danganronpa M 『プロローグ』

朝……ついに来たか


そりゃそうだ、何せ今日は………新たな物語が始まるのだから


そう、希望が詰まった………ひとつのストーリー

これは俺の………いや、俺達の希望の物語


………

「私立希望ヶ峰学園」

あらゆる分野の一流高校生を集め育て上げることを目的とした超特権的な場所……… 俺はよく知らないが各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。

その学園に入ることが出来るのは

“現役の高校生であること”
“各分野において超一流であること"

らしい。

とするならば、俺は………

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響原創(ひびきはらつくる)という男は小学生の頃からフィルムに触れていた

苦労と努力、そして周囲の環境の末に初めて映画と呼べるものを撮ったのは中学生の事だった


そして………ここに来るまでの今日、撮ってきた映画は100本。

サスペンス、恋愛、ホラー、冒険、ありとあらゆる物をフィルムに抑え導いた………
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「俺の才能は……【超高校級の映画監督】か」


「………カメラは持った、後は撮影しながら………」

入る、のみ。


ザザっ


ザザザッ


……………希望ヶ峰学園の扉に触れてから、なぜだか記憶が無い

しばらくして、また扉を開けると………そこは教室。

そして17人の生徒………空いている椅子はひとつ、後は俺だけか


「待たせていたか?」

「いえ、あまり」


「ならいいが………お前達も超高校級に選ばれたのか?」

「ここにいる時点で明らかでしょう」


「それもそうか………自己紹介をしておこう、俺は響原創、【超高校級の映画監督】だ」

「創………?ああ、聞いたことあるかも、沢山映画を撮ってる中学生が居るって」

「俺知ってるぞ、確か【自我崩壊】って映画の監督だったな」


「自我崩壊……37本目の映画だな、初めてCG映像を取り入れた作品だ」

「へー、だから試行錯誤感あるのか」


「まあな…………皆よくやってくれたよ」


「………どんな超高校級なんだ?自己紹介を頼む」

「そうだな、これで全員なわけだし改めて………」


さて、奴らは一体どんな奴なのか

興味深くて、しょうがない………!



………


「やぁ、僕は手久保五十鶴(てくぼいつる)っていうんだ」


【手久保五十鶴】
「超高校級の幸運」


「お前の称号は?」

五十鶴
「称号といっても他の皆や君と比べると大したものじゃないよ、超高校級の幸運」


「幸運? 」

五十鶴
「知らないかな、希望ヶ峰学園には才能のある者だけじゃなく………」

五十鶴
「たった1人だけ平均的な能力を持った高校生を入れることがあるんだ、それが超高校級の幸運」


「お前がそれということか」

五十鶴
「うん、だからあまり期待されてもいいことは出来ないよ……ごめん」


「そんなことはない、そういう人間だって必要な時が来る」

五十鶴
「う、うん………ありがとう、響原君」

幸運か………運も実力のうちとは聞くが、実物を目にするとな………

楽しみでしょうがない

…!

音牟
「ボクは超高校級の催眠術師、鈴蘭寝牟(すずらんねむ)だよ、よろしくね」

【鈴蘭寝牟】
「超高校級の催眠術師」


「催眠術師?映画の中であるようなことが使えるのか?」

音牟
「うん、あれは決してヤラセやインチキなんかじゃないんだよ、実際に効くんだ」


「じゃあ、俺を操ることも出来るのか?」

音牟
「………操られたいの?」


「まあな、催眠術がどれだけ扱えるかで撮れる物が変わっていく」

音牟
「キミ凄く変わってるね………」


「手始めに俺を犬にしろ」

音牟
「犬ぅ!?無理だよ、出来るけど解くの大変なんだからね、そういうの!」


「そうか、残念だ」

音牟
「とにかく、これからよろしくね」

催眠術師……残念だ、是非とも掛かりたかったのだが

………

「俺の才能なんなのか教えてくれない?」


「は?」

「俺、才能分からないんだよねー、名前もな」


「ならなんて呼べばいい」

「んじゃあ〖空白〗でよろしく」

【空白】
「超高校級の???」


「希望ヶ峰学園に選ばれたというのに才能が分からないとはどういうことだ?」

空白
「俺に聞かれても困るね、そんなこと」

空白
「称号どころか名前まで分からないんだからさ」


「ふむ………」

空白
「なぁアンタ、俺に映画撮影関わらせてくれないか?」

空白
「俺はもしかしたら【超高校級の脚本家】………な気がするんだ」


「それはないから心配するな」

空白
「マジか」

空白………なんだ、この男は?

