反逆の人工兵器

【第三話】
「反逆の人工兵器」

キングフェンリルの事件が収束した数日後……

イナ「え?ウチに言いたいこと?」

雲利「ああ……君に約束してほしいことがある!」



雲利「エレキボルトに変身する際は破壊行為なるべく禁止!!!」


雲利はイナの部屋で、イナを縛り上げて言う

エレキボルトは確かに強い、だが今のままではヒーローと言えない

イナ「分かってるし、でもアイツらを倒すにはああした方がいいと思った」

雲利「だからってエレベーターを……はぁ、色んな意味で危ない子だな」

雲利「それより…イナ、この病院機械音うるさくない?」

イナ「うん、ウチの技術で全部オール電化に変えたからね」

雲利「病院にオール電化いる!!?」

イナ「彼ピはちょっと遅れてる~、最近はなんでもハイテク、なんでもデジタル、なんでも全自動化だからさ」

雲利「う…確かに今は機械を使って作業がほとんどスムーズな時代だけど…」

雲利「ウチは未だにアナログなんだよね…今でも新聞は手作業、便利なシステムなんて一切使ってない」

イナ「えーマジ!?もったいない!」

雲利「ホントだよ!僕だって本当は自動枠はめ装置とか、天気予報マシンとか使いたいよ!」

雲利「それどころか……はぁ」

イナ「なんなの彼ピの会社、機械アンチ?」

雲利「多分そうだろうね……何せ、今回作るように言われた記事も、アレだし」


雲利「えーとなんだっけ、新しく作られた人工知能を搭載した生活支援ロボ」

イナ「あ!『ポテト』の事?」

雲利「ポテト!?」

イナ「そ、ほら……あれ、パーフェクト何とか感とかって名前だからウチがポテトって名付けたの」

雲利「その何とか感とかが気になるんだけど……はぁ、まあいいやポテトで」

雲利「今じゃどこでも見るあの機械だけど、うちの新聞社がね……」

雲利「アイツの欠点見つけて大きく載せてたたきつぶして来いって」


イナ「うっわ、相当なやつじゃん」

雲利「流石にでっち上げるわけにもいかないし、欠点があるように思えない」

雲利「何より僕あまり悪口みたいなのを書きたくないんだよね……」

イナ「記者って、結構面倒な仕事なんだね」

雲利「うん、子供の頃からのあこがれだったけど思いの外書きたいことを書かせてくれないね……」

イナ「あ、そうだ!実際にポテト触ってみる?」

雲利「え!?まさか君…」


イナ「買った!」

雲利「なんだ、てっきり作ったのかと……」

雲利「買ったぁ!!?」

【ポテト 約500万円】



イナ「はい、これがポテト」

雲利「へぇ……思ったより丸っこくて機械チック」

雲利「人工知能付き生活支援っていうから人間みたいな見た目してるのかと思ってたよ」

イナ「いやいや~、支援するために人間に出来ない事するんだからこういう見た目がいいんだよ」

雲利「なるほどなぁ……それで、イナは何をさせてるの?」

イナ「ウチは何も頼んでないよ?」

イナ「ポテトはウチらが何をしてほしいか読み取って自分で考えて行動するんだって!」

雲利「それは凄すぎるな……」

イナ「あ、ほらあの外のポテト見て」

雲利「スポーツドリンク用意している……そして走ったばかりのランナーに渡した!」

イナ「あれも指示されたんじゃなくてポテトが自分から動いたってわけ」

雲利「へぇ……なんか、知れば知るほど欠点がない、完璧な人工知能だな」

イナ「じゃあフツーに良いことだけ書いとけばいいのに」

雲利「僕も出来る事ならそうしたいなぁ……」

ととと

雲利「おっ、紙とペン……なんて気が利く奴なんだ、ガチで人類衰退しちゃうよ」

雲利「泣けてくるよ、お前の悪口書かないといけないと思うと」

イナ「彼ピが落ち込んでる……」


イナ「ちょっと待ってて!ウチ何とかしてみる!」

雲利「なんとかするって……何するつもり?」

イナ「ウチがその新聞社を買い取る!そしてその編集長をクビにする!」

雲利「思ったより強引だった!?」

イナ「破壊活動はしてないでしょ?」

雲利「確かにしてないけど!乗っ取ったとして新聞社なんてでき……」

雲利(もしかしたら出来なくないのかもしれない……)

