京都府畜産課などによると、丹波地域2市1町では、府内の肉牛・乳牛の6割(約7200頭)、豚の7割(約9100頭)を飼育している。
府南丹家畜保健衛生所は宮崎県で感染例が判明した4月20日直後から、牛や豚などを飼育する畜産農家123戸へ文書やメールで注意を促すとともに、消毒液を配布した。現在までに家畜の異常の報告や相談は受けていないという。
亀岡市内で肉牛270頭を飼育する人見政章さん(48)は、牛舎の出入り口に置いた消毒液に長靴をつけ、作業にあたる。「病気がどんな形で入ってくるか分からない。感染予防を徹底したい」と話す。
一方で、事態の長期化を心配する。同市内の畜産農家9軒でつくる亀岡牛生産株式会社では、子牛の仕入れ元は宮崎県が約4割を占めるという。4月にも宮崎県産の子牛を約20頭買い付けたが、被害拡大を受け、現地に預けたままだ。
同社の社長でもある人見さんは「事態が長引けば2、3年後の肉牛の頭数減にも影響しかねない」と早期の終息を願う。
京丹波町蒲生で約500頭の豚を飼育する岸本和雄さん(60)は「無駄な出入りを減らし、なるべく電話でやりとりする」と対策を徹底。一方で「空気感染なら防ぎようがない」と話す。
南丹市八木町池上の谷牧場では、乳牛約90頭を飼育し、小学生の見学を受け入れてきたが、6月分の約200人の見学を取りやめた。同牧場の谷学さん(33)は「不特定多数の人の出入りは控えたい」とし、今月末の「オープンファーム」も中止する。
今のところ、宮崎県だけの発生にとどまっているが、畜産関係者は「感染力が強いので、地域に関係なく危機感は同じ」と神経をとがらせている。
【口蹄疫】 牛や豚、ヤギなど足の指が偶数の動物がかかるウイルス性の伝染病。感染すると発熱したり、多量のよだれが見られ、口の中や蹄(ひづめ)の付け根などに水ぶくれができたりする。発生した場合は、家畜の所有者による処分が義務づけられている。人には感染しないとされる。
最終更新:2010年07月18日 04:44