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宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で2日、清浄性が確認された都城市を中心とする地域の家畜の移動・搬出制限区域が解除され、肉牛や肉豚の出荷が約3週間ぶりに始まった。農家は出荷再開を喜びながらも、「県全域の清浄化まで油断できない」と気を引き締めた。

 移動制限区域の食肉処理場「ミヤチク高崎工場」(都城市)も操業を再開し、農家は厳重な消毒をして牛や豚を搬入した。発生農場の近くで牛約150頭を飼育する田口涼一さん(62)は午後、8頭を出荷する。「毎朝牛舎に行くのが怖かった」と振り返りながら「今後の経営を考えると不安はあるが、出荷できることを喜ばなければ」と自らに言い聞かせた。

 また、都城市近郊で豚や牛約8万7000頭を飼育する「はざま牧場」の間和輝会長(66)は「うれしいが、口蹄疫の怖さはしっかり頭の中に残っている。家畜を殺処分した農家のことを思うと万歳三唱するわけにいかない。宮崎の畜産が一日も早く再生することが願い」と語った。

 長峯誠・都城市長は制限解除の午前0時、市高崎総合支所で職員らを前に「1カ所で食い止めることができたのは、市民一丸となった協力のおかげ。県全域の清浄化まで、防疫を緩めてはいけない」と呼びかけた。

 都城市では6月9日に感染疑い例を確認。24時間以内に発生農場の牛全頭を殺処分、埋却するなど迅速対応し、感染を1例に封じ込めた。

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 山田正彦農相が2日午前、都城市を訪れ、長峯市長と会談。「都城は本丸だったから、解除を聞いてうれしかった。発生してすぐに殺処分し埋却できたことが良かった」と述べた。長峯市長も「埋却地が近くにあり、幸運だった」と応じた。

【木元六男】

2010年7月2日


最終更新:2010年07月18日 04:17