能力者狩り

「第5話」
『能力者狩り』

学園を回って能力者を見ていくうちに、彩月は1つの疑問が出来た………それを解消する為、彩月は風紀委員室に入った。

ミツキ「なんだ、わざわざここまで来て今度は何をした?」

彩月「今日は真面目な話。」

彩月「………この学校で『1番強い能力者』って誰?」

ミツキ「この学校で1番……さくら組ではなく、この学校全体という話か?」

彩月「そう、1番上がどれだけなのか知っておきたい。」

ミツキ「…………俺がこの事を言ったことは誰にも言うな。」

彩月「何?まさか組織から来た能力者さんとやらも何とか出来ない奴なの?」

ミツキ「………場所を変える。」

………

ミツキは監視カメラも無い、誰も来ないような所に案内する。

ミツキ「この学校で1番強い……恐ろしいと言ってもいいか。」

ミツキ「名は波乱万丈アズ。」

彩月「波乱万丈?」

ミツキ「そういう苗字だ。」

彩月「へー、能力は?」

ミツキ「相手が使用した能力を無効にする、というものだ。」

彩月「ありふれてるけど厄介な奴ね………確かに能力者だらけのこの学園では面倒かも、それで見た目は?」

ミツキ「これだ。」

ミツキはスマホから名簿を出して、波乱万丈アズのプロフィールを見せる。

彩月「……え?」

ミツキ「そう、アズはお前と同じ女で、小学生だ。」

彩月「………これで最強って、他にまだ何かあるんじゃないの?」

ミツキ「そう思うか?」

彩月「能力を無効化されたところでフィジカルで勝負すればいいから、殴られたらどうするかも考えてあるんだよね?」

ミツキ「ああ……お前には話しておこう」

ミツキ「アズも裏に大きな組織を抱えている……それも俺のようなものとは違う。」

彩月「………裏系?」

ミツキ「そう、奴は『波乱組』という……所謂極道達の組長の娘だ。」

ミツキ「この学園でアズに関わり、刃向かった能力者は居たが……行方知らずになっている。」

彩月「それを風紀委員さん達はどうしているわけ?」

ミツキ「簡単に言うな、向こうは学園と関係ない極道集団だ。」

ミツキ「組織の事を隠し、尚且つ俺一人で止めるのも限度がある。」

彩月「ましてや、能力を使えなくするわけだからね。」

彩月「…………」

ミツキ「聞くまでもないがお前………喧嘩でも売るのか?」

彩月「全員にあんな発言をした以上、その波乱万丈さんもやらも私を認知している。」

彩月「向こうからすれば私は強い能力を持った生意気な転校生……いつ来てもおかしくないね。」

ミツキ「………能力を消されて、勝ち目はあるのか?」

彩月「ある、なんなら極道が相手でも平気。」

彩月「だって私、強いから。」

そう言って彩月は、離れていった。

ミツキ「…………相変わらず危ない女だ。」

ミツキ(間違いなく奴は何がする、学園内が危険になる事は明らかだろう。)

ミツキ(しばらくは組織の力も借りて警戒する必要がありそうだな………)

………

しずく「ひいええええ!!!?は、はは、は、波乱万丈アズ!!?」

彩月「あ、やっぱりそんなに危ない人なんだ。」

しずく「危ないなんて軽い言い方じゃすまないよ!?小学生だけどあの子に逆らったら二度と生きて帰れないの!!」

彩月「結構曰く付きなんだ………ここ数日会わなくて良かったのか悪かったのか。」

しずく「………何をする気なの?」

彩月「喧嘩を売りに行く訳じゃないよ、ちょっと確かめたいだけ。」

彩月(それとは別で気になることもあるけど………)

………

そして、彩月は即座にアズの居るクラスを確認しに行った。

そこにあったのは………

彩月「うわぁー」

ほぼ全ての座席が、真後ろに並ぶように置かれていた。

その前、唯一前に置かれている座席に……綺麗な服を着て彼女はいた。

彩月(あれが、波乱万丈アズね……噂と名前通り、支配者って感じで佇んでるのね……)