…………

「フフフ…僕の事は紹介しなくても分かるよね?」


「お前は………怪盗C!!」


【C】
「超高校級の怪盗」

C………今、世間を騒がせる謎の覆面怪盗。
1億円以上の価値があるものしか盗まないという謎のポリシーを持っていると聞くが

C
「僕もこんな形で選ばれるとはね………」


「お前、高校生だったんだな」

C
「驚いた?世間の注目を浴びる怪盗が、君と同年代だなんてね」


「超高校級の怪盗………ここにそんなものが」

C
「安心しなよ、この辺りには僕が盗みたいと感じるようなものは無い」

C
「捕まえたいなら………是非、どうぞ?」


「いいや、檻に入れるよりカメラに収める方がよっぽどいい………!」

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………!

「あ、初めまして私木川梨々花です!!」

「超高校級の登山家………でして」

【木川梨々花】
「超高校級の登山家」


「登山家………あの山に登っている奴か?」

梨々花
「はい!高いところっていいですよね!なんか落ち着くというか………」


「だからシークレットブーツなんて履いてるのか」

梨々花
「え、ええまぁそんなところです………はい!」


「………いや、よく見たら席が一つだけめっちゃ高く伸ばされているが、これは」

梨々花
「そ、それはその………私、低所恐怖症を持ってて………」


「高所恐怖症ならよく聞くが、低所?」

梨々花
「はい」


「変わってるな」

梨々花
「そ、そういうことですので………そこら辺気を使っていただけると有難いです」


「わかった」

………

「お、映画監督君………俺は阿良々木文吾、【超高校級の小説家】やってるんだ」

【阿良々木文吾】
「超高校級の小説家」


「小説家?デビュー作は?」

文吾
「いや、どういうわけかネット小説しか受けないんだな、そこで書いてるのは侍道殺しっていう作品」


「そうか、実物は書いてるか?」

文吾
「勿論だ、もし良ければ映画にしてもらいたいな、キャストとかは君に任せてもいい」

文吾
「俺の作品なら大ヒット間違いなしだ」


「俺は金儲けの為に書いてる訳じゃないが………」チラッ


「まぁ、考えておくか」

その男………文吾から渡された小説らしき何かからは
この世の人間が書いたとは思えないほどに潰れた文字列が並んでいた………


………

「私は佐藤真奈(さとうまな)と言います」

【佐藤真奈】
「超高校級の代行屋」


「お前はなんの才能だ?」

真奈
「代行屋です、元々いかなるモノの代わりを受け持つ存在でここに入学する資格は無かったのですが」

真奈
「とある超高校級の方が急遽来られなくなったとの報告を受け、私が入ることになりました」


「………超高校級の人間が、希望ヶ峰学園に来られないだと?」


「一体なぜ………」

真奈
「幸運の方以上に必要性を感じられない私ですが、よろしくお願いします」ペコリ

真奈
「一応頼まれたらなんでもします」

………

「………泥兄八郎(どろけいはちろう)」

【泥兄八郎】
「超高校級の警察官」


「お前はなんの才能を持っているんだ?」

八郎
「………警察官、ひったくりとか、スリとか、追っかけてる」


「そうか………」

警察官、のわりには………超高校級と言えるほどの存在には見えないが………

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「私の名は火川樹(ひかわたつき)ボディーガードなら任せてくれたまえ」

【火川樹】
「超高校級のボディーガード」



「私の手に掛かればいかなる人物も無傷で守り抜くことが可能だ」


「どちらが無傷でだ?」


「両方に決まってるじゃない、まあ何、何かあれば全員私が守るから心配しないで」


「ああ………いつ頼ることになるか分からんけどな」

………

「侘錆上(わびさびあがり)だ、寿司職人………の、つもりだ」

【侘錆上】
「超高校級の寿司職人」


「つってもオレ………寿司とかあんま好きじゃねーし………」


「寿司職人なのにか」


「っていうか、メシ作るの全般が好きじゃねーし………食う事しか興味ねーし」


「なんでわざわざ作ってやらんといけないんだ?っていうか………」


(こいつと話してもあまり楽しくないだろうな………後にするか)