イナ「うーーーん、どうしたら彼ピのためになるかなぁ」

イナ「あ!そうだ!こういう時の為のポテトだよね!」

イナ「ねぇねぇポテト今の話聞いてた?ちょっと知恵かしてほしいな」

雲利「ええ!?それをAIに頼るの!?」

雲利「というか、自分を貶すような提案とか誰でも嫌だよ!!?」

ポテト「・・・・・・・・・・」

雲利「いいんだよ!ポテトもそんなことじっくり考えなくてもいいから!」

雲利「……あ、やばいそろそろ休憩が終わりそう!もう失礼するね!」

イナ「そこ出口じゃないよ彼ピ」

雲利「精神病院から出てくると何かと誤解されるの!君の部屋なんでこんあところにあるの!!」

…………

数日後


雲利
「イナ、唐突だが君ニュース見てる?」

イナ
「見てる間でもない事だし」

雲利
「だよね」



雲利
「なんかポテト暴走したんだけど」

イナ
「なんでだろ?」

雲利
「なんでだろじゃないよね!?明らかに普通にやばい案件起きてるよね!?」

イナ
「もしかしてポテトに頼んだから?」

雲利
「いやいやいや!それでこんな事するって気が利くのレベルをはるかに超えているからね!?」


イナ
「うーーん、どうしようかコレ。彼ピとしてはエレキボルトでぶっ壊すのはNGなわけでしょ?」

雲利
「それは………まあね、もしイナの言う通りなら破壊してしまうのは心が痛む」

雲利
「最悪でも停止、良くてどこか安全なところに隔離って出来る?」

イナ
「うーーーん、彼ピがそれを望むなら頑張ってやってみるよ」

イナ
「変身!!」


バチンッ!!

エレキボルト
「出来る限り壊さないようにすればいいんだね!?」

雲利
「出来ることならね!」

エレキボルト
「………あと!聞くまでもないと思うけど!」


エレキボルト
「描かなくていいわけ?新聞」


雲利
「今回の事で、一体何を書けばいい訳?謝罪文かい?」


エレキボルト
「彼ピが書きたいって思ったことー!!」


雲利
「………」

雲利
「どうにか、君が全てを終わらせる前に構想は練っておくよ」

エレキボルト
「もち!!」


エレキボルトは力強く飛んで行った。



雲利
「…………よし、書くぞ」


雲利
「これで俺がどうなっても、新聞社をクビになったとしても………」


雲利
「こんな事のためにこんな事をしてくれなポテトの為にも………!!」



雲利
「………頼むイナ………いや、エレキボルト!」


ーーーーーーーーー

エレキボルト
「えーーと、ポテトポテト………どこにあるのかな」


エレキボルト
「あった!!」


ポテトは分かりやすく集団で行動していた。

エレキボルト
「うっわー助かる!まとまってくれると ウチも仕事がやりやすーい!」

エレキボルト
「本当に暴走してんの?ってぐらいの気が効きっぷり、最高!」



エレキボルト
「というわけだから、ちょっとごめんよー!!」

エレキボルトは指から静電気を放ち、いっせいに振り下ろす!!

ーーーーーーー

雲利
「…………」サラサラサラサラ


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エレキボルト
「うっし!!これでショートした程度かな?早速全部持っていくかー!!」


エレキボルトは先頭から引きずってポテトを動かしていく。

エレキボルト
「………あ、やっべ、そういえば隔離するとは頼まれたけどどこにやるかまでは聞いてなかった」



エレキボルト
「あーーーーもう!!!しゃーない!!全部まとめてウチの部屋に送り込むかー!!」

エレキボルト
「まっっッた改装しなくちゃなぁァァ!!!」

エレキボルト
「電力全開!!」


エレキボルトはエネルギーを込めて、ポテトをトラックなどを弾き飛ばしながら動かしていく!


