【第2話】
「戦いは終わらない」
雲利(僕は天機ジャーナルの雲利アメ)
雲利(エレキボルトについて調べるために動いていたら……たまたま発見した変なギャルがエレキボルトの正体で……)
雲利(悪の組織の戦いに足を踏み入れたせいで、ただいま絶賛入院中………そして何より)
イナ「おはよう彼ピ♡朝ごはんのじゃこじゃこカレーラーメン持ってきたよ♡」
雲利(………気が付いたら、エレキボルトの彼氏になっていたらしい)
………
雲利「………」
雲利はイナが置いていったじゃこまみれのカレーラーメンを食べながら外を見上げる
雲利「…………出来れば早く出ていって他人になりたい、エレキボルトの事は分かったんだしもう記事にしてもいいのでは」
「記者か、イナは面倒な物を連れてきたようだな」
雲利「ん?」
雲利の病室にどこか面影のある医者が現れる
「私は七光里セン、イナの叔父だ」
雲利「ああ、そういえばここあの子の病院とか言ってたけど……そういう事でしたか」
セン「………エレキボルト、イナの事を知ったばかりか、あそこまで気に入られるとはな」
雲利「僕、彼女にそこまで何かしましたか?そりゃ確かについ庇ったりしましたけど」
セン「そこばかりは私にも分からん、イナのの頃に響く何かが、確かにあったのだろう」
雲利「一応親族なのに分かんないんですか?」
セン「ならキミはイナの事をどこまで分かってる?」
雲利「…………ちょっと怖いってことぐらいしか」
セン「…………これでも昔はあんな子じゃ無かったんだがね」
雲利「え、昔はどんなんだったんです?」
セン「近寄り難い子だったよ」
雲利「それは今も同じじゃないですか」
セン「それはそうだが………意味が違う」
セン「彼女は元々………かなり暗い性格をしていた」
セン「というよりは、何をするにもつまらないという顔をしていた。」
そう言うとセンは、1枚の資料を用意する
セン「当時一流大学の試験に使われた問題集だ」
セン「イナは8歳という若さで、これを100点満点で全て解いた」
雲利「!!?」
セン「イナは天才、いや……天才なんて言葉で言い表せない、化け物だった。」
セン「スポーツも芸術も、それ以外の技能も何一つ欠点が無い、推定IQ200の超天才少女、それが昔のイナだ」
セン「だが………何もかも当たり前に出来るイナは、何もかもがつまらなかっただろうな」
雲利「…………そんな凄い少女だったんですか、悪の組織に拉致されて改造されるのも頷けます」
セン「そう、その組織はボルテックスGだったか」
セン「あそこで改造されて帰ってきてからだったな、イナがあんな風になってしまったのは。」
セン「恐らく脳を改造された……というよりは、今まで溜まってた鬱憤が落雷のように一気に爆発してあんな風になったのだろうな」
雲利「…………」
セン「………」
セン「という事にしてくれないか?」
雲利「はい?」
セン「こういう事にしておきたいんだ、そうした方が世間としても納得がいく」
雲利「えっ、ちょっと!?あれだけ真剣に話しといて全部嘘ですか!?」
セン「いや、全部が全部というわけではない!イナが大天才だったこと、出来ないことは無かったことは事実だ!」
セン「性格は昔からああなんだ! 」
雲利「余計ダメじゃないですか!!」
セン「まさか彼氏が出来て精神病院で治療してくれなんて言うとは思わなかったんだ!」
雲利「………はい!!?精神病院!?僕って精神病院で治療され、精神病院で入院してたの!?」
セン「一応医者であることは代わりないから治療は出来たけどね」
雲利「……………」
セン「一応言っておくが、彼女が異常だからここに入れられてる訳では無い、人避けにもなるんだ」
雲利「ホントですよね? 」
セン「もう歩けるだろう、ついてきなさい。」
………
しばらく歩いて、明らかにスコップとかで掘られたような大きな穴のある病室へと案内される。
雲利「………言うまでもないですが、これ掘ったのって」
セン「………掘っただけでは済んでないよ、入ってみなさい」
穴をよく見てみるとしっかり階段が付いていたので、おそるおそる降りてみると………
雲利「えええええええええ!!?」
穴を超えて下に降りた先に広がっていたのは、まるでスイートルームのような豪華で広々とした一室。
セン「イナの部屋だ」
雲利「これが!?」
セン「もう10年以上前、突然『秘密基地作る』などと言い出し病院に穴を開けたかと思えば、色々と設備が充実して」
セン「なんか今は私の部屋より凄い」
雲利「何がどうなったらこうなるんです?」
イナ「あ、彼ピ部屋に来てたんだ」
と、イナが別の穴から滑るように飛び出してきた。
雲利「あっ、こんな所に滑り台が!?」
セン「えっ、それは私も知らない」
イナ「今作った」
セン「私の病院がどんどん魔改造されていく……」
雲利
「………イナ、君ってなんかすごい人だったんだね」
イナ
「そうでもねーけど?」
雲利
「………」
イナ
「それよりさー!歩けるようになったならちょっとこっち来てさ、お願い!」
イナ
「今からカップル動画撮るから」
雲利
「カップル動画!?ちょっと待って、僕が動画に出るのはまずくないか!?」
イナ
「いーのいーのウチ公認の彼ピなんだから♡」
雲利
「ええ………」
………
イナは雲利を綺麗なダブルベッドに座らせて、カメラの準備をする
雲利
「そういえばイナ……気になっていたんだけど」
雲利
「何故僕を彼ピだなんて言うんだ?」
