AI共同ノベル「パーティを追放された毒魔法使い」

異世界、剣と魔法のファンタジーの世界
数年前に魔王が現れ、勇者が選ばれ討伐に向かう。

様々な仲間を連れ、少しづつ魔王城に向けて前進していたのだが………


「オーリス、君にはこのパーティを抜けてもらう」

「な、何故………!?ちゃんと勇者や皆には貢献してるじゃないか」

「……お前が『毒魔法使い』だからだ」「そんな理由で!?」
「今までは我慢していたが、もう限界なんだ。正直、君を見ているだけで吐き気がする」
「お、俺だって、好きでこんな力を持って生まれた訳じゃない!ていうか何が悪いんだよ毒魔法使いの!」

「そりゃできることは毒魔法!相手をちょっと弱らせたりするぐらいで攻撃魔法は一切使えない!」
「それでもいい、充分に役に立ってるって言ってたじゃないか!」
「それだよ!! それが許せるのは最初の間だけ、どんどんモンスターは強くなるばかりだ!毒を使うやつより戦えるやつの方が大事になる!」

……『毒魔法使い』
その場の魔力をモンスターにとって有害な成分に変えて弱らせる事からそう名付けられた。
最も、死に至らせる事は出来ないが……

「…………だったら仲間を増やせばいいだろ!今まで毒があったからなんとかなっただろ、俺がいなくなったら」

「ああ、それだったら……」
リーダーである勇者が指差す先には…………
「うふふふふ、あら」

花弁が人の形をしたような優美な女性がいた。

「彼女は新しく入れたアギーラ、『花魔法使い』だ」

「花魔法使い……聞いたことがないが、花でも咲かせるのか?」

「花魔法使いは攻撃と毒、両方が出来る」

「!?」

そんな馬鹿な、毒魔法使い以外に毒を作れるものが居るわけがない
確かに植物にも毒はあるが、モンスターを苦しめるほどの効果があるものは存在していない

「……一体、彼女は何ができるんだ?」

「花魔法使いは、その名の通り花の力を使える」
「例えば、そこにある花を見てみろ」
その言葉と共に、勇者の隣にあった一本の花が見る間に枯れていく。
「なっ!!」
「これが彼女の毒の力……いや、生命を奪い取る力と言っていいだろうか」

「生命を奪う………俺には出来ない事だ」

「これで分かっただろう、毒魔法使いというものの立場が」

………ここまでのことを見てしまえば、何も言えない
かくしてオーリスは言われるがままにパーティから外されてしまったのだった。「くそぉおおお!!! なんでこうなるんだよおおおおおおお!! 俺はただみんなと一緒に居たかっただけなのにぃぃぃぃいいい!!」
…………それから数年後、彼は未だに1人で活動していた

「花魔法使い」が現れてからというものの毒魔法使いの立場は一気に落ち、勇者以外のパーティからも断られ続ける毎日だった
更に毒魔法使いは敵を仕留めきれる程の力が無いため収入もろくに得られず、苦しい生活が続くばかりであった


「何故毒魔法使いというだけでここまで冷遇されなければならないんだ……」

オーリスは考え、思いついた

毒魔法使いが冷遇されて相手にされないなら、全員毒魔法使いでパーティを組めばいいのだ。
自分と同じ、酷い扱いを受けた者達で。「……よし、決めたぞ!」
こうして、オーリスは『毒使いの集い』を結成する事になった。


早速オーリスは全財産をはたいてギルドに募集用紙の枠を開けてもらった。

『毒魔法使い求む!年齢性別キャリア問わず』
『塵も積もれば山となる 毒も集えば猛毒になる』


……

数日後、オーリスの元に数多くの毒魔法使いが集まった

「案外いるもんだな………」
しかし集まったのは男ばかりで、女は誰もいない。
「まあしょうがないよな、男しかなれないし」

「じゃあ……皆、よく聞いてくれ、確かに毒魔法使い1人で出来ることは他と比べ遅れている、なら毒魔法使いが10人集まれば?」

「これだけの毒があれば、俺達だって活躍出来るはずだ!」

かくして「毒使いの集い」は結集されたのだった。
まず最初にスライムに挑んだ、雑魚中の雑魚だがオーリスでも1人では倒せなかったモンスターだ

成功だ、毒魔法を一斉に唱えたら溶けて死んでいった

次に思い切ってドラゴンも狙った、勇者でも倒せるか怪しかった奴だ。
ドラゴンは泉の水を飲んでいた、仲間がそこに毒を放った

「待てっ……それはまずいんじゃ……」

オーリスが止めるまもなく泉は死の水となり、ドラゴンは血を吐き、泳いでいた魚達が次々と浮かんでいった

毒魔法使い達全員のレベルアップの音が鳴り響いた。
「やったぜ! これで俺達はもっと強くなった!」
「ああ、そうだな! でもドラゴンの血を飲んだが大丈夫なのか?」
「いや、もう死んでいる、早く次の場所へ行こう!」
「次はどこへ行く?」
「…………実は、ここに来る前にある情報を掴んだんだ」


