安心して商売ができる対策をしてほしい」と切望する。

(2010年6月9日付)



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最終更新:2010年07月15日 03:29