エレキボルト
「ここから急行!!ざっと1時間飛ばすよー!!」


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そして、1時間後。


雲利
「………よし、まぁこんなところだろ」

イナ
「た、ただいま彼ピ………」

雲利
「いつになくクタクタだね君」

イナ
「流石に電力全開で1時間ぶっ通しで走ってたら疲れちゃったよーマジ」

イナ
「汗で化粧とかもちょっと落ちちゃったしさ」

雲利
「君は化粧薄い方が似合うと思うけど……?」

イナ
「ふふっ、ありがと彼ピ」

雲利
「ポテトは?」

イナ
「隔離しといてっていわれたから、ひとまずウチの部屋近く。」

イナ
「アソコなら誰も寄り付かないし、ちょうどいいと思ってさ」

雲利
(それはまァ精神病院だしね………)

イナ
「彼ピはどう?完成した?記事。」

雲利
「半分くらいはね………やっぱり僕には貶す記事は無理だった」

雲利
「でもこれは絶対に通したい、ダメだったとしても辞めさせられても構わない」

イナ
「その時はウチを存分に頼っていいから」

雲利
「いや、今回の事はあまり君には頼らないようにしたい」

雲利
「自分で蒔いた種でもあるんだから」

イナ
「……………そっか、応援はしとくね」



………

イナ
「やっ」

雲利
「うん」

イナ
「で、どうだったの?新聞うまくいった?」

雲利
「ははは………やっぱり許可してくれなかったよ」

イナ
「どんな記事書いたわけ?」

雲利
「ポテトの事………よりも、君のことを優先した、あとは」

雲利
「こう書いたんだ」


雲利
「ポテトは、僕達人間よりもよっぽど話が分かる、優しさも詰まってるって」

イナ
「それで首になるのはあんまりじゃね?」

雲利
「こればっかりはしょうがないよ、向こうの方が上だもん」

雲利
「………はーぁ、お仕事探さないとな」

イナ
「あ、だったら丁度いいのアルから、ニュースサイト更新出来る?」

雲利
「ニュースサイト?」

イナ
「言ったでしょ彼ピ、今どきは何でもハイテク、情報提供も紙じゃなくていい時代なんだよ?」

イナ
「あ、もちろん見てもらえればおカネにもなるから」

雲利
「…………そのニュースサイトを作った人は?」

イナ
「彼ピが1番よーーく知ってる人」

雲利
「………なるほど、こりゃ確かに僕は遅れてたかもしれないな」

雲利
「こんなやり方でも、僕はこの仕事を続けられるんだな」

イナ
「おん!」


…………

イナ
「あ、そういえばなんだけどポテトってまだウチん所置いといていいわけ?」

雲利
「いや、それがね………」

雲利
「なんか、既にポテトに代わる新しい奴を作っちゃったみたいで………」

イナ
「え〜マジ?よくそんなお金あるね〜」

雲利
「ということで早速それを記事にする」

イナ
「じゃ、ポテトはぜーーーんぶウチが管理する」

イナ
「病院内に解き放つ」

雲利
「そんな贅沢しちゃっていいの?」

イナ
「それはまぁ………ほら、ウチ達の責任でもあるし」

雲利
「それは……」

雲利
「………そうだね、あんな仕事を頼まれたばかりにポテトにここまでさせたんだから、僕らの責任だ」

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数日後

雲利
「エッグイくらいサイトが伸びてる、ウチの新聞より稼げちゃったよ」

イナ
「皆ネットは見るからね~」

雲利
「あまりにも疎すぎて泣きそう」
最終更新:2022年06月19日 13:18