胸の奥に溢れるのは涙よりも愛にしたい ◆YsjGn8smIk
「どう見ても人間の足跡じゃねーよな」
灌太がそう呟いたのは、別荘・コテージ郡の出口にたどり着いてすぐだった。
別荘から街道へと続く道には何かが通った痕跡があった。
だだし、通ったといっても人の足跡ではなく何かが這いずったような跡……ではあったのだが。
別荘から街道へと続く道には何かが通った痕跡があった。
だだし、通ったといっても人の足跡ではなく何かが這いずったような跡……ではあったのだが。
「そーだねー」
セインも軽い口調で返してくるが、難しい顔をしていた。
「あ、もしかしてさあ、何かを引きずった後とか?」
「いや、そりゃ無いな。それなら引きずった奴の足跡があるはずでしょ。
だけど、そんな足跡はまったくと言っていいほどない。空でも飛べりゃあまあ別だが、それなら引きずった跡がつくのもおかしい。
ま、単純に考えれば……足がない奴が這いずって移動してるって所だろうね」
「いや、そりゃ無いな。それなら引きずった奴の足跡があるはずでしょ。
だけど、そんな足跡はまったくと言っていいほどない。空でも飛べりゃあまあ別だが、それなら引きずった跡がつくのもおかしい。
ま、単純に考えれば……足がない奴が這いずって移動してるって所だろうね」
灌太は痕跡を見ながら言う。
「はぁー、意外とカンタってもの考えてるよねー」
「ニャハハ! 恐れ入ったか、乳もませろ!」
「ニャハハ! 恐れ入ったか、乳もませろ!」
手をわきわきしながらセインに近づくが肘鉄が飛んできた。
「ぶほっ!」
「……これさえ無ければねえ」
「……これさえ無ければねえ」
セインが嘆息をもらす。
鼻血を吹きながら灌太は話題を変える。
鼻血を吹きながら灌太は話題を変える。
「ごほん。何かが通ったのは確かみたいだし……どうする、探してみるか?」
「んー、もしかしたらノーヴェを知ってるかもしれないけど、なーんか危険生物っぽいし……関わりたくないなあ」
「んー、もしかしたらノーヴェを知ってるかもしれないけど、なーんか危険生物っぽいし……関わりたくないなあ」
渋い顔で呟くセイン。
関わりたくないと言う意見に同意だったので灌太も気楽に続ける。
関わりたくないと言う意見に同意だったので灌太も気楽に続ける。
「ま、手持ちの火力にも限りがあるしな。ここは一つ……見なかった事にしよう!」
「だねー」
「だねー」
と、まああっさり放置する事となった。
別荘郡を後に、その道を西にしばらく歩くと街道へと出た。
すでに太陽が昇っているというのにセインの言う通り、辺りは本当に快適な気温だった。
街道を北に歩きながら、灌太は景色に目を奪われていた。
朝の気持ちのいい風が吹く中、地面に生えた草という緑の物体がそよぐ。
鬱蒼として混沌とした緑の森というそれも、見慣れればそう悪くも無かった。
空の色以外は見た事が無いものばかり目に入り、灌太は内心驚きっぱなしだったのだが……
草や森などを遥かに超越するような凄まじい光景が目に飛び込んできた。
すでに太陽が昇っているというのにセインの言う通り、辺りは本当に快適な気温だった。
街道を北に歩きながら、灌太は景色に目を奪われていた。
朝の気持ちのいい風が吹く中、地面に生えた草という緑の物体がそよぐ。
鬱蒼として混沌とした緑の森というそれも、見慣れればそう悪くも無かった。
空の色以外は見た事が無いものばかり目に入り、灌太は内心驚きっぱなしだったのだが……
草や森などを遥かに超越するような凄まじい光景が目に飛び込んできた。
なんと大量の水が……流れていたのだ。
「な、な、なんだこりゃああああああああ!?」
思わず叫んでしまう。
うしろからセインが暢気に聞いてくる。
うしろからセインが暢気に聞いてくる。
「んー? なに驚いてんのさ?」
「お、落ち着いてる場合じゃない! み、見ろよ、水が流れてるんだよ!?」
「お、落ち着いてる場合じゃない! み、見ろよ、水が流れてるんだよ!?」
主催者は間違いなく最低最悪の大バカヤローだ。
水を流すなんて高額紙幣で焚き火をやるようなマネ、頭のネジが吹き飛んでなきゃまず出来ない。
水を流すなんて高額紙幣で焚き火をやるようなマネ、頭のネジが吹き飛んでなきゃまず出来ない。
(あのおっさんマジでいかれてやがる……ああ、もったいねえ。これだけの水、一体いくらぐらいになるんだよ!?)
