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(2010年5月19日午前7時22分)

 宮崎県で口蹄疫(こうていえき)の感染が拡大しているが、本県では県外から買い入れる子牛の6割は宮崎県が占めている。現在同県の市場は休場しているが、畜産農家からは「休場が長期化すれば買い入れ先の見直しが必要」「頭数の減少で競り値の高騰も心配」といった声が上がり始めている。

 県内のある畜産農家は飼育している約100頭のうち9割は宮崎県から「素牛(もとうし)」として買い入れる。宮崎産は「肉質もいいし、発育もいい」という。口蹄疫が発覚する直前の4月18日にも5頭を同県から買い入れた。「最初10日間は注意してチェックしていた。不安で不安で仕方なかったが、発生せずほっとしている」と胸をなで下ろす。
 しかし、今後の素牛の買い入れは金沢市の北陸3県和牛子牛市場への変更も考えるという。「多くの畜産農家が買いに集まり、子牛の価格が上がる可能性がある」と心配する。
 県肉用牛協会の藤田一元(かずもと)会長は「国や自治体には人間が食べても感染しないということをきっちり周知してほしい」とし、「とにかく1日も早く口蹄疫問題が収束することを願う」と話す。
 県内の素牛の買い入れを担当するJA県経済連によると、5月は宮崎県は市場が休場。九州のほかの市場からの買い入れもなかったという。19日に金沢市で開かれる和牛子牛市場で調達する予定だが、すべてを賄えるかどうかは分からないとしている。
 同経済連の平川利勝畜産課長は「宮崎の市場の休業が2、3カ月続けば、どの県も同じだろうが、他の仕入れ先を考えなければいけない」と指摘する。生産頭数が多く九州から離れた北海道、東北地方が候補として考えられるが、全国の需要が殺到した場合、頭数の不足に加え価格の高騰が懸念されるという。「採算が合うのか、肥育農家の中には不安に思う人も出てくるのではないか」と説明する。
 平川課長は「リーマン・ショック以降のデフレ基調で、牛肉の価格は下がったままだ。風評被害につながるのが一番心配」と話している。
5月 防疫関係

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最終更新:2010年07月18日 04:51