犯人ダ・レ・ダ!

「第4話」
『犯人ダ・レ・ダ!』

…………

彩月「うお……」

しずく「彩月ちゃん………」

2人が目を覚ますと、名無シ超人学園の設備が何かしら消えていた。

彩月「……なにこれ?」

しずく「新しく来た教員さんが、こんなに設備とかあっても無駄だからってコストカットされて……」

彩月「何もそこまでしなくてもなぁ………そんなもんに金使う余裕あるならレベルアップさせろってわけね……」

しずく「………」

彩月「なんかゴメン、私一人で何とかする問題じゃなくなって来て」

しずく「いいよ……彩月ちゃんも好きでこの学校に来たわけじゃないしね……」

彩月「……ま、ちゃんと皆が成長しているだけまだいいんだけどさ、行ってくるー」

しずく「いってらっしゃーい?」


しずく「………はぁ、私ももっと頑張れたらなぁ………」

…………


彩月がさくら組小等部に入ると、何やら大騒ぎになっていた。

彩月「何?もうこれ以上事件とかそういうのに関わりたくないんだけど………」

「なんか縦笛がなくなったんだって」

彩月「たてぶえ?リコーダーとかじゃなくて未だにそんなんなんだ、この学校………」

「フフフッ!わかりました!」

彩月「ん?」

騒ぎの中心にいたのは、眼鏡をかけた少女……

彩月(あれは……確かクラスメイトにも居たぐるぐるメガネの……社六イルさん?)

彩月(そういえばデータにも能力名は『推理』とかあったな……えーと……)


彩月(ん?)

イル「この事件の犯人………それはつまり。」


イル「貴方です!桜井彩月さん!」

彩月「あ、はい違います。」


………

彩月「ねぇ、推理の能力者さん………1体どうしてこんなアホな結果になるわけ?」

彩月「大体私、前の学校のリコーダー使い回してるし縦笛ペロペロする変態じゃないんですけど。」

彩月「というかトリックは?動機は?私の能力はそういうセコいことするには規模がでかすぎるんだよ?」

彩月「ねぇ分かってる?貴方の能力、推理って事にしてるけど実際は『事件の犯人をでっち上げる』能力なのは把握してんの、それ冤罪って言うんだよ?」

「もうやめてやれ桜井彩月!!イルちゃん泣き始めちゃったぞ!!」

彩月「仕方ないじゃんそういう能力なんだから。」

彩月「ご丁寧にこの掲示板に起きた事件のこと書いてあるけど、全部唐突すぎんの」

彩月「毛利小五郎だってもうちょっと考えて言うよ」

イル「じゃ、じゃあ……この過去1週間で私が解決した200の事件全部何とかできる?」

彩月「まず1週間で200も事件起きるここの治安の悪さから直さない?」

彩月「まぁ言いたい放題なのは私も感じてたし、それくらいはやっとかないとね。」

イル「ちょっと私もついて行く………」

………

1本目
〜給食行方不明事件〜

イル「昨日、あじさい組でメインのからあげがクラス丸ごと行方不明になった事件が起きていたの。」

彩月「あなたは犯人を誰だと?」

イル「えーと、『ブラックホール』の能力者が怪しいと思って……」

彩月「怪しいだけで犯人にするんか!!?」

イル「ひいいっ」

彩月「………まぁそういう能力だし大目に見るとして、32人分の唐揚げを1人で全部食べられそうな人はいないね。」

彩月「………それでその唐揚げって行方不明のまま?」

イル「う、うん……」

彩月「………昨日ならワンチャンいけるか。」

彩月「時空で知り合いが開発した人体時間逆行装置〜」

彩月「これを使えばその人の体のみを過去に遡らせます」カチ

彩月「………た、ただしその時食べてたものとかも逆流するから直前の朝ご飯晩御飯まで………」

彩月「ヴェァ!! 」ゲロゲロ

イル「何新しい事件作ってるnおろろろろろろ!!!」

「ちょ………やば………待って、俺晩御飯に………」

「シュールストレミング食べてて………」

彩月「化学兵器を晩御飯に食べるな!!ヴぇっ!!」

「や、やめて!!頑張って耐えて!!」

「お、俺だよ!!唐揚げ取ったのは本当は俺だから!!シュールストレミングはやめてえええええ!!」

彩月「ほ、ほら解決したし………」

イル「二度とその装置使おうとか思わないで……」


…………

彩月「……う、うええ……これ作ったあのバカ神の知り合いにクレーム入れてやる」

イル「まさかずっとこんな調子?」

彩月「いや、これはこの装置が悪かっただけ!」

………

〜スクール水着当難事件〜

彩月「ポイズン、今からスク水好きの変態のみ殺す毒をあちこちに散布します」バッ!!