呻くこちらを他所にセインはあっさりと言い放つ。
「そりゃ川なんだし、水が流れるのは当たり前じゃん」
「……って、カワ?」
「……って、カワ?」
カワ……と聞いて灌太の記憶が刺激される。
昔どこかで聞いたことがあった。
昔どこかで聞いたことがあった。
「カワってあれか? 死んだら渡るっていうあの川?」
なんでも死に掛けるとその川という大量の水が流れる場所へ魂だけが行くとか何とか。
確かその川と言うものを渡ると死ぬ、って感じの与太話だったはずだ。
確かその川と言うものを渡ると死ぬ、って感じの与太話だったはずだ。
(へ……って事は? 何? まさか俺、死んだの? それとも死ぬの?)
あわあわと慌てる砂ぼうずを横目にセインは頭を振る。
「よくわからんねー、死んだら渡るとかって何のこと? これどう見てもただの川じゃん?」
「……ちょっと待て、セイン。もしかしてお前これを見たことがあるのか?」
「当たり前だろ? ……ってかさ、カンタ。まさか川を見たこと、ないとか?」
「……ちょっと待て、セイン。もしかしてお前これを見たことがあるのか?」
「当たり前だろ? ……ってかさ、カンタ。まさか川を見たこと、ないとか?」
セインの爆弾発言に怒鳴り返す。
「あるわけねーだろ! こんな馬鹿げた真似できるなんてどんなお大臣だよ!?」
「はあー、なーるほど。そりゃ驚くか」
「はあー、なーるほど。そりゃ驚くか」
納得したようにセインが頷く。
「ど、どういう事だよ?」
「カンタの居た、関東大砂漠って水がない次元世界なんだねー」
「カンタの居た、関東大砂漠って水がない次元世界なんだねー」
訳の判らない事を言った。
「じ、じげん世界? ……なんだよそれ?」
カンタは頭をかきながら、まったく覚えの無い単語を聞き返した。
セインがめんどくさそうに肩をすくめる。
セインがめんどくさそうに肩をすくめる。
「えー説明しなきゃダメ?」
「ダメ」
「苦手なんだけどなあ、そういうの……わかりにくくても文句、言わないでよ?」
「ダメ」
「苦手なんだけどなあ、そういうの……わかりにくくても文句、言わないでよ?」
そう前置きしてセインは話し始めた。
じげん世界やじくう管理局やら訳の判らない言葉が出てきたがセインの話を簡単に纏めるとこうだ。
なんでも世界は一つじゃなくっていくつもあるらしい。
その中には関東大砂漠のように水が無い世界もあれば、逆に水だらけの世界もあるという。
セインたちが居た次元世界とやらはその中間ぐらいの世界……つまりここの様な川とかがある世界だという。
じげん世界やじくう管理局やら訳の判らない言葉が出てきたがセインの話を簡単に纏めるとこうだ。
なんでも世界は一つじゃなくっていくつもあるらしい。
その中には関東大砂漠のように水が無い世界もあれば、逆に水だらけの世界もあるという。
セインたちが居た次元世界とやらはその中間ぐらいの世界……つまりここの様な川とかがある世界だという。
「ん? ……って事は、さっき会ったガルルとかいうカエルも、もしかしてロボットとかじゃなくってそんな世界とやらの生き物だったのか?」
「さあ? でも多分生き物じゃないかな? 使い魔とかそんな感じだと思うよー」
「さあ? でも多分生き物じゃないかな? 使い魔とかそんな感じだと思うよー」
知らず冷や汗が出る。
流石に異世界だとか次元世界だとかいうスケールの話は想像もしてなかった。
厄介な事になりそうだ、と思うと同時に
流石に異世界だとか次元世界だとかいうスケールの話は想像もしてなかった。
厄介な事になりそうだ、と思うと同時に
(なのはさんとやらの世界はそんなパラダイスなのかー。
ボインと水に溢れる世界……いい、凄くいい! マジでその組織で雇ってくれないかなー)
ボインと水に溢れる世界……いい、凄くいい! マジでその組織で雇ってくれないかなー)
こっそりとそんなボインパラダイスを夢想し、にやける。
「っ……カンタ、うしろ!」
「へ?」
「へ?」
唐突に、セインが叫ぶ。
首を回して後ろを見ると、なんというか巨大な人型の蛇がこっちを見ていた。
そして蛇の目が光っ―――
首を回して後ろを見ると、なんというか巨大な人型の蛇がこっちを見ていた。
そして蛇の目が光っ―――
ズガン!