「オーリス様を追い出したあの勇者が、四天王ベゼルグの居所を突き止めたとか………」

毒使いの集いのメンバーには、ベゼルグの居る集落への近道を知っていた者がいた。
そうしてオーリスは勇者より先にベゼルグが見える範囲まで辿り着いたのだが……

オーリスは警戒しながら隠れて言う
「慎重に動け、相手は四天王……『大嵐のベゼルグ』だ、今は様子を見よう」「おい、あれ見ろ! ベゼルグが誰かと喋ってるぞ!」
「何!?誰だ!!」

「あの花弁のような服は……花魔法使いです!」
それを見てオーリスははっとなった。

見間違えるはずがない、あの服、あの顔は………

「アギーラ………!!」

自分が抜けて新しく勇者パーティに加わっていたアギーラだった。

オーリスは耳を済ませると、ベゼルグの話の内容が分かってきた

「………本気で言っているのか?」

「はい、勇者ピルルクの御言葉です……勇者は貴方達魔王軍に降伏します」

「…………本当なら嬉しい話だが、そんな事を許すわけにはいかない」
「…………そうですか、なら、私達が今から勇者として名乗りを上げます」
「………………」
ベゼルグは何も言わずに、その場を去って行った。
そして残されたアギーラは、こちらに向けて言った


「笑い飛ばしに来ましたか?毒魔法使い」

「!」

「気付いていたのか……」

オーリスはベゼルグが近くにいないことを確認し、アギーラに近づく

「………アギーラ、その、勇者が魔王軍に降伏するってどういう事なんだ?」

「俺がいない間に勇者達に何があったんだ!?」

アギーラは一瞬考えた後、こう答えた

「私達2日前、ベゼルグに挑んで………勇者と私以外が死にました」
「!!」

オーリスは絶句した、まさかあの勇者パーティが全滅していたとは…………

「…………それで、勇者は?」

「今は眠っていますが、戦える状況ではありません」

………勇者の完全敗北、オーリスでなくても信じ難い状況であった。
愚かにも、自分達が不意打ちしようとした相手はそんな恐ろしい相手だったのだ。
毒使いの集いは震えが止まらず、恐怖のあまり口に出した言葉は

 「………ベゼルグは、どうやって勇者様達を倒したんですか?」




「………デステンペスト」

「風に煽られただけで体のあちこちが使い物にならなくなりました」

オーリスは気付いた

『デステンペント』
風の中に毒を撒いてばら撒く最強の毒魔法
敵味方構わず苦しめ、風が毒を運んで街丸ごと侵す事も出来る
あまりにも危険すぎて封印されたのだが………

「ベゼルグは……貴方達と同じ『毒魔法使い』です」

なんて皮肉な結果だろう
毒魔法使いは役立たずと追い出した勇者が、最強の毒魔法に敗れ去るとは

「そんな奴に……どう勝てばいいんだ………」オーリスは絶望し、その場に崩れ落ちた。
「そういう事で、人間は完全降伏すると宣言してこいと」

そこで1つオーリスに疑問が出来た
何故彼女は無事なのだろうか
デステンペストの規模は見たことないので知らないが、勇者が再起不能となり仲間達が死に絶えたというのに、彼女は傷1つなく我々と話している

「お前………無事なのか?」

「今のところは、と言った所でしょうか………極僅かですがベゼルグの生命を奪うことは出来ましたので」

「いつまで持つか分かりませんが……」


毒使いの集いは……とんでもない事を聞いてしまった。
最早魔王たちによって人間は滅び、全ては支配されてしまうのか………?

「いや、まだだ」

オーリスは………賭けに出た、このまま何も出来ず死んでしまうよりは………


「ベゼルグを……倒す」

「そんな無茶ですオーリス様!!我々じゃ勝ち目も………」


「いや、ある!!」

オーリスが思い付いたベゼルグを倒すための最後の手段、それは………


「俺達も………デステンペストを覚える!!」
「…………え?」
「俺達の毒魔法が奴の風の中でどこまで通用するか分からないけど…………」
「この数でデステンペストを放てば、四天王相手でも跳ね返せるかもしれない!!」


それを聞いてアギーラは冷たく答える
「なるほど………とんでもない賭けに出ましたね」

「もし失敗したら、貴方達の分のデステンペストも風に流れて全域に渡り魔王軍が来る前に何もかも死んでしまいます」


「それでも、やりますか?」

毒使いの集い達の答えは既に決まっていた。

「やるさ、元々俺達は嫌われ者の集まりだ……その程度で世界が救われるならどうってことない!」

「そうは言ってもどうやってデステンペストを覚えるんですか!?」

「小さい頃、デステンペストの使い方を教えてもらったことがある………」

「それを覚えれば……ベゼルグに勝てるはずだ…………!!」
メンバーの中には子供の頃、遊び感覚でデステンペストの練習をしていた事がある者が居たという
それが今、ここで活きてくるとは誰もが思わなかっただろう