「うっ、ゲホッ……私がやりました」

彩月「ご苦労、逮捕状とワクチンだ」


〜売店アンチ事件〜

彩月「あのね、私じゃなくてもネットに強ければこれくらい出来るんだよ?」

彩月「匿名でもちょっとネットワークを駆使すれば特定なんて簡単なんだから……ましてや、この閉鎖された空間じゃね?」

イル「あの、その電撃は?」

彩月「怖がらせ♡」

〜体育館爆発未遂事件〜

彩月「マジで粉塵爆発とか考える人いたんだ、手から小麦粉出せる人素直に手を挙げなさい。」

イル「嘘!?粉にしてもまだ残ってたんだ!?」

彩月「この学校掃除とか大雑把だからねー」

〜宝くじ偽装事件〜

彩月「神葉先輩お願いします」

ミツキ「今後宝くじ、博打などの賭け事は禁止とする、これは風紀委員全員による決定だ。」

彩月「恨むなら真犯人を恨んでください」

………

彩月「後は監視カメラの映像を写真にして掲示板に貼ればよし」

イル「解決はしてるけどどんどん治安が悪化していない?」

彩月「元々落ちてる治安だからセーフセーフ」

ミツキ「桜井彩月………そろそろ斬るぞ………」

…………

〜漆黒の戦士晒し上げ事件〜

彩月「全員のサイトをハックして痛い日記や設定を全部コピー、そしてそれを全部貼り付け」

彩月「これで全員痛み分けで全員が被害者、解決したね」

イル「冤罪にするより酷いんだけど!?」

…………

イル「あ……貴方どっちにせよ酷いじゃない!」

彩月「仕方ないじゃない、トリックとか証拠とか探したり考えるの面倒臭いんだから。」

彩月「こういうのは悪手や暴力で心を抉って、とんでもないことをやらかしたという実感を持たせないとってある人から学んだんだ」

イル「よくわかんないけどその人がとてつもなくヤバいことは伝わった………」

………

イル「はぁ………事件解決はいいけど、私どうすればいいんだろう………」

イル「あなたが言うには、私の能力って冤罪を産むんでしょ?」

彩月「………何も考えず使っていたらね。」

イル「え?」

彩月「貴方の能力の本質は推理することじゃない、『命令する』事なの。」

彩月「貴方が指示すればその相手は絶対に逆らえない。」

彩月「貴方が何の根拠もなく犯人だ、と言ってしまえば相手は能力で言い返すことも逆らうことも無く認めてしまうって能力なの。」

イル「それって……まるで独裁者じゃない!?」

彩月「言い方を変えるとそうかもね、結構強い能力じゃない?」

イル「……………」


イル「私この能力使いこなせる気がしない」

イル「探偵みたいな事出来て凄い!と思ってたあの頃に戻りたい」

彩月「それはダメ、冤罪を産むだけだし後始末めんどいから」

彩月「とりあえず風紀委員目指したら?神葉先輩みたいに力とか知恵なくても学校をコントロール出来るよ?」

彩月「というか教員達が出ていく前に貴方に会いたかった」

イル「そ、そんなに………!?そんな凄いこと出来るのかな、私。」

彩月「よし、じゃああの下に色々いるでしょ、何かしら命令させてご覧よ」

イル「こんな遠くから!?」

彩月「できるできる」

イル「本当に?」

彩月「ほんとほんと。」

イル(そうは言っても誰にするべきか………命令と言っても迷惑はかけたくないし……)

イル「あっ!あんな所にカップルがいる!よし!あの二人!キスしなさい!」

彩月「あっ、ちょっ待っ!!それはまずい!!」

イル「え、どうしたの?」


彩月「その2人組!女の方は性転換能力を持ってるの!」

イル「え、それってつまりどういう__」

彩月「どういうも何も2人はおとk っというか拗れ」


チュウウウウッ

彩月「あっ」

イル「」

彩月「オエエエエエエ!!!」


……
彩月「あーーー!!気持ち悪!!気持ち悪!!何がBLじゃ!男同士でイチャついたところで最悪なだけじゃない!!」

彩月「今のは災難だった、運が悪かっただけだからもう1回………」

イル「………」

イル「もう1回他の人で出来ないかな?」

彩月「イル?」

イル「あ、そこの人達」


イル「今から男の人とぬっちゃりとした分厚いキスをして、その上で抱き合ってくれませんか?」

彩月「イルさん!!?」

それからと言うものの………

イル「私の推理が聞けないのですか?」

「い、いやいくらなんでもそれは……」

イル「間違いありません!尸さんはホモなです!中等部の可愛い男子を見つけてはつまみ食いしてあわよくばガン掘りメス堕ちさせてるんですよ!」

彩月(どこの誰か知らないけど尸先輩災難だなぁ)

彩月「……………………」



彩月「なんで???」

彩月「いや独裁者になられるよりはいいけど」

彩月「なんで探偵ごっこが腐女子になっちゃったの????」

イル「彩月ちゃん失礼なこと言わないで!」

イル「女の子同士もOKだと思うわ!」

彩月「オーケー二度と私に近づくな、私はノンケだ。」

イル「あの人とキ……」

彩月「アイス!!」

イル「むーっ!?」

彩月「下手に独裁者になるよりはヤバいね貴方!」

彩月「しばらくそうやって自重してろ!本でも描いてろ!」

イル「むー!!」

…………

ミツキ「何?襲われそうになったら?無論自己責任だ、特にお前の場合はな。」

彩月「ですよねー、じゃあ正当防衛って通用する?」

ミツキ「お前の能力で正当が通用するならな。」

彩月「………うちのクラスに1人驚異が生まれてしまった。」

ミツキ「天敵か、最強の能力者とは思えない狼狽えようだな」

彩月「だって腐女子と同性愛者のダブルなんて見たことないんだもん!!男同士と女同士を嗜むやべーやつなんだもん!私と同じ歳で!」

ミツキ「小学生でそこまで思考が働いてる時点で異常ではあるがな」

彩月「それはそうだけど………これは何が悪いの!?誰が犯人なの!?」

ミツキ「ひとつ言えることは、トラブルが起きれば必ず誰かのせいと考えることは辞めることだな。」

彩月「うおおおおーー!!逃げるなああああ!!お前も奴の魔の手にかかりたいのかああああああ!!」


…………

彩月「すいませんしずく先輩なるべく近づかないでください」

しずく「えっ!?私何か嫌われるようなことした!?」ガーン

彩月「あ、いえキスとかそういう可能性もありますので」

しずく「私そんな趣味してないよ!?」

彩月「してなくてもされるかもしれないの!現状!」
最終更新:2022年02月23日 10:27