―――った次の瞬間、背中が爆発した。
【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず 死亡】
☆ ☆ ☆
カンタのうしろから現れた巨大な蛇。
その目が光ったと思った次の瞬間、隣に居たカンタが冗談のように吹き飛んでいた。
その目が光ったと思った次の瞬間、隣に居たカンタが冗談のように吹き飛んでいた。
「カ、カンターーー!!」
思わず叫ぶが、十数メートル吹き飛んだカンタは地面に倒れたままピクリとも動かない。
駆けつけようと足を動かしかけて、やめる。
あの爆発では多分……というかまず間違いなく、死んだ。
駆けつけようと足を動かしかけて、やめる。
あの爆発では多分……というかまず間違いなく、死んだ。
「ふふふ、他愛もない。さあ次は貴様の番だ」
エコーがかかった様な声で蛇男がそんな事を言う。
ぬらりと這うようににじり寄るその姿を見て、セインの脳裏に閃くものがあった。
別荘地の入り口で見た這いずるような跡は……おそらくこの蛇男のものなのだろう。
こちらが蛇男の痕跡を発見できたという事は、当然この蛇男もこちらの足跡を見つける事が出来る。
つまりはそういう事なのだろう。
ぬらりと這うようににじり寄るその姿を見て、セインの脳裏に閃くものがあった。
別荘地の入り口で見た這いずるような跡は……おそらくこの蛇男のものなのだろう。
こちらが蛇男の痕跡を発見できたという事は、当然この蛇男もこちらの足跡を見つける事が出来る。
つまりはそういう事なのだろう。
「アイビーム!」
蛇男が再び目を光らせる。
セインは放たれた殺人ビームを地面に飛び込むように身を投げ出し、辛うじてかわす。
セインは放たれた殺人ビームを地面に飛び込むように身を投げ出し、辛うじてかわす。
「IS発動『ディープダイバー』!」
そしてそのままISを発動し、『文字通り』セインは地面の中へと飛び込んだ。
「なにい!?」
慌てたように蛇男が更にビームを放つが、セインの体は既に地中へと潜行していた。
『ディープダイバー』
あらゆる無機物を透過し、泳ぐように移動できる。
それがセインのIS(インヒューレントスキル)―――『ディープダイバー』の能力だった。
『ディープダイバー』
あらゆる無機物を透過し、泳ぐように移動できる。
それがセインのIS(インヒューレントスキル)―――『ディープダイバー』の能力だった。
とはいえそのISも攻撃する為に使ったわけではない。
目からビームを放つような怪物を相手にするには、今のセインには火力が足りなかった。
ディパックの中に蛇男を倒せそうな武器も、ビームを防げそうな防具もなく
カンタが死んだ今、まともに戦える相手だとは思えなかった。
だから蛇男の真逆へと泳ぎ始める。
目からビームを放つような怪物を相手にするには、今のセインには火力が足りなかった。
ディパックの中に蛇男を倒せそうな武器も、ビームを防げそうな防具もなく
カンタが死んだ今、まともに戦える相手だとは思えなかった。
だから蛇男の真逆へと泳ぎ始める。
(って……あれ?)
蛇男から逃げようと全力で地面の中を泳いでいたセインだが、なんとなく違和感を感じ思わず頭を捻る。
まだ十秒も潜ってないというのに、かなりの時間潜った後のような疲労を感じたのだ。
まだ十秒も潜ってないというのに、かなりの時間潜った後のような疲労を感じたのだ。
(おっかしいなー、調子悪いのかな……)
そんな事を考えながら再び泳ぎだすが……やはり体が重い。
徐々に移動速度も落ち、逆に体力は加速度的に消耗していく。
さすがに慌てるが、まさか浮上するわけにもいかない……などと思っていたのだが。
徐々に移動速度も落ち、逆に体力は加速度的に消耗していく。
さすがに慌てるが、まさか浮上するわけにもいかない……などと思っていたのだが。
(でも、もう50mぐらいは移動した筈だし……走って逃げよっかな?)
