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(2010 06/02 11:19)

宮崎県の口蹄疫問題の影響が、鹿児島県内でも地域や業種を超え広がっている。防疫対策の行事中止で人の移動が減ったことに加え、競り市の延期・中止で収入が途絶えた畜産農家が消費を抑えているため。関係者は「仕方ない」と理解を示しつつ長期化を懸念する。
 鹿児島市の中原別荘は、5月末から6月にかけ、宮崎県からの修学旅行客のキャンセルが相次ぎ、1000人以上の宿泊予約を失った。「損失は大きいが、現地の状況を思うと仕方がない」と中原国男社長。誤った風評によって、宮崎以外からの旅行者まで鹿児島を敬遠することを懸念し「情報をきちんと伝えなければ」と話す。
 出水市のいずみ観光牛車会は、口蹄疫による観光牛車の運行自粛が1カ月を超えた。予約団体客には、牛車代わりにマイクロバスで、観光コースを低速走行するなどの代替措置をしているが「定着してきただけに残念」と茂原真琴理事長。
 牛のいない御所車をバックに記念撮影する観光客を見ると気の毒になる。「出番がないので牛が太ってきた。だが、畜産農家の心配を考えると、外で運動させるわけにもいかないし」と苦慮する。
 地方商店街の消費にも影響が出始めた。曽於中央家畜市場(曽於市)近くの曙商店街では、畜産農家の来店が減少。安全性をPRするために、約40店舗の前に消毒用の消石灰をまいた。
 同市場の競り市では、毎月約2000頭の子牛が競り落とされ、売買額は約7億円。その一部が曙商店街で使われていた。だが、4~6月の競り市は延期。電器店を経営する中迫一九男理事長は「客が2割は減った。農家も苦しいが、商店街も苦しい」。
 会合やスポーツ大会などの自粛で、弁当の注文が減るなど飲食業も深刻。同市場近くで、ドライブインを経営する上村幸敏さんは「競りの日は客席(55席)が埋まっていたが、延期されてからは閑散。売り上げは7割減った。とても厳しい」と嘆いた。


最終更新:2010年07月16日 02:13