………

「あ、映画監督の響原〜、琴子は作曲家なんだよ〜」

黒川琴子
「超高校級の作曲家」


「作曲家?どういうテーマの曲を作っている?」

琴子
「え?んーと、色々だよ〜、色々〜」


「………まぁ超高校級なら音楽の出来は気にしなくてもいいだろう、期待している」

……

「………非日雷(ひびライトニング)だ」

【非日雷】
「超高校級の気象予報士」


「ライトニング………?」


「…………そうさ、雷と書いて、ライトニングだ」


「キラキラネームという奴か?」


「そんなところだ、幸い他のやつは【らい】って読んでくれるからあまり気にしないが………」


「まぁライトニングでも雷でもいい、好きに呼んでくれ」


「おっと、才能の説明が遅れたな、俺は超高校級の気象予報士」


「気象予報士っていうのは天気を当てる奴だが、俺の場合花粉の濃度や警報、注意報まで当てられる」


「もはや予言の領域だな………」


「そうでもない」

………!

「え、アタシ?アタシ羽生陸奥(はにゅうむつ)ってんだ」

【羽生陸奥】
「超高校級の薬剤師」

陸奥
「超高校級の薬剤師って言ってね、毒と劇薬以外だったら何だって作れるのサ」


「薬か………」

陸奥
「つっても粉薬ばっかだから、出来は良くても人気がなくてねェ………」

陸奥
「錠剤なんかよりよっぽど効くのになァ」ブワッ


(そんなに粉末撒き散らせば嫌いにもなるわな)