あまりの疲労にセインはあっさりと考えを改める。
ちょいっと腕を地面の上に出し、指先のカメラで外の風景を窺う。
蛇男はこちらを探しているのか、手を銃口のように構えながらキョロキョロとこちらを探していた。
ちょいっと腕を地面の上に出し、指先のカメラで外の風景を窺う。
蛇男はこちらを探しているのか、手を銃口のように構えながらキョロキョロとこちらを探していた。
(距離も開いてるし、んー……いっちゃおう!)
いい加減、疲労も大きくなってきたのでセインは即断した。
蛇男がうしろを向いた瞬間を狙い、ざぱっと地面の上へと飛び出す。
なんなく地面に着地、ISを解除して一息―――
蛇男がうしろを向いた瞬間を狙い、ざぱっと地面の上へと飛び出す。
なんなく地面に着地、ISを解除して一息―――
「ふや~、マジきつい」
「魔空……弾!」
「魔空……弾!」
入れる間もなく、こちらに気付いた蛇男が意外なほど素早く右手を突き出す。
そこから生まれた光弾が、気が付くと目の前に迫っていた。
そこから生まれた光弾が、気が付くと目の前に迫っていた。
「うやっ!?」
セインは妙な叫び発しながらも横へと身を投げ出し―――転がるように地面を蹴って飛び退く。
たった今まで彼女が立っていた場所へと、光弾が炸裂した。
たった今まで彼女が立っていた場所へと、光弾が炸裂した。
「……わっ!」
衝撃が体を揺さぶる。
光弾は地面にぶつかると予想以上の大爆発を起こし、衝撃で体勢が崩れる。
爆風に目を細めながらも急いで体勢を立て直すと、セインは即座に駆け出した。
大したダメージはない、今なら森へ入れば逃げ切れる。
そう確信したのだが―――
光弾は地面にぶつかると予想以上の大爆発を起こし、衝撃で体勢が崩れる。
爆風に目を細めながらも急いで体勢を立て直すと、セインは即座に駆け出した。
大したダメージはない、今なら森へ入れば逃げ切れる。
そう確信したのだが―――
「っつああ!!」
一瞬意識が飛んだ。
気が付くとセインは地面を転がっていた。
何が起こったのか理解できずに居ると肩に激痛が走った。
そして理解する。後から蛇男のビームに撃ち抜かれた事を。
気が付くとセインは地面を転がっていた。
何が起こったのか理解できずに居ると肩に激痛が走った。
そして理解する。後から蛇男のビームに撃ち抜かれた事を。
「っうあ」
痛みにあえぎながら、セインはその場に膝をつく。
立ち上がろうとするが―――立ち上がれない。
体にまったく力が入らなかった。
咄嗟にISを発動させようとするが、それもうまくいかない。
朦朧としながらうしろを振り向くと、蛇男がゆっくりと歩いてくるのが見える。
立ち上がろうとするが―――立ち上がれない。
体にまったく力が入らなかった。
咄嗟にISを発動させようとするが、それもうまくいかない。
朦朧としながらうしろを振り向くと、蛇男がゆっくりと歩いてくるのが見える。
―――あと、20メートル
「ふん、弱すぎる」
「あ、う……」
「あ、う……」
足に力を込めるが、なかなか力が入らない。
歩けるようになるには、あと数分は必要だった。
しかしそれでは遅い。遅すぎた。
歩けるようになるには、あと数分は必要だった。
しかしそれでは遅い。遅すぎた。
―――あと、10メートル
(ごめん、ノーヴェ。お姉ちゃんここまでみたいだ……)
あと数秒で破壊される。
朦朧とした頭でもそれだけは判った。
朦朧とした頭でもそれだけは判った。
―――あと、5
コロコロ……。
と、何かが蛇男の足元に転がってきた。
「ん?」
訝しげに蛇男がそれを見る。瞬間、それは大爆発を起こした。
「うおおおおああああ!?」
悲鳴をあげながら蛇男が吹っ飛んだ。
ずざあ、とセインの目の前に落ちると、体から煙をあげてそのままピクリとも動かなくなった。
思わず目をぱちくりさせる。
わけが、わからなかった。
ずざあ、とセインの目の前に落ちると、体から煙をあげてそのままピクリとも動かなくなった。
思わず目をぱちくりさせる。
わけが、わからなかった。
(あ、あれー?)
