「第1話」
『能力者達。』
そして、彩月は
名無シ超人学園へと足を運ぶ。
彩月はしっかりしてるので、1人でも向かうことが出来た。
彩月
「ここか………思ったよりでかい。」
彩月
(パンフレットによると私みたいな異能力者が山ほどいる学校って書いてあるけど……一体どんなものなんだろう。)
彩月
「ま、招待されたからにはしっかりと合わせていかないとね。」
彩月はパンフレットを仕舞い、学園の中へと入っていく。
…………
彩月
「えーとまず寮の自分の部屋で荷物を出す………と、いやどこ?」
彩月
「部屋が多すぎて訳分からん………しかもさくら組って幼稚園か何か?」
…………
彩月はなんとか『さくら組寮』を見つけて、自分の部屋に入っていった。
彩月
「ここが私の部屋……ベッドに申し分程度のスペース……しかも共用………」
彩月
「まぁ贅沢は言ってられないよね………中身はなんとかなるしさっさと仕舞お………」
「あ、あの…………」
彩月
「ん?」
隣のベッドから声がしたかと思えば、隙間から水色のゲル状の物体が現れる。
彩月
「…………ッ!!」バチバチバチ
「あ、あ、あの……私、このさくら組で、貴方と同じ部屋の
粒先しずくと言って、あの………」
「とりあえずその電撃はやめて………怖いから………」
彩月
「ごめん真剣に敵かと思った」
しずくと名乗ったゲル状の物体は人型に形を整えて、やがて人間のように変わった……いや、戻ったのだろう。
彩月
「それ、能力は……ゲル化?軟体化?」
しずく
「【スライム化】って言って欲しいな………その、えと、大したものじゃないけど……」
しずく
「そっかぁ、新しく転校してきたって聞いたけど女の子で年下なんだね………」
彩月
「貴方は中学生くらい?」
しずく
「うん、中学一年生くらい……」
彩月
「そう、私は小学四年生ぐらい。」
しずく
「あ………えと、よろしく………そろそろ授業始まるから、1時間目までに………」
彩月
「分かった、教室把握してすぐに向かう。」
しずく
「あ………あ、ちょっと待って!!」
彩月
「ええ?」
………
彩月
「さくら組の小等部クラスは問題だらけ?」
しずく
「うん、その………性格とか、能力とか、とにかく色んな理由で危険な人達が多くて手を焼いているの……」
しずく
「なんというか、私も怖くてあまり近付きたくないような………」
彩月
(ふーん………何かと思えば問題児共のクラスが空いたから、穴埋めとして私が選ばれたってわけね。)
彩月
(なんだ、期待されてるのかと思ったら単なる生贄扱い?)
彩月
「ありがと教えてくれて。」
しずく
「あ、あの……だからあまり目立たない方が………」
彩月
「分かった、一応気をつけておく。」
………
彩月は授業が始まる前に急いで教室に向かっていった
彩月
「ああもう設備が多い!!映画館にプールに音楽室にどれもこれも広い!!」
そして、さくら組小等部の教室を見つけ、引き戸を開けようとするが……即座に思い止まる。
彩月
(あの人…粒先しずくが言うには、このクラスにいるのは相当なジャジャ馬共。)
彩月
(軽くこの扉を開けたら、猛攻撃が襲いかかってもおかしくはない………念の為……)
彩月は先程しずくに放とうとしていた稲妻を再度溜め込む。
彩月
「私の新生活………開幕っ!」
彩月
「おはようございm……」
と、その時彩月の目の前に槍が飛んで……
彩月
「プラズマ!!!」
それを木っ端微塵に消し飛ばす。
彩月
「………槍、能力としてはまた珍しいタイプだね。」
ざわ………ざわ………
彩月
「あっ、自己紹介遅れました。」
彩月
「『別世界』からやってきた
桜井彩月です、今までは普通の学校で過ごしてましたがこうしてこの名無シ超人学園へと誘われました。」
彩月
「こうして私以外の能力者と沢山会えて凄く嬉しいです、お願いします……」
(こ………こいつ………!!)