…………

「私はマッチ・リンカーネーション、超高校級のアナウンサーをやっております」

【マッチ・リンカーネーション】
「超高校級のアナウンサー」

マッチ
「ライとはもう話しました?」


「気象予報士の奴か………アナウンサーということは、何か知り合いで?」

マッチ
「まぁ、そんな所だね」

マッチ
「あ、私は外国人だが日本育ちだから日本語は分かる」


「心配はない、か………ご忠告どうも」

………

「…………近藤(こんどう)、瑞希(みずき)」

【近藤瑞希】
「超高校級の柔道家」


「お前は格闘選手か?」

瑞希
「柔道」


「柔道か………超高校級ということは、強いんだろ?お前」


瑞希
「………近づいたら 投げる」

………

「ワシは松尾真心(まつおまごころ)で〜」

「私は齋藤小豆(さいとうあずき)といいまーす!」

【松尾真心】
「超高校級の漁師」

【齋藤小豆】
「超高校級のパティシエ」


なんだ?超高校級の2人がベタベタと………

五十鶴
「あはは………その2人、出会ってからずっとそうなんだ、なんていうか」

五十鶴
「ラブラブカップル?」


「まだ入学もしてないぞ…………」


これで全員か…………

創がクラスメートの情報をまとめてしばらくすると、アナウンスが鳴り響く
教室の放送マイクから流れていた


「なんだ?」

【えー、校内放送、校内放送アル】

【超高校級の皆さん、至急体育館まで来るようにネ】

【学園長の挨拶があります】

【なお、このメッセージは1回だけネー 1時間以内に来いヨオマエラ】


空白
「学園長から、だってよ」

五十鶴
「挨拶かな………行こう」


「そうだな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

創達が体育館に向かうも………


音牟
「………あれ?」


「なんだよ!学園長なんてどこにもいないじゃん!」


「どこかに隠れているのか………?」

陸奥
「台んところには、堂々と置かれたぬいぐるみがあるけなァ」

台の上には、マイクとモニターを握った白黒の竜………いや、ドラゴンのぬいぐるみがあった

文吾
「あ、もしかしてここにメッセージがあるとか?」

C
「ふむ、僕もそういうのはよくやるよ、どれどれ………」


???
「オマエラ、おはようアル!」

Cがぬいぐるみに触れようとすると、ぬいぐるみは立ち上がりマイクで喋る

真奈
「おわっ!?」

C
「ね?僕の言った通りだろう?」


「喋るということはロボットか……」


「お前は何者だ?学園長はどこにいる?」

「お前とは失礼にも程があるだろお前ら、わきまえろアル」


「学園長様は大変お忙しい方で今でも超高校級を求めて世界中をリサーチ中ネ」

「そんなわけで学園長代理として私がいるわけアル」

空白
「学園長が学校あけてどうすんだよ」

マッチ
「………そういうのは部下の仕事のような気もするが」

「おっと、言い忘れたアル………私の名はモノクーロン!」


「モノクロなのかただの黒なのかどっちなの」

【希望ヶ峰学園学園長代理】
「モノクーロン」

モノクーロン
「さて、私より学園長の話アル、耳の穴貫通させてよーく聞いとけネ」

そう言ってモノクーロンはモニターの電源をつける………

周りは静寂な雰囲気が流れ、空気が重くなる……………


「うぷぷぷぷ………」


そして、モニターには…………


「やぁごきげんよう、優秀な生徒の諸君!」

「ボクが希望ヶ峰学園学園長、モノクマでありますのだ!」

【希望ヶ峰学園学園長】
「モノクマ」

梨々花
「学園長もぬいぐるみなんですか!?」

琴子
「かわいーね!」

モノクマ
「まぁ、さっきボクの優秀でちょっとマヌケなオトモダチのモノクーロンくんから聞いてると思うけど、今忙しくてやんなっちゃうよ」

モノクマ
「だから、手短に話しちゃうよ、起立!レイ!」

モノクーロン
「オマエら!おはようございますアル!」

モノクマ
「えー、皆様のような才能ある子供たちはこの世界の希望であり、素晴らしい存在なのです」

モノクーロン
「まーつまり、そんなわけで私たちはそんな希望を保護するため」

モノモノ
「「共同生活を送ってもらいます!!」」

八郎
「!」

瑞希
「共同………生活………?」

真心
「なんじゃ?それ?」

五十鶴
「要するに、1つの場所で複数の人が住むことだよ」

文吾
「え?ここ寮学校だった?パンフレットに書いてあった?」

モノクマ
「この学校に寮なんて安っぽいものはないよ!ただし!それ相応のオマエラにぴったりのサービスは用意してあるのでご心配なく!」

モノクーロン
「ここまでやるのは希望ヶ峰学園だけアル、感謝しろネ」

音牟
「共同生活ぅ〜?3年間が楽しくなりそうだねぇ」

C
「悪いけど遠慮させてもらうよ」

小豆
「え?どうしてどうして?楽しそうじゃん」

C
「どうしてって、僕は【超高校級の怪盗】だよ?おまけにすぐ近くには警官までいる」

八郎
「………」

C
「3年間も同じところにいたら僕は捕まってしまうじゃないか、勘弁してくれ」


「俺もずっと学園の中にいたら、似たようなネタしか作れなくなるからな………」

文吾