本当にわけがわからない事ばかりがおこる。
セインはあっけに取られてそれを見た。
蛇のうしろからむくりと立ち上がったその人影は。
セインはあっけに取られてそれを見た。
蛇のうしろからむくりと立ち上がったその人影は。
「か……カンタ?」
「う、うう……あ、あちこちが痛てえ」
「う、うう……あ、あちこちが痛てえ」
それは―――死んだ筈のカンタだった。
ボロボロの姿で、歯も数本抜けていたが、しっかりと立ってそこに居た。
ボロボロの姿で、歯も数本抜けていたが、しっかりと立ってそこに居た。
「……よう。生きてるか、セイン?」
そして元気にそんな事を言ってきた。
【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず 生存確認】
☆ ☆ ☆
ぽかんと大口を開けてセインが聞いてくる。
「カンタ、生きてたの!?」
「オレだって死んだかと思ったぜ……こいつのお陰で死ななかったみたいだな」
「オレだって死んだかと思ったぜ……こいつのお陰で死ななかったみたいだな」
背負ったワイヤーウインチを指差しながら言う。
実際、体は酷い状態だった。
ビームが丁度ワイヤーウィンチに当ったお陰で致命傷だけは避けられた。
それだけの話だった。
実際、体は酷い状態だった。
ビームが丁度ワイヤーウィンチに当ったお陰で致命傷だけは避けられた。
それだけの話だった。
「お陰で松波ウィンチが壊れちまったけどな……ううう。
もう松波さんいないから直せないっつーのに、この蛇野郎……」
もう松波さんいないから直せないっつーのに、この蛇野郎……」
蛇人間は倒れたまま動かない。
至近で手榴弾が炸裂すれば普通は死ぬ物だが、ロボット兵などの例もあり
灌太は用心深く手榴弾を掴んだままじっと様子を窺う。
至近で手榴弾が炸裂すれば普通は死ぬ物だが、ロボット兵などの例もあり
灌太は用心深く手榴弾を掴んだままじっと様子を窺う。
「おいセイン、離れてろ」
「あ、う、うん」
「あ、う、うん」
ふらふらとセインが蛇人間から離れる。
そのセインの動きにも、蛇人間は反応しない。
そのセインの動きにも、蛇人間は反応しない。
(死んだか?)
灌太はゆっくりと焦げている蛇人間に近寄る。
半歩ほどか。相手に反応が無いことを確認して更に前進する。
足でつついてみるが、それでもまったく反応しない。
そこでようやく灌太は息をつく。
半歩ほどか。相手に反応が無いことを確認して更に前進する。
足でつついてみるが、それでもまったく反応しない。
そこでようやく灌太は息をつく。
「死んだ、みたいだな」
ズカっとコンガリ焦げた蛇人間を蹴る。
流石にロボット兵ほど頑丈ではなかったという事だろう、そう思い構えていた手榴弾を下ろす。
だが、その瞬間を狙っていたのか―――突如、蛇人間が起き上がると同時にこちらの足を掴んできた。
流石にロボット兵ほど頑丈ではなかったという事だろう、そう思い構えていた手榴弾を下ろす。
だが、その瞬間を狙っていたのか―――突如、蛇人間が起き上がると同時にこちらの足を掴んできた。
「うおっ!?」
「今のは死ぬかと思ったぞ……」
「今のは死ぬかと思ったぞ……」
振り回されながら灌太は騙された事に歯噛みする。
それは死んだ振り、というかもはや擬態というレベルだった。
それは死んだ振り、というかもはや擬態というレベルだった。
「テメー、死んだフリが上手すぎるぞ! ……ぐえっ!」
「黙れ! 屑が、死ねえ!」
「黙れ! 屑が、死ねえ!」
唐突に手を離され地面を転がる。
蛇人間は灌太を離したその手を前につき出し、何かを撃ち出すような姿勢を取る。
蛇人間は灌太を離したその手を前につき出し、何かを撃ち出すような姿勢を取る。
「げ」
転がりながら手榴弾を投げようとして、思いとどまる。
間違いなく手榴弾が炸裂するより早く、光弾が飛んでくるだろう。
無駄な動作を止め、ただ避ける為にそのまま地面を転がる。
だが灌太の頬を嫌な汗が流れた。
どうもワンテンポ間に合わないような、ギリギリで避けられないような予感がした。
思わずセインのフォローを期待するが視線を向けると。
間違いなく手榴弾が炸裂するより早く、光弾が飛んでくるだろう。
無駄な動作を止め、ただ避ける為にそのまま地面を転がる。
だが灌太の頬を嫌な汗が流れた。
どうもワンテンポ間に合わないような、ギリギリで避けられないような予感がした。
思わずセインのフォローを期待するが視線を向けると。
(い、いない!? まさかもう逃げたのか!?)