(言葉に感情こもってねぇ………!!)
彩月
「席は?」
教師
「あ、ああ………あの奥の方だが………」
彩月
「問題ありません、私視力いいので。」
彩月
「じゃ、授業始めてください。」
教師
「あの、能力の説明は?」
彩月
「ハッキングとその他諸々、どこの異能バトルにおちおちと能力明かすバカが居るんですか」
「結構当てはまるよ!!」
そして授業が終わり………
彩月
(能力者が居るってだけで授業は普通なんだ………なんか拍子抜けだな。)
「ねぇお前」
彩月
「ん?」
放課後、彩月の周りには人が溜まっていた。
彩月
「何?転校してきた能力者がそんなに珍しい?」
「アンタ、転校してきて早々私たちに対する態度ってものを分かってないんじゃないの?」
彩月
「分かってないのはどっち?こちとらレベル低い組に入れられてちょっと萎えてるのよ。」
彩月
「世界の為になる能力者を送り出す?明けて早々ガラクタ投げてくる奴からヒーローが生まれるとでも?」
「………てめぇ!いい加減さくら組舐めてると………」
彩月
「カッター」
彩月は一斉に全員の首筋にカッターナイフを投げ飛ばす
彩月
「さくら組舐めてると何って?お山の大将。」
彩月
「その能力が大したことないって言ってるの。」
「な、こいつ………」
彩月
「私ここの勉強について行く必要あるんで、構わないでくれます?」
………
そしてその夜………
彩月
「あー……あんなのがクラスメートとか嫌だ
。」
しずく
「え、あ、あの………大丈夫?何もされてない?」
彩月
「手厚い歓迎なら受けたよ、能力には能力で返すけど多分明日から地獄かも。」
しずく
「えっえっえっえっ!!?大丈夫なの!?」
彩月
「大丈夫だよ、向こうの学校でもイジメや差別なんてあったし……能力で攻撃されたりした時点で怖気付いていない。」
彩月
「中等部クラスは大丈夫なの?」
しずく
「え?まぁ………私のところは………今のところは………」
彩月
「ふーん………」
………
その翌朝、彩月の運動靴が片方消えていた。
案の定ゴミ箱を探ったらあった。
彩月
「ムカつくからエスパーで全員の運動靴ゴミ箱に入れてやろ」
………
朝、寮で料理を運んでたらお盆をひっくり返された
彩月
「あームカつく、やる事がしょうもないことにムカつく。」
彩月
「レーザーでアイツの椅子切り落としてやる」ビュンッ
「ぎゃああああああ!!」
しずく
(さ……さくら組の誰よりこの子がいちばん怖い………)
………
しずく
「あ、あ、あ、貴方一体何なの?」
彩月
「私……私はなんというか、正義のヒーローを間近で見続けて生きてきた存在。」
彩月
「………ここよりもめんどくさい奴も居たよ。」
しずく
「一体どんな所から来たの………?」
………
そして教室に入ると、机の中に紙がびっしりと詰め込まれていた。
彩月
「………うわなんか入ってる、全部燃やしてやりたい………」
ジーッ
彩月
「…………はいはい読めばいいのね」
………
そして、彩月は授業が終わったあとに校舎裏に行くと、さくら組全員が集まっていた。
彩月
「あのさ、私は別に果たし状とか別に構わないんだけど同じ日に全員で詰め込むのは何なの?」
「転校生風情にこのクラスで本当の能力者の立場ってものを思い知らせてやりたくてね………!!」
彩月
「それがよってたかっていたいけな女の子を全員で殴りかかること?」
彩月
「どうせ貴方達、よそのクラスに勝てないから適当に弱いやつ見つけて憂さ晴らししてるんでしょ?馬鹿みたい。」
彩月
「私は能力者がどうとかヒーローがどうとかは興味が無い、ただ学校生活をエンジョイしたいだけ!」
彩月
「それを邪魔するなら……そろそろ本気で許せなくなるよ。」
「うるせぇ!!やっちまえ!!」
彩月
「……ふーーん、それが答えなんだ。」
彩月
「じゃあ本当にやるよ。」
その瞬間、彩月の体が光り輝く!!
