宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、政府の口蹄疫対策本部は19日、発生地から半径10キロ圏内で、感染していないすべての牛や豚計20万5000頭を殺処分することなどを柱とした総合対策を決定した。
対策費は少なくとも300億円以上にのぼり、政府は予備費などを充てる方針だ。同日記者会見した赤松農相は、殺処分を前提としたワクチン接種について「1週間以内に全頭処分を終えたい」とした。
農林水産省によると、全頭殺処分は口蹄疫が発生している同県東部の都農(つの)町、川南町、高鍋町、新富町から10キロ圏にかかる計8市町で実施。この地域では、19日正午までに感染が判明している127農場の11万8000頭が殺処分対象となっているが、まだ感染が確認されていない約900農場の牛5万頭、豚15万5000頭についても「感染している疑いがある」と認定し、ワクチンを投与した上で殺処分することを決めた。農家に対しては標準評価額をもとに損失を計算し、全額を補償する。
10キロ~20キロ圏の農家で飼育されている牛や豚については、国が買い取り、処分する案が検討されたが、この地域の牛1万6000頭、豚1万5000頭は、出荷時期を迎えていない幼い牛や豚も含め、すべて1週間以内に出荷し、一定期間は新たな飼育も自粛するよう促す方針に変更した。早期出荷による売り上げ減少分は支援金交付で補填(ほてん)する。
4農場で感染が確認されている同県えびの市は、発生数が少ないなどの理由で、これらの措置の対象から除外された。
最終更新:2010年07月18日 04:27