絶望が灌太に覆いかぶさる。
そして、光弾が―――
そして、光弾が―――
「てぃ!」
飛んではこなかった。
唐突に―――本当に唐突に蛇人間の前に現れたセインが、光弾を放とうとする蛇人間の手を蹴りつける。
唐突に―――本当に唐突に蛇人間の前に現れたセインが、光弾を放とうとする蛇人間の手を蹴りつける。
「なっ!?」
灌太は衝撃に身をすくめる。
光弾は地面に当ったのか大量の土ぼこりが空を舞っていた。
ゆっくりと粉塵が晴れたそこには、ボロボロになったセインと地面に手を付いた蛇人間がいた。
光弾は地面に当ったのか大量の土ぼこりが空を舞っていた。
ゆっくりと粉塵が晴れたそこには、ボロボロになったセインと地面に手を付いた蛇人間がいた。
「ふふ……これも自爆っていうのかな―――」
「ううう、ぐうう、貴様!」
「ううう、ぐうう、貴様!」
セインの言葉を遮るように叫びと共に目からビームが放たれる。
ボロボロのセインにその攻撃を避けられ筈もなく直撃をくらい、悲鳴もなく吹き飛んでくるセイン。
蛇人間はそのままふらつきながら、かなりの速度で動き出す。
ボロボロのセインにその攻撃を避けられ筈もなく直撃をくらい、悲鳴もなく吹き飛んでくるセイン。
蛇人間はそのままふらつきながら、かなりの速度で動き出す。
「ここは引く。だがお前もいずれ、そいつと同じところへ送ってやる……必ずな!」
「ばーか、逃がすかよ!」
「ばーか、逃がすかよ!」
こんな厄介な相手を逃がしてやる気はない。
灌太はセインを片手で受け止め、もう一方の腕で手榴弾を投擲する。
―――だが蛇人間もそれを予測していたのか、目を光らせ迎撃してきた。
灌太はセインを片手で受け止め、もう一方の腕で手榴弾を投擲する。
―――だが蛇人間もそれを予測していたのか、目を光らせ迎撃してきた。
「アイビーム!」
手榴弾はビームをくらい、3人の中間で炸裂―――辺りに破壊の欠片を撒き散らす。
慌てて伏せてやりすごすがその合間を縫って蛇人間は川へと飛び込んだ。
慌てて伏せてやりすごすがその合間を縫って蛇人間は川へと飛び込んだ。
「ちっ、逃がしたか……っておい、セインだいじょ……!?」
「あ、カンタ……無事?」
「あ、カンタ……無事?」
セインを見て灌太は絶句する。
彼女の腹には……大穴が開いていた。
彼女の腹には……大穴が開いていた。
「お、お前……これ……」
「やー……言って……なったっけ」
「やー……言って……なったっけ」
しかもそこからは……火花を散らす機械が見えていた。
「ロボット、だったのか?」
「半分だけあたり……というか……さすがに、もう、ダメかも……悔しいなあ、ISの調子さえ……悪くなかったら……」
「ば、馬鹿野郎! おい、まだ死ぬな! 契約果たせないじゃねーか!」
「契約は……変更してよ……あたしのお陰で助かったんだし……ね?」
「おい待てって!」
「半分だけあたり……というか……さすがに、もう、ダメかも……悔しいなあ、ISの調子さえ……悪くなかったら……」
「ば、馬鹿野郎! おい、まだ死ぬな! 契約果たせないじゃねーか!」
「契約は……変更してよ……あたしのお陰で助かったんだし……ね?」
「おい待てって!」
だがセインはこちらを無視して、言葉を続けた。
最後の言葉を。
最後の言葉を。
「ノーヴェ……をさ、妹を……たす、けてあげ……て」
それを最後に……セインは動きを止めた。
灌太は突っ立っていた。
呆然と突っ立っていた。
呆然と突っ立っていた。
心地よかった朝の風はいつの間にか、止んでいた。
「へ……へへ」
知らず笑みが浮かぶ。
笑うつもりなどまったくなかったが自然とそうなった。
セインのディパックを拾い、顔だけは笑みを浮かべていたが……その内心は真逆。
目が、目だけがそれを如実に現していた。
すなわち―――
笑うつもりなどまったくなかったが自然とそうなった。
セインのディパックを拾い、顔だけは笑みを浮かべていたが……その内心は真逆。
目が、目だけがそれを如実に現していた。
すなわち―――
(あの蛇野郎だけは……絶対にぶっ殺してやる)
砂漠の妖怪は笑う。
あまりの怒りに。
あまりの哀さに。
あまりの怒りに。
あまりの哀さに。
禍々しく笑う。
【セイン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【残り38人】