イナ
「………んー?ひょっとして気付いていない?」
イナ
「ウチのことイナって言ったじゃん、まだ何も言ってなかったのに」
雲利
「!」
雲利
(言われてみれば………)
そう、イナはまだ自己紹介はしていなかった。
雲利はその時初めて会っていたはずのイナの名前を呼んでいたのだ、あの土壇場で。
雲利
「なぜ僕はイナの名前を………?」
イナ
「決まってるじゃん?彼ピが運命のヒトだから………だよ♡」
イナ
「__それに、さ」
イナ
「彼ピはウチの事お前とかアイツって言うやつらとは違いそうじゃん?」
雲利
「………違わないよ」
雲利
「だって僕は……君がエレキボルトだと知って」
雲利
「エレキボルトの事を調べるために君に近付くという理由もあるんだ」
イナ
「………別によくない?」
イナ
「彼ピはエレキボルトが知りたいんでしょ?だったらいくらでも教えたげる」
イナ
「エレキボルトでいられる間はウチも結構楽しいし、なんでもありって感じする」
イナ
「宿題も何十回もやらなくていいし、オリンピックの真似事ももう飽きた」
イナ
「彼ピはウチの活躍いっぱい見てくれるんでしょ?」
イナ
「ウチも彼ピを助けることなら………まぁ5回だけならしてあげてもいいって感じ?」
雲利
「5回って多いのか短いのかよくわかんないな………」
雲利
「………じゃあ僕、ブレードタワーのてっぺん行きたいな」
イナ
「デート♡いいよ!今すぐ行こう!」
………
イナは変身して外に出ると、雲利を抱き抱える
エレキボルト
「じゃ、しっかり捕まってて彼ピ!」
雲利
「あれっなんだろうデジャブ」
エレキボルト
「そーーーーれっ!!」
雲利
「うおおおおおーーーーっ!!!」
エレキボルトは力強く飛び上がり、地面から一気にブレードタワーの頂点まで飛び上がる
エレキボルト
「うりゃ!!」バコーン
更にそこから天井を壊し、上からブレードタワー最上階にたどり着いた
エレキボルト
「おー見て見て彼ピ!絶景だよV街全部見渡せるよ!」
雲利
「おー………確かに絶景だね」
雲利
「………窓から見える景色以外は」
………が、現在ブレードタワーに数多くの男たちが取り囲んでいた。
雲利
「………あのシンボルマークはキングフェンリル………オオカミのように金を貪り人を殺めるテロ組織だ」
エレキボルト
「うわ、また悪の組織居んじゃん……」
雲利
「見たところこのブレードタワーを占拠しようとしてるみたいだけど」
エレキボルト
「ふーーーーん、分かった……彼ピはそこで待ってて」
雲利
「待っててって、まさか君………」
エレキボルト
「あいつら全員蹴散らして彼ピと独占デートだから、張り切るよ!」
エレキボルトは力強く窓から飛び出して、一気に地上へと降りていく!!
雲利
「いやいやいやいや!!?ここ何百メートルあると思ってるの!?イナーー!!!」
ズドォォォン!!
KF隊員
「なんだ!?なにか落ちてきたぞ!?」
エレキボルト
「よっと!!足が痺れた!!」
KF隊員
「ギャーっ!!エレキボルト!?なんでここに!?」
エレキボルト
「よし、それじゃ…………」
エレキボルト
「全員ぶっ飛ばして彼ピの所まで直行RTAスタート!!」
エレキボルト
「計測開始はアンタをぶっ飛ばした直後!!」
KF隊員
「ぎゃああああああああ!!」
エレキボルトは高速で隊員を一人吹き飛ばしながら、構えを取る!!
「な、なんだ!?」
「怯むな!構えろ!!」
キングフェンリルの一同も負けじと銃を構えて乱射するが………
エレキボルト
「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いっ!!!!!」
エレキボルトは弾丸よりも速いスピードで身体を捻らせて直前で回避しながら、攻撃し………それを踏み台にして次の標的へと一気に向かう!!!
エレキボルト
「うおおおおおおおりゃっ!!!!」
「えええええええええええ!?」
エレキボルト
「123456789 10!!」
エレキボルト
「2030405060708090!!」
エレキボルト
「100〜〜〜!!」
………
警察がパトカーを引き連れてたどり着く頃には、エレキボルトが周囲のキングフェンリルを蹴散らしていた
警察
「うわっ、またエレキボルトだ!!」
警察
「お前たち!犯人逮捕より市民の避難を優先しろ!」
エレキボルト
「………げっ!!」
エレキボルトが目を逸らした隙に他のメンバーがエレベーターに乗ってしまっていた
エレキボルト
「このままじゃ彼ピが危ない!!」
エレキボルト
「うおおおおおおおお!!!」バチバチバチバチバチ
エレキボルト
「うりゃあああああ!!!」
エレキボルトは力強く電気を貯めて壁を駆け上がっていく!!
警察
「エレキボルトが上に!!」
警察
「皆、何があっても驚くなよ!?」
…………
雲利
「…………下見たけど、絶対やばいことは分かる」
エレキボルト
「彼ピ!!!」ガシャーン!!
雲利
「うあうっ!!」
エレキボルトはガラスをかち割るとエレベーターをこじ開け……
エレキボルト
「ていっ!!」
雲利
「エレベーターのコード切ったあああたあ!!?」
「ぎゃあああああああ!!!」ガシャーン!!
エレキボルト
「とりあえずこれでようやく2人っきりデートね、彼ピ♡」
雲利
(あ、改めて………この子、ヤバすぎるよ………)
最終更新:2022年06月19日 13:18