………あれから3日が経った


ベゼルグはオーリス達の前に立つ

「お前は……魔王様から勇者の仲間と聞いたことがあるな、奴らの敵討ちか?」

「いや……同じ毒魔法使いとしてお前のような奴は見過ごせないと思ったまでだ」

「そうか、お前も毒魔法を使うのか……面白い、見せてみろ」

「皆行くぞ!!」

オーリス達は気を集中させ、風を集めていく

「その構えは………相手をしてやろう」

ベゼルグもまた同じやり方で気を集中させ、風を集めていく


「これで終わりだベゼルグ!! 」

「まとめて塵になるがいい!!」


「デステンペスト!!!」

両方向から猛毒の風がぶつかりあう!!オーリス達にとっては最後の希望を込めた一撃であった だが…………
「…………」
結果は、予想通りだった。


「そ、相殺………………!!」

デステンペストは、お互いの風力が威力を弱めていき………どちらも勢いを失って散ってしまった。

「なるほど、俺のデステンペストをかき消すとは大した力だが………もはやこれまで」



オーリス達は嫌な予感がした、そしてそれは直ぐに的中する事になる



「ま、まずい………あいつ!!デステンペストをもう一度撃つつもりだ!!」

1発飛ばしただけで毒使いの集い全員の魔力が枯渇する威力だというのに、ベゼルグはそれをまた飛ばそうとしている………
「まさか…………」
「そうだ、俺は2度同じ技は喰らわんよ」
「例え、俺の得意な技であったとしたもな!!」

「くらえっ!!デステンペスト落とし!!!」



ベゼルグは力強く飛び上がり、溜め込んだデステンペストを真下に叩き込んだ!!


「う、上から風が飛んでくる………!?これじゃ避けようが…………」

風は下に向かって吹いている!俺達には当たらない!!」
「俺のデステンペストが風に乗っているだと…………?どういう事だ、何故こんな事が…………」
オーリスは……気付いた。
「あ、あの野郎…………『狙って』風に乗せて落したな!?」


「俺たちがさっきぶつけ合った、デステンペストの残りカスに!!」

死の風はお互いに威力が弱ったのみで毒は消えてはいない
そこにベゼルグが風を叩き込んだことで………


「ベゼルグの風の勢いが戻った!!」「く、くそぉ!!もうダメだぁ…………」
「お、おいしっかりしろ!!」
「わ、分かってるけど…………」
「無理だよ、あんな風にされてなんとか出来るのか!?」


毒使いの集い達はもう諦めそうになっていた

だがオーリスは諦める訳にはいかなかった、もしここで死んだら、本当に人間は魔王軍に負けてしまう……


「デステンペストだ………」
「え?」

「残った魔力を振り絞って!!もう一度俺達もデステンペストを放つぞ!!」


「威力はさっきより遥かに弱くなるが、もうこれしかない!!」オーリスは残りの魔力を全て振り絞り、デステンペストを放った
「無駄だ!何度やっても同じ事!!」

「こいつを………」



「こうする!!」


オーリスは回るようにして魔法を放つと、僅かな風は回転して竜巻を生み出す
竜巻はベゼルグの作った風も巻き込んで大きく強くなっていき、飛び上がっていたベゼルグも巻き込む!!


「グワアアアアアアア!!!だ、だがこのレベルの毒を浴びればお前たちもただでは済まないはずだ!!」


「昔どっかで見たんだ………竜巻の真ん中には風が通らない、だから魔法を唱えた俺のところには毒が回らない!!」


「ま、まさか俺が毒と風で人間に先を行かれるとは…………見事な毒魔法使いだ、ぐ、ぐわああああああああ!!」ベゼルグは、そのまま地面に叩き付けられる
「やった…………やったぞ!」
「さすがオーリスさん!!」


「はぁ………はぁ………終わった………」


あれから1週間も経った
毒魔法の集いも、そこそこ仕事が出来るようになってきた


「聞いてくださいよオーリスさん!!我々が倒した四天王ベゼルグの件、勇者が倒したことになってるんですよ」
「実際の勇者達は何も出来ずに負けて降伏まで考えてたっていうのに………」

「まあいいじゃないか 」

当のオーリスは気にせず答える
「毒魔法使いの立場は、ある程度マシになったじゃないか」
「そうですけど…………でも、もっと上に行きたいですよね~」
「まあな…………ま、またアイツがヘマこいたらこっそり助けに行くか」

「もうデステンペスト連発は勘弁ですけどな」

「それはそうだ!はははは 」


毒魔法使い達は今日もひっそり活動する

自分たちでも集まって頑張れば何にでも勝てる、そう思えただけでもオーリスは満足だった

おしまい。
最終更新:2021年10月24日 12:41