【残り38人】
【H-02 川・川岸/一日目・朝】
【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず】
【状態】中ダメージ、激怒(ぶち切れ)
【持ち物】ワイヤーウィンチ(故障)@砂ぼうず、オカリナ@となりのトトロ、 手榴弾×1@現実
ディパック、基本セット、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書、ディパック、基本セット、不明支給品0~2(セインが見た限り強力な武器や防具は無い)
【思考】
0.オ、オレの女が……姉妹丼もパアに……あの蛇野郎だけは、ぜってーぶっ殺す!
1.何が何でも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。
2.西のルートを通って温泉経由で北の市街地に向かい、昼の十二時にホテルでガルルたちと落ち合う?
3.セインの妹(ノーヴェ)を探し、助ける?
4.関東大砂漠に帰る場合は、小泉太湖と川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も?
※セインから次元世界の事を聞きました
※H-02 川付近にセインの死体があります
【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず】
【状態】中ダメージ、激怒(ぶち切れ)
【持ち物】ワイヤーウィンチ(故障)@砂ぼうず、オカリナ@となりのトトロ、 手榴弾×1@現実
ディパック、基本セット、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書、ディパック、基本セット、不明支給品0~2(セインが見た限り強力な武器や防具は無い)
【思考】
0.オ、オレの女が……姉妹丼もパアに……あの蛇野郎だけは、ぜってーぶっ殺す!
1.何が何でも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。
2.西のルートを通って温泉経由で北の市街地に向かい、昼の十二時にホテルでガルルたちと落ち合う?
3.セインの妹(ノーヴェ)を探し、助ける?
4.関東大砂漠に帰る場合は、小泉太湖と川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も?
※セインから次元世界の事を聞きました
※H-02 川付近にセインの死体があります
【G-02 川・水中/一日目・朝】
【ナーガ@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【状態】大ダメージ
【持ち物】 デイパック、基本セット
【思考】
0.傷を癒す。癒し終わったら砂ぼうず(名前は知らない)を優先的に、殺す。
1.参加者を皆殺しにする(ホリィ、ゲンキたちの仲間を優先)
2.遊園地の男を襲撃する前に見た、飛んで行った影が気になる。
3.最終的には主催も気に食わないので殺す
※ホリィがガイア石を持ったまま参戦していると考えています
※キョン(名前は知らない)を殺したと思っています。
【ナーガ@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【状態】大ダメージ
【持ち物】 デイパック、基本セット
【思考】
0.傷を癒す。癒し終わったら砂ぼうず(名前は知らない)を優先的に、殺す。
1.参加者を皆殺しにする(ホリィ、ゲンキたちの仲間を優先)
2.遊園地の男を襲撃する前に見た、飛んで行った影が気になる。
3.最終的には主催も気に食わないので殺す
※ホリィがガイア石を持ったまま参戦していると考えています
※キョン(名前は知らない)を殺したと思っています。
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ぼうず戦線異状なし | 水野灌太(砂ぼうず) | K.S.K.~切れ者?セクハラ?危険人物?~ |
セイン | GAME OVER | |
迫り来る闇の声 | ナーガ | 蛇男症候群 |