彩月
「全員で行けば潰せると思った?逆だよ………『沢山来たのが間違い』だった。」
彩月
「全部まとめて吹き飛ばせば片付く!!………【クラッシュ】!!!」
…………
ドゴォォォォォン!!
しずく
「ひっ!!?」
外で大きな爆発が起こり、しずくは驚いてベッドの隙間に隠れてしまう。
しずく
「ほ、ほ、本当に何が起きてるの………もうやだぁ………怖いよぉ………」
………
「なんの騒ぎだ!!」
爆発を聞き付け、他のクラスの生徒たちが集まると、そこには………
「あ……ぁぁ………」
彩月
「ああ、ご心配なく………今終わったところですので。」
服についた埃をはらう彩月と、大きな爆発跡に埋まるボロボロになった、さくら組の………
…………
彩月
「私がここに来た理由ですか?わざわざこんなモノ用意したくせに?」
彩月
「え?知らない?そもそもこんなもの作ってない?」
彩月
「ああ、やっぱり………そっちの学校で招待したわけじゃなかったのか………チッ」
彩月
「ああいえ、こちらの話です…………となると、私は仕事で転入させられたことになります。」
彩月
「この学校、能力者を世界で活躍できるように教育して社会に貢献とかパンフレットにもあるんですけど………」
彩月
「ここから来た能力者クソほど役に立ってません、弱すぎます。同じ能力使いでもっと強いひと沢山います」
彩月
「会社で言えばFランとかそのレベルじゃありませんよ、中卒ですよ中卒、中卒能力者ですよ。」
彩月
「……それを多分、私の知り合いのアホ神が勝手に転校届出して、私をここに送り込んだわけです。」
彩月
「………一応今日は普通に学校生活したくて、突っかかってきたから能力で止めただけなんですよ、明日からはそうは行きません。」
彩月
「………ここまで滅茶苦茶やってしまった責任も兼ねて。」
彩月
「私がこの学園全ての能力者を時空でも通用出来るスペックまで育成します。」
………と、彩月は校長とかが喋る席で朝礼のように答えた。
「ふざけんなーー!!」「なんでぽっと出の子供に教育されなきゃならんのじゃー!!」「俺たちなめてんじゃねーぞ!!」
しずく
「さ、彩月ちゃん………」
彩月
「……………」スゥー
彩月
「だまれ!!!!」
彩月
「実際よくこれで社会に貢献なんて言えたね!?実戦経験無し!必殺技なし!アピールポイント無し!!汎用能力者の集まりか!?」
彩月
「私ですら星のカービィの真似事とはいえ個性作りはしているんだ!!」
彩月
「そんなに認めなくないなら現実を見せてあげるよ!ほれ!!」
彩月はパソコンを操作して、ひとつの映像を見せる
しずく
「ひっ!!?」
彩月
「昨日、仕事に駆り出されたここの卒業生の初仕事の末路です。」
彩月
「それだけじゃない!これも!これもこれもこれも!!ここの卒業生だった死体の数々!!どれも初仕事でこうなったんだ!!」
彩月
「………都合のいい画像なんか用意してないよ、なんなら………」
彩月
「ネットでここの卒業生探してみたら?」
しずく
「あ、あわわわわわ…………」
………
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名無シ超人学園。
それは能力者としてはイマイチパッとしない者達を適当に放り込んで、時空に出して暫くしたら死んでるような、何とも大したことない能力者達の世界。
1度も外に出たことがない金魚はサメの恐ろしさを知らない。
これは………そんな仮初の平穏を築いていた金魚たちの水槽に容赦なくサメがぶち込まれてきたような、
そしてサメが金魚を、怪物へと変貌させるお話
最終更新:2022年02月08日 22:38