「あ、なら小説家として俺も創に賛成!」

モノクマ
「断る?何言ってんの、生徒の君たちに拒否権なんてあると思ってるのかな?おめでたいねぇ」


「何!?」


「落ち着いて」

モノクマ
「それに、共同生活の期限は3年じゃないんだけどねぇ」


モノクーロン
「この共同生活の期限はノー!つまり、オマエラは一生ここで過ごすことになるアル!」

全員
「!!?」


マッチ
「い………一生、だと?」


「それはつまり………ここから出られないと言うのか!?」

………創は気づいた、学園内に何か音がすることを


「………なにか聞こえないか!?何か、落ちてくるような」

八郎
「………聞こえる!」

八郎
「これは………シャッターが落ちていく音だ!!」


梨々花
「こ………これってもしかして………」

真心
「ほ、ほんまに閉じ込められてもうたか!?」

八郎
「っ!!」

八郎はこれまでとは違う動きで手錠を取り出し、モノクマに近づく

八郎
「希望ヶ峰学園学園長………何のつもりだ」


「全員を閉じ込めるなんて………」

空白
「俺たちに意地でも住んでもらうってか?逆大家さんだな」


「何を言う、俺は確かに希望ヶ峰学園に来たいと思っていたが生涯を共にする予定は無い 」


「解放しろ………八郎、お前の仲間か何かに連絡しろ」

八郎
「分かった」

モノクーロン
「プップッウーハッ、警察に通報したって無駄アルヨ」

モノクマ
「そうそう、無駄だもんねー」

見下すように揃って笑うモノクマとモノクーロンに対し、超高校級の生徒たちは講義を行う

音牟
「ちょ、ちょっと!Cちゃんじゃなくてもこれは無理だよぉ!!」

小豆
「そうだよ!私たちにはここから出て夢を叶えたいんだよ!」


モノクマ
「夢?夢ですかぁ?」


モノクマ
「そんなに夢を叶えたいのかい?自分にウソをついてまで、やりたいことがあると言うんだね?」

小豆
「っ………そ、それは」



「………モノクマ、だったか?」

モノクマ
「はい、君は確か響原創クン!質問は何でしょう?」


「………ここから出る方法はあるのか?合法な方は期待しない」

モノクマ
「察しがいいねぇ、確かに違法っちゃ違法だけどボクの目の届く限りじゃ合法になるからご心配なく!」


「!」


モノクマ
「ここから出る方法はあります、モノクーロン?」

モノクーロン
「おん!学園長喋りすぎアル、一応私がここのボスネ」


モノクーロン
「ここから出る方法はただ1つ、そこにいるオマエラが、どんな方法、手段、目的でも構わず」


モノクーロン
「殺すことアル!」

全員
「!!」

モノクーロン
「あ、全員始末しなくていいアルヨ、出る1人殺るだけで権利を得られるネ」

琴子
「…………え、え?」

五十鶴
「殺す………だって!?そんな、まさかそれって」


五十鶴
「ここに居る皆を………誰か、殺せって言うのか!?」

C
「……………」


「さっきからふざけたことを!!」

1人、堪忍袋の緒が切れた………上だ


上は服から刺身包丁を取り出す

文吾
「ちょ、ちょっと落ち着いてよ上くん!?」


「殺せ!?殺せだって!?じゃあ殺してやるって!!」




「学園長、お前をなぁ!!!」ブンッ

上は怒りを込めて、包丁をモノクマのモニターに投げ飛ばす
一直線で包丁は飛んでいき…………

モノクマ
「やれやれ……モノクーロン?」

モノクーロン
「ハイヨー、龙的气息!!」

だが、モノクーロンの口から炎が………火炎放射器より遥かに強い勢いで炎が吹き出し、刺身包丁はモニターに刺さる前に………墨になった

モノクマ
「全く、ボクは炙りスシは嫌いじゃないけど、君の火力じゃ墨握りにしかならないじゃないか」

モノクーロン
「この機能つけたの学園長ネ」


「なっ………く、口から火が………」

真奈
「悔しいですが………この学園長代理を武力で抑え込むことはほぼ不可能でしょうね」

空白
「じゃあどうする?ここにいるヤツら殺して帰るか?」


「!!!!」


陸奥
「………」

マッチ
「待てお前、言っていいことと悪いことが」

空白
「空白だ、そのついでで聞くよ学園長さん」

空白
「俺って、ちゃんと超高校級なわけ?」

空白
「名前も称号も分からないけど、幸運だったりしない?」

モノクマ
「ええ?心配しなくても君は正真正銘【本物の超高校級】だよ」

モノクマ
「才能を偽るなんてこと出来るはずないのに」

空白
「ま、学園長様お墨付きなら心配するほどでもないか」

マッチ
「おい空白、話は終わっていな………」

空白
「分かった分かった、今のは俺も言い方が悪かった」

モノクマ
「ではそろそろボクは失礼するからね、あとは任せたよ、モノクーロン」

モノクーロン
「分かったね、また例の時に呼ぶネ」

モノクーロン
「再见!」

挨拶とともにモニターの電源は切れ、チャイムが鳴り響く

モノクーロン
「ということで、最初の挨拶は終わりアル………学園長も私もゾクゾクするくらいの絶望的なコロシアイ、楽しみにしてるアルヨ〜!!」

生徒達はモノクーロンの声など聞く耳も持たず、体育館を後にする………



これより始まる………絶望的で


救われない…………ものがたり…………


…………



「くっ!!」ドンッ!!