アズ「………!」


そして、放課後。

アズ「あらあら、こうして対面するのは初めてでしたね……最強の能力者さん」

彩月「こっちこそ、こうやって会うことはなかったよね?……学園内の怪物。」

アズ「一応お聞きしますが、私の能力を分かった上でこうして話をしていらして?」

彩月「サイクルビーム!」

アズ「っ!」

彩月は壁にビームを当てて自分達の周囲を高速で反射させ………暫くすると消えていった。

アズ「ふふふ、時空では面白い挨拶が流行ってますのね」

彩月「やるね、あれが当たらないって気付いたんだ……ま、当てないように撃ったんだけど。」

彩月「……ま、ここまで来て、こうして話しっぱなしで終わる訳にもいかないよね。」

アズ「そうですわね。」

「ヒェッ……」
「こ、こわい………」アワワ…
「どっちか死にそう」

彩月「…………」

アズ「…………」


彩月「和と洋」

アズ「はい?」

彩月「そろそろ昼だけど、貴方どっちが好みなの?」

アズ「……ふふ、では貴方に任せますわ」

彩月「よし、行こう」

「「「「…………」」」」

「えっ?」

…………

彩月「……びっくりするくらい寄り付かない」

アズ「平気です、慣れてますので。」

彩月「そうなの?先輩に話聞いた時は苦労してそうだなーとは思ったけど。」

アズ「貴方は苦労したことあります?」

彩月「あるよ、役に立つことも多いけど……時々こんな能力無ければって思うこともある。」

アズ「本当に?」

彩月「本当、学校で友達が居なくなるくらいなら私は普通の人になりたかった。」

アズ「…………」

彩月「貴方、この学校楽しい?」

彩月「私の方は……なんか、変なの居るけどなんだかんだで上手くやってる。」

アズ「………。」

アズ「あの、桜井さん………食事の後、どこか静かなところに行きませんか?」

彩月「うん、いいよ。」


「ざわ……ざわ………」

………


彩月「………前の学校のこと?」

アズ「転校生ですもの、どんなところか気になって。」

彩月「うーんまぁ………普通の学校だったよ、能力者を隠し通すのも大変だった。」

彩月「………昔、仲良しだった友達がいてね。」

彩月「その子が虐められっ子に絡まれてたから、何とか頑張って助けたの」

アズ「アレで?」

彩月「アレで」


彩月「………まぁそしたら、案の定というか怪物みたいな扱いされて……殆ど口も聞いて貰えなくなった。」

彩月「あんなに仲良かったのに酷いバッシングもされたし、悪口も描かれたし、色々されて辛いって思ったこともあった。」

アズ「あ……ごめんなさい、聞いてしまって。」

彩月「いいの、それでも私は学校に行くこと好きだったし。」

アズ「どうして……?」

彩月「だって……なんか、また友達増やせたらいいかなーって気持ちになれるし」


アズ「………っ」


アズ「あ、あの……桜井さん。」

アズ「私は……その、私のお父様達のせいで……この能力者達が怯えられているのが……」

彩月「ああ、何となくそのパターンも考えていたけど………」

彩月「極道の父さん達の独断だったのね、能力者達が消えていったの。」

アズ「………それと他に、私とここまで話してくれた貴方に伝えておきたいことがたります。」

アズ「聞いてください、私の秘密」



彩月「………バラしたら、私はどうにかなる?」

アズ「それは……私は気にしません。」


アズ「その、実は私………」

…………


アズ「実際は、何の能力も持っていません。」

彩月「……え?それってつまり、この学園で唯一の……」

彩月「無能力者……ってこと?」

アズ「ええ、私にはなんの能力もありません」

彩月「えっ、ちょ………なんかごめん、レーザー当たってたらと思うと……」

アズ「大丈夫です、ちょっと怖かったですが。」

彩月「ホントごめん……え、じゃあ能力を無効化する能力は?」

アズ「………能力を無効にする、私本来の力では無いのですが何故か発動するのです。」

アズ「お父様が、私に近付いた人を排除して始末する時……何故かその人達は能力が使えず………」

彩月「ふーん………なるほど、そういうパターンね。」

アズ「………っ、あの、私……どうにかお父様を説得しますから、あの……」

アズ「私と………友達になってくれませんか?」

彩月「え?」

アズ「私のことを怯えずにこうやって楽しく話せた事……初めてでしたので……」

アズ「貴方のような人と……私………」


彩月「何言ってるの?」



彩月「貴方は私が食事に誘った時、嫌な顔せず着いてきてくれた。」

彩月「だから、私にとってはもう友達みたいなもの。」

アズ「………桜井さん………」

彩月「彩月でいいよ」

アズ「あ……でも私、無能力者だから貴方の教育についていけるか………」

彩月「アズを見てたらわかる、貴方は極道のコネとか関係なく普通になんとかなるタイプの人だよ。」

彩月「この学校で1目置かれるだけはあるね」

アズ「さ……彩月さん………!!」

彩月「じゃあ、また明日。」


アズ「………あ、あ、あの!彩月さん!」

彩月「何?」

アズ「明日は………もーっと、楽しいことがしたいです!」

彩月「じゃあ、時空でも案内しようか?」

アズ「いいのですか!?」

彩月「うん、友達の為だからね。」


彩月「じゃ、また明日。」



…………


と、彩月が寮に帰ろうとしたところ……黒スーツの男が彩月を囲む

彩月「どいてくれません?」

彩月「私、あの子の友達なんですけど。」

彩月「……………何を用意したか知らないけど、能力を無効化するアイテムを使うってことは………」

彩月が言い終わる前に黒スーツの男達が一斉に掴みかかろうとしてきたので………

彩月「スープレックス」

彩月は逆に掴み返し、投げ飛ばして全員倒してしまう。


彩月「なめんじゃないよ、私をそこらの能力者と一緒にしないで。」

と、その時!

(バキューン!)

彩月「っ!」

物陰から銃弾が飛んでくるが、容易く受け止める。

彩月「銃撃ってのはこうやるんだよ!」

すかさず彩月はカッターを投げ、遠くにいる黒スーツも倒していく。

彩月「………悪く思わないでよ、先に潰そうとしてきたのはそっちんだから。」

彩月「この父親も何が狙いか分かんないけど少しは娘の幸せも願えっての……ん?」

と、ここで電話がかかる

彩月「もしもし?」

【俺だよ俺、お前んところの神様。】

彩月「おいお前、よくも私をとんでもないところに送ってくれたな?ええ?」

【し、しゃあねぇだろ!メイドウィン達の間でもあの能力者共の役立たずさに嫌気がさしてたんだよ!】

【そこで最強クラスの能力者としてお前を向かわせて現実を見せつけるってことになって………】

彩月「はー、メイドウィン共もどうかしてるわね」

【ここ数日のお前の行動も人のこと言えない感じするけどな】

彩月「………で?要件は何?」

【ああ、それなんだけどな、実はお前の居る世界に__】

と、その時

彩月「……っ!?」

彩月が他の男達に取り押さえられ、スタンガンを首元に放たれる


【……もしもし?おい?彩月……ちっ、遅かったか!】

時空犯罪者覚悟しろ!!今からお前達に通報アラート放つからな!!】


「………どうする?」

「無視しろ」


【………ちっ、移動しやがったか!待ってろ今すぐ時空ヒーローを……】

『だ………大丈夫!』
最終更新:2022年02月26日 18:58