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 多湿を好む口蹄疫ウイルスの特徴から、梅雨入りによる流行の拡大が懸念されている。国と宮崎県は16日、殺処分にあたる獣医師の数を大幅に増やした。

 口蹄疫ウイルスは感染した牛や豚が死ぬと徐々に死滅するが、湿度が60%を超えると生き残りやすくなる。気象庁によると、宮崎市が梅雨入りした 12日以降、平均湿度89%以上の日が続いている。英国でも1960年代、霧が多い季節に50〜60キロ風下まで感染が広がった例があった。

 一方、このウイルスは酸性かアルカリ性になると死滅するため、農場周辺の地面にアルカリ性の消石灰が大量にまかれている。農林水産省動物衛生課は 「消石灰が雨で流されたり、消毒液が雨で薄まったりすると効果が落ちる恐れがある」と警戒している。

 宮崎県は農水省を通じ、各都道府県に獣医師の応援を要請。16日には2日前より約70人多い170人体制にした。村上洋介・帝京科学大教授(動物 ウイルス学)は「口蹄疫ウイルスはインフルエンザとは逆に、湿度が高いほど感染しやすくなる。消毒を徹底し、一刻も早く処分を完了させるしかない」と話し ている。
(2010年6月17日  読売新聞)


最終更新:2010年07月16日 05:00