(2010年4月24日付)
口蹄(こうてい)疫に感染した疑いのある牛が都農、川南町で相次ぎ確認された問題で、県は23日、都農町の和牛繁殖農家が飼育していた黒毛和牛3頭の口蹄疫(O型)感染が確定したと発表した。
20日に感染疑いの1例目となった3頭で、国内感染は2000年に本県と北海道で確認されて以来10年ぶり。県は23日夜、川南、都農町の2農場で5、6例目となる繁殖牛1頭、水牛1頭の感染疑いも確認。都農町の水牛1頭については3月末に採取した検体から感染疑いが判明した。殺処分対象は6農場で牛339頭、水牛42頭、豚2頭に上る。
県によると、23日、動物衛生研究所(東京都)が抗原検出検査で口蹄疫への感染を確定した。口蹄疫ウイルスには七つの血清型があり、O型は各国での発生の約半数を占める。韓国では4月に牛、豚、ヤギのO型感染8例を確認。1〜3月に牛とシカでA型感染7例を確認している。中国や韓国で発生した口蹄疫と同じウイルスかは、遺伝子の塩基配列を調べなければならず不明という。
感染疑い5例目となったのは、4例目の農場から西100メートルの川南町の肉用牛一貫経営農家で飼育されている繁殖牛1頭。22日、同町役場から連絡を受けた宮崎家畜保健衛生所が立ち入り検査。症状が見られた3頭の粘膜などを同研究所に送り、23日夕方、1頭の陽性反応を確認した。
6例目は、1例目の農場から北西600メートルにある都農町の水牛農家が飼育する水牛1頭。1、3例目と一部同じ飼料業者から飼料を購入しており疫学調査の対象となった。
22日、立ち入り検査で5頭から血液を採取。3月31日、同保健所が下痢症状の原因特定のため採取していた3頭の鼻の粘膜とともに同研究所に送付し、うち1頭の粘膜が遺伝子検査で陽性反応を示した。このため、これまでで最も早い時期の感染疑い例となった。農家は豚2頭も飼育。半径3・5キロには養豚農家が6戸ある。
2例目の埋却処分は23日までに終了。3例目も殺処分を終え、24日も埋却作業を続ける。4例目の埋却地も決定。5、6例目については未定。県は同日、県内の牛や豚などの偶蹄(ぐうてい)類飼育施設すべての消毒を実施することも明らかにした。
東国原知事は週明けにも上京。赤松広隆農林水産相と会談し、口蹄疫に対する支援などを要請する予定。
【地図】口蹄疫感染・疑い確認農場
◇抗原検出検査 口蹄疫ウイルスの型ごとの特徴を示すタンパク質「抗原」にどの「抗体」が結合するかを調べることで、型を特定する検査。あらかじめ、いくつかの抗体を用意しておき、抗原と反応すれば発色する試薬を使って検出するELISA(エライザ)検査で実施した。感染疑い1例目の牛から綿棒で採取したぬぐい液のウイルスを試験管内で生きた細胞に接種して増やし、検査に使った。
最終更新:2010年07月14日 05:05