樹、C、上はシャッターを叩くがビクともしない


「ダメね………壊せそうにないわ」

C
「こりゃ大男、いや鬼(オーガ)がぶん殴っても凹みもしないよ」


「んだよそれ………あ、そうだ!お前怪盗だろ!?セキリュティとか破れないのかよ!?」

C
「確かにそういう装置はある、だが………」

C
「今日はプライベートな気持ちでここに来たから、盗みに使う道具は全て置いてきたんだ」


「はぁー!?」

C
「と言っても………ここのセキリュティは僕も見たことがないからあるいは」


「………畜生!!」

…………

五十鶴
「………最悪、だよ」


五十鶴
「せっかく………【超高校級の幸運】に選ばれたのに……天才のみんなと、楽しく学園生活を過ごせると、そんな事ばかり思っていたのに………」

文吾
「五十鶴くん………」


「ここにいたのか、手久保」

五十鶴
「創くん!!僕達………僕達どうすれば………」


「…………すまなかった」

五十鶴
「え?」


「俺があんな事を聞かなければ、お前がそんなに気にする事はなかっただろう」


「俺はただ可能性があるかないか、それだせが知りたかっただけだ」

五十鶴
「………ううん、創君は悪くない」

五十鶴
「誰も、こんなことになるなんて予想出来なかったんだから」

五十鶴と創が励ましあっていると、空気の読めない空白が割って出る

空白
「よ、映画監督」


「空白か」

文吾
「そっちはどうだったの?」

空白
「出られないってのはマジっぽい」

空白
「一応学園の外には出られるっぽいが校門はボンドがついてんのかってくらい動かないし、塀もめちゃくちゃ高い」

空白
「穴を掘ろうとしたら中に水道管やら何やらが張り巡らされていて穴開けちまう所だった」

文吾
「となると、無理やり外には出れないと」

空白
「そうだな………ま、俺は共同生活を受け入れるつもりだから、あとは頑張れ」


五十鶴
「………え!?ちょっと待って、共同生活を受け入れるってどういう………」



空白
「………だって俺、現状は何も分からないままなんだ」

空白
「何が出来るかも分からないのに外に出たって、役に立たないだろ?そうなるくらいなら俺はここに閉じこもる」


空白
「そういうわけで、殺すつもりとかは一切ないから安心して構ってくれ」

空白
「あ、でも俺だって命は惜しいから俺を殺すのはナシな」



「…………」

五十鶴
「なんだろ、あの空白という人………あまり自分の才能を気にしてないというか………」


「奴がまた才能を思い出せば考えも変わるだろう、今の状況的には、このままでいてほしいのだが………」

真心
「創!」


「中はどうだ?」

真心
「ダメじゃ、2階に続く階段は閉じられとるし窓も扉も殆どシャッターが閉まっとる、外はどうなっとるんじゃ?」


「さっき空白が行ってきたようだが、出られるようには………」

真心
「そうか………」

…………生徒達は希望ヶ峰学園の辺り全てを探索したが、脱出の糸口になるような道はなかった

瑞希
「…………何も、なかった」

真奈
「私たち、これからどうすれば………」

八郎
「…………殺人」

八郎
「全員、する気はないな?」


「!」

小豆
「あ、あ、当たり前でしょう!?そんな人殺しなんて、するわけが………!!」

八郎
「その通りだ」

文吾
「じゃ、じゃあ共同生活?もしかすると案外悪くないかもしれないんじゃ?」


「それでも、永遠に…………」

音牟
「いや、それいいかもしれないよぉ?」


「どういうことだ?音牟」

音牟
「共同生活に期限はない、つまりボク達は時間だけならいくらでもあるんだよ」

音牟
「モノクーロンに悟られないように共同生活を装って少しずつ脱出の糸口を掴んでいけば、脱出出来るんじゃ」

C
「なるほど、悪くないかもしれないけど随分気が遠くなるような作戦だね………」


「ここで生活するしかない、か………」


そして彼らは一時、希望ヶ峰学園の生活を受け入れ、食事を取り、風呂に入り、ベッドで眠りについた………その翌日。

再び、彼らは集まった。

文吾
「ご飯に関しては問題ないっぽいね」

琴子
「まずくなかったよ!」

マッチ
「全て出来合いの注文だが………」

今、ここに置かれているものは全て宅配ランチ………カツ丼やチキン南蛮、3色丼にナポリタンとメニューは豊富だが、コンビニ弁当を食べてるような感じしかしなかった

陸奥
「この際贅沢なんて言ってられへんて」


「で?脱出つってもどうやって出るわけ?時間かけるつもりだろうが、ダラダラしてるだけじゃ意味無いだろーし」



モノクーロン
「あらぇ?意外と積極的じゃないアルネ」

「!!」

モノクーロンはいた………どこまでも神出鬼没、現れたくない時に、現れる………

モノクーロン
「モノクマ学園長は前に、殺人がおきずに3日も退屈な日々を暮らしていたそうだけど、私はせっかちなんだよ」

モノクーロン
「教えてくれた、モノクマ学園長が何をすればいいのか!オマエラに足りないもの、それは………動機!」

モノクーロン
「そんなわけで、学園長さんが素晴らしいものを用意してくれたので至急視聴覚室に!」

空白
「どうするよ?」

梨々花
「行くしか………ありませんよ」


…………

視聴覚室。

それぞれ1人ずつ座れるテーブルに1つ、ディスクが置いてあった

五十鶴
「これは………?」

モノクーロン
「所謂【動機ブルーレイ】ネ、全員分用意してあるからよーく見ろし」


「俺の席はあれか」

創は自分の動機ブルーレイを確認する

五十鶴
「創君!?なんで躊躇いもなく再生するの!?」


「映画監督として奴のシナリオを拝見したい、それだけだ」


「こんな物を観たからと言って誰かを殺すわけがない」

創はゆっくりとディスクを差し込み、覗き込む………
………

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超高校級の映画監督】
響原創の動機
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

映像には幼き頃の創と、1人の少年が映っていた


「……格!」

その少年は創に本を渡す………文字が羅列されてた本を握りしめ、映像の中の創は叫んだ………今観ていた創と共に



「『アクション!」』

その瞬間だった、映像に砂嵐が現れ、血で汚された脚本と………創の真後ろに現れた、大きな男


「ははは…………これはいい脚本だ………」



「………格?」



そして映像は途切れた



「格!!」


だが創は悩んでる暇も感想を言う暇もなかった

五十鶴
「うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」


「!?」

五十鶴
「馬鹿な……………なんで!?なんでだよ!?そんなはずないのに、確かに、確かに……」


「五十鶴?」

五十鶴
「が………学園長!!こんなものを動機にするつもりか、ふざけんな!!」

C
「……………」

真奈
「どうして、これが………」


「……………っ!!」


(………動揺したが、気を確かに持て)


(こんな趣味の悪いフィクションはいくつも撮ってきた………深く考えるな)

瑞希
「…………」




(……そして他のやつもそう思っているはずだ………五十鶴以外は)

空白
「おいモノクーロン、ちょっと変だぞ」


モノクーロン
「何ネ、内容にクレームは受け付けないアルヨ」

空白
「いやつけるわこんなもん」

空白
「内容がないよ〜ってな、なんちゃって」

モノクーロン
「は?」

全員が空白の動機ブルーレイを確認すると………

何も無い、映像が止まってる訳でもない、壊れてるわけでもない


ただ、真っ白な空間だけが………延々と映されているのだ


真心
「なんじゃいこりゃ」

小豆
「なんで………なんであんただけ………」

空白
「そんなものこっちが聞きたいよ」

空白
「どんな事でもいいから記憶が掴める手がかりが欲しかったのに」

モノクーロン
「あ、あれ〜?そんなはずはないのに」

空白
「しっかりしてくれよ」

音牟
「…………いや、ある意味ではラッキーだったよぉ、空白くん」

音牟
「今、ボクでも精神的にキツいから………でも、絶対にコロシアイをしてはいけない………」

五十鶴
「…………はぁ、はぁ、はぁ!!」

音牟
「イツルくんもほら、落ち着いて」

五十鶴
「はぁ、はぁ!!見るな!!僕の………動機ブルーレイを見るな!!」バシッ!!


音牟
「うっ!?」

五十鶴は音牟の手を払い除け、動機ブルーレイを抱えて視聴覚室を飛び出して行く………


五十鶴
「うおおおおおおおお!!」

モノクーロン
「あ!ちょっと学校の品を他所に持っていくのは………まあいっか、別に校則違反とかじゃないアル」


「おい、大丈夫か?」

音牟
「う、うん………なんとか、ね」


「五十鶴くんの慌てぶりからして………私たち以上に壮絶なものを観てしまったのね」

文吾
「しばらくの間、そっとしておいた方がいいのかもしれないね………」


「何言ってんだよ!?このままじゃあいつ、誰かを殺すかもしれないぞ!?」


「………有り得なくもないわね」


「もしそんなことになったら、私が命に替えてもみんなを守るわ」


「…………戻ろう」


かくして、響原創達の希望ヶ峰学園生活………及び

生と死を掛けた恐怖の共同生活は最低最悪のオープニングを切って始まった。

モノクマ学園長の言っていた【絶望】は訪れるのか?生徒たちの【夢】は叶うのか?



ここから始まっていく………真のコロシアイ

絶望的なとある昔話。


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danganronpa m


【プロローグ END】

残り18名。
最終更新:2022